ラベル 千本松原 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 千本松原 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年5月14日木曜日

「あの築山は要らない」7つの理由:河辺龍二郎



「あの築山は要らない」(上)河辺龍二郎
 ここで「あの築山」というのは、沼津市が千本常盤町ときわ保育所の南側松林に、田子の浦港の浚渫土を積み上げて海抜15mの築山を造り、震災時の津波避難場所もしくは東日本大震災のモニュメントとしようとしている、「あの築山」のことです。
 誤解のないように、あらかじめ申しますが、「要らない」というのは、「あの築山」であって、地域の災害時避難場所が不要だと言うつもりは毛頭ありません。それどころか、まず必要なのは実効性のある避難場所であり、それを早急に実現すべきは自明のことです。以下は私見です。
 1、沼津市では、東南海地震、さらに相模湾地震の最大クラス(レベル2)の地震・津波の被害想定からハザードマップを作成しています。それによれば、ときわ保育所近辺は海抜約6mで、最大被害想定は、浸水地上30㎝となっています。
 この想定に対して、「あの築山」はあまりに過大ではないか、というのが正直な印象です。
 ちなみに、従来、避難場所とされていた常盤町自治会館(保育所2階)は地上高約4m(海抜10m)です。もちろん、これで十分かどうかは人により判断が違うと思います。ただ、市の施策として見た場合、過大な設定は経済的な負担を増やすのみならず、迅速な実施も阻害することになります。できれば、避けるべきではないでしょうか。
 2、理由は不明ですが、市は海抜15mの高さに固執しています。理由を聞いても「低いより高い方が良いから」というばかりです。
 推測するに、市はハザードマップとは別の基準により、決定をしているのだと考えざるを得ません。例えば、「千年に一度」ではなく「五千年に一度」の災害を考えている、とか、また逆に、ケースバイケースで担当者の裁量に任せているとか。
 いずれにせよ、海抜15mに固執する根拠を市民に明示するべきです。また、これは明らかにダブル・スタンダードと言えるでしょう。
 もし、他地域から同様の要求(ハザードマップの想定を大幅に上回る要求)が出た場合、市は、どのように対処するのでしょうか。
 3、「あの築山」について、当初は「シンボルを作る」と言っていたと思います。それが何のシンボルなのか、説明もないまま、今は「モニュメントを作る」と言っています。
 モニュメントとは何か。それは記念碑であり、東日本大震災の悲惨な被害を心に留めて忘れないための記念碑である、という説明を受けました。
 確かに、それは正しく立派なことで、分からないところは、どこにもありません。しかし、その記念碑を、ここ沼津市の千本松原の中に建設すべき必然性を見出すことは、かなり困難に思えます。
 これは自己満足の行為と見られないでしょうか、被災者や遺族は、どのように見るでしょうか。本当の意味で震災を教訓として心に留めるならば、実効性のある対策を、迅速に実施することが、何より優先されるべきでしょう。対策の遅れをモニュメントで置き換えることはできません。
(つづく)(群建築研究所沼津代表・沼津牧水会理事)(沼朝平成27年5月12日号)

「あの築山は要らない」(中)河辺龍二郎
 4、築山の斜面の勾配は1/1・8(29度)と公表されています。
 「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」によれば、急傾斜地とは傾斜度30度以上の土地とされています。また、県建築基準条例のがけ条例でも、規制の対象になる勾配は30度以上です。そのため、それを避ける、ぎりぎりの数字が29度と思われます。しかし急勾配であることは明白です。
 ところで、工事中も現状のまま残すことになっている松の中で、築山の山裾にかかっているものが十数本あります。松は根張りが広く、水分等の吸収や根の呼吸は、地表近く、深さ30㎝程の所で行うので、根の周りに広く地表を残す必要があります。
 市は工事方法を工夫するから大丈夫だと言っていますが、根の周りの盛り土は何としても避けなければなりません。そのためには、山裾のラインは、大きければ6~8mは後退することになります。当然勾配は30度を超えるでしょう。現在の勾配を維持するなら、頂上高を下げるか、もしくは、擁壁(高さ3~4m)が必要となります。どうするのでしょう。
 改めて言いたいのですが、29度勾配で本当に大丈夫なのでしょうか。場合によっては、それを上回る恐れも出ています。しかも、これは何もない広場に、これから浚渫土を積み上げて、造り出そうしているものです。限りなく近くとも、「法の基準さえ超えなければ、それが安全であって、そこに危険はない」というふうに、市は考えているとしか思えません。
 それで良いのでしょうか。まして、今考えられている避難は「発生度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波」(*)に際しての避難です。
 こんな形ばかりの考え方で造られる「あの築山」は、本当に市民を守ってくれるのでしょうか。安全が少しでも危惧されるような場所に誰が避難するのでしょうか。
*「静岡県第4次地震被害想定」における「レベル2の地震・津波」
 5、田子の浦港の浚渫ヘドロには、かなり高濃度のダイオキシンが含まれていることは周知の事実です。沼津市はダイオキシンについて何も説明していませんが、おそらく、国の決めた許容量以下ということで、問題なしとしているのだと思います。
 しかし、国際的な基準として、WHO(世界保健機関)が認めている許容量から見れば、大幅に上回っているのは確かです。
 現に田子の浦港の地元富士市では、市内処分を原則としているようですが、処分先の各地域で反対運動が起こっています。詳細は有志が調査中なので、追って報告があると思います。
 あの清浄な松林に、ダイオキシン入りのヘドロを持ち込み、それを固めた築山の上に、命を託すことを、沼津市民は良しとするのでしょうか。
 6、日頃見る富士山の頂上付近の傾斜勾配が27度~30度です。この築山が、これと同じくらいの勾配です。この築山には傾斜の緩急、つまり起伏のようなものはありません。なぜなら、先に述べたように、法律ぎりぎりで29度勾配が設定されているからです。平地での立ち上がりから頂上の平場まで一直線の勾配です。
 ところで、この傾斜がドンナものかというと、スキーをやる方は分かると思いますが、初心者にとって、30度の斜面に臨んだ時は足のすくむ思いです。
 また、富士登山をされた方は分かると思いますが、頂上付近は、いわゆる胸突き八丁といって、胸を突かんばかりの急斜面です。
 市は、ここで市民、観光者が憩い、散策する、などと言っていますが、笑止の沙汰です。雨が降れば、芝生を植えた表層の土は確実に流れます。流れたあとは、ヘドロの地山が雨に濡れて、くろぐろと露出する。こんな景色を見たいと思う人がいるでしょうか。
 築山の下に立ち、目の前をふさぐ巨大な築山の姿を見上げて、これはこの松林にまったくふさわしくない、などということにならないようにしたいものです。
(つづく)(群建築研究所沼津代表・沼津牧水会理事)(沼朝平成27年5月13日号)

「あの築山は要らない」(下)河辺龍二郎
 7、松の木を一本も切らないという決定は、市の素晴らしい英断だと思います。千本松原について、増誉上人の故事や「枝一本、腕一本」の話、若山牧水の松伐採反対など、沼津市民との歴史的、文化的な深い関わりを思い出させてくれる機会ともなりました。
 現在は移植を予定している三本の大樹については、「根回し」を完了したと聞いています。
 何よりも松の木の存続を願う人間として、移植については深い関心を持っています。なぜなら、移植した結果、それが原因で、何年かして枯れてしまったというのでは、伐採を先送りすることを容認したのと何ら変わりがないからです。
 また、「根回し」の結果は二~三年経たなければ分かりません。その時、移植可能な状態でなければ、移植することはできません。
 そんな中、市は「根回し」が終わった段階で築造に着手する意向を示しています。築造が始まってしまえば後戻りはできません。移植が可能かどうか、移植後の松がどうなるのか、ということに関係なく、松の木は自動的に排除されてしまう可能性が高くなります。
 このような見切り発車は、断じて容認しかねます。移植完了を待つべきです。
 市は、移植を待たずに着工するについて、土嚢を高さ7mに積み上げて松を保護すると言っています。土嚢は仮設置の状態で、とても安全なものとは言えません。移植の判定までの二~三年の間、避難場所としては使うわけにはいきません。もちろん市も承知で、この間は使用しないと言明しています。それでは、何のために、早期着工にこだわるのか、これが最大の疑問です。
 ここまで述べてきて、二つのことが分かりました。
 一つは市の姿勢です。市当局が計画を決め、議会で承認を得、業者との発注契約も済んでいる以上、今さら市民がとやかく言うな、という頑なな姿勢です。
 そして、もう一つは、代替案はいくらでもある、ということです。ぜひ皆さんでお考えいただきたい。中部浄化プラントの建物屋上まで階段を作るとか、築山を低くして展望台を高くするとか、保育所の屋上を利用するとか、いくらでもあるじゃないですか。
 本当に知恵を出し合うのは、この分野だと考えますが、どうでしょう。
 「あの築山は要らない」は、「このままなら、あの築山は絶対に要らない」と言い直すべきかもしれません。

(おわり)(群建築研究所沼津代表・沼津牧水会理事)(沼朝平成27年5月14日号)

2014年11月15日土曜日

宮脇名誉教授が築山を視察

宮脇名誉教授が築山を視察
 「命の大切さ」強調し、賛意
 栗原裕康市長の基本政策の一つ「エコのまち沼津」推進の一環として二〇一〇年八月に始まった「いのちを守る森づくりーぬまづの森整備事業」。この事業を指導する横浜国大名誉教授の宮脇昭さんが十三日、市長の要請で千本松原内に計画されている津波避難用人工高台(築山)予定地を視察。宮脇さんは視察後、市長、クロマツ伐採の中止を求める沼津牧水会理事長の林茂樹乗運寺住職らと若山牧水記念館で話し合った。その後の記者会見で宮脇さんは「命の大切さ」を強調し、築山造成に賛意を示した。
 築山造成は計画通りに
 芝生から潜在植生の林に大幅変更
 宮脇さんは、職員が掘った直径約一㍍、深さ約一・五㍍の穴の中を見て、予定地内クロマツ林の土壌・根の張り具合を確認。その後、現場で市長、林住職と話し合った。
 宮脇さんは「一番大事なのは命」だとし、地球と人類の誕生から今日までの生命と遺伝子の連鎖、また照葉樹林の持つ意味、本来その土地に生育する潜在植生などについて持論を展開。
 その上で、日本は世界一美しい国だが、自然災害が最も多い国だとし、命を守るにはどうしたらいいかと投げ掛け、海岸では松がいいと考えられ、「松を一枝切ったら一手、一首を切る」という掟を作って松林を守ってきたことを紹介。
 一方、照葉樹林は日本文化の源だとし、市長提唱による沼津での命を守る森づくりを評価。風害、塩害もある厳しい自然条件下の沼津で「いのちの森づくり」が成功すれば全国に波及すると期待。強風が吹きすさぶ中での取材は聴き取り難く、会場を近くの牧水記念館に移し、再度、宮脇さん、林住職ら牧水会役員、市長ほか築山を担当する市危機管理課職員が別室で会合を持った。
 終了後の記者会見で市長は「現計画を見直すことにする。(当初計画の築山は)芝生が多く、ぬまづの森づくり(計画面積)と逆にし、潜在植生の林にする」と見直し内容を話した。
 また、築山の高さについて市長は「(当初計画の)一五層は基本的に変えない」、松の移植については「費用が掛かる」と、宮脇さんが移植より新たに植える方を勧めていることを示した。
 林住職は「宮脇さんが木々に寄り添っていることが分かった。(若山牧水が称えている)松だけではない千本松原の価値を認めてくれた」とする一方、築山の高さについては「高さの考え方は(市長と)私と違う。(市長は)松を切ることも仕方ないと言われたが納得できない。松は切らないという私の考えは全く変わらない」とし、「より良いものにするため智恵を出し合うことで宮脇先生と一致した」と話し合いを評価。
 宮脇さんは、千本松原も人間の手を加えずに放っておけば潜在植生の林になるとし、今あるクロマツを残すことが一番いいのか、ベターからベストにしなければならないとし、「何があっても命を守る森をつくる。築山に森づくりをする。やらなければならない」と力を込めた。
 来年三月末までの完成を予定し九月の工事着手後、中断されている工事の再開時期を問われた市長は、市民の声を聞いて数カ月程で結論を出したいとし、年度内の完成にこだわらないことを明かした。
 視察前日の十二日午後、予定地で市担当課職員から説明を受けている宮脇さんは、築山の高さ見直しについて「高さは、高ければ高いに越したことはない」と持論を述べた。
 解脱 驚いたのは築山提案者の市長が、造成するに当たってクロマツを伐採することを知らなかったこと。と言うことは、事前に予定地の下見をしていなかったということだ。
 また、東日本大震災直後なら住民に津波に対する恐怖感があって、築山造成のためにクロマツを切ることは問題にならなかっただろうとの発言。クロマツ伐採に反対している市民は、震災直後であろうがなかろうが、「千本松原は沼津の宝」だとの思いが強い。
 防災研究者ではない植物学者の宮脇さんを築山造成の諾否判断者に、なぜ招いたのか。市長は、築山計画と「ぬまづの森づくり」を結び付けなかったのかも知れないが、当初計画では築山の大部分か芝生張り。
 保育所の園児達が斜面滑りを楽しめるように。クロマツを伐採する罪滅ぼしなのか、ぬまづの森づくりは南側に一七〇平方㍍計画されていたが、築山全体面積の約四%。この面積を芝生面積と逆にするという。
 また、高さを一五㍍とした根拠は、クロマツ伐採の説明を受けていなかった市議会の地震・津波対策調査特別委員会の「どうせ造るなら展望機能も持たせた方がいい」があったから。だが、ぬまづの森づくりを築山で進めたら木々によって眺望は消失する。
 宮脇さんは「県の第四次地震被害想定では、津波は防潮堤を越えないとされているが」の質問に対し、学者でも自然の力を計算することは出来ない、と想定外の津波が来るかも知れないと答えた。
 東日本大震災後、宮脇さんはコンクリートではない震災瓦礫と土で築く防潮堤に潜在植生を植樹することを提案しているが、連続性のない「点」でしかない築山を造成してどうなるのか。
 宮脇さんは、沼津で造ったものか県内、全国に波及すれば、と構想を語った。また盛んに、この地域の潜在植生であるタブノキ、シイ、カシの有用性を説いたが、これらの植物を築山に植えたら根はどうなるのか。
 築山は、田子ノ浦港の浚渫土をセメントで固めた上に土を五〇㌢被せる計画を見直し、より土の厚さを増やすという。だが、宮脇さんは四年前の「ぬまづの森づくり講演会」でタブノキ、スダジイ、カシを植える理由について、「これらは深根性で三-五㍍の根が伸びることから山の崩壊がない」と話している。
 築山を覆う土砂は、宮脇理論では最低でも三㍍必要となるが、設計見直しで築山の強度面を考えて可能なのか。穴を掘ったのは、築山の覆土に利用できるかを確認するためだったというが、三㍍も砂丘の砂を積んで崩れはしないのか。
 宮脇さんが言う「命は大事だ」は、市担当者が言う「人の命と松の命とどっちが大事ですか」と五十歩百歩で何ら説得力を持たない。なぜ予定地に一五㍍の築山が必要なのかの理由を聞くことはできなかった。
 また、市長は「築山は必要」だとした宮脇発言で「お墨付きをもらった」と考えているのかも知れないが、何の解決策にもならないことは明らか。議論の基は、県が発表した第四次地震被害想定の地震・津波ハザードマップにおける予定地の予想浸水深六・五㍍ではないのか。
 築山計画に、ほとんどなかった「ぬまづの森づくり」が、いつの間に出てきたのか、コロコロ変わる市当局の姿勢に疑問を禁じ得ない。千本松原で長年にわたりクロマツを植えてきた男性は「なぜ宮脇さんを呼んだのか理解出来ない」と話した。
(沼朝平成26年11月15日号)

 沼津市長、「築山」予定地視察
 一部計画変更明言 数カ月で結論

 沼津市の栗原裕康市長は13日、市が同市本で進める津波避難用の人工高台「築山」の建設に伴って千本松原の松を伐採する計画に対し、見直しを求めている沼津牧水会の関係者や、植物の専門家と建設予定地を視察した。視察後、築山ののり面などに芝生を整備する計画を一部変更し、できるだけ広い範囲に松を含めシイやカシなどの木を植樹する方針を明らかにした。
 現計画で伐採予定の約90本の松は「できるだけ切る本数を少なくしたい」と述べながらも海抜約15㍍とした築山頂上の高さや避難可能人数など設計の大幅な変更はしない考えで、「松の伐採は避けては通れない場合がある」と話した。植樹本数や松の伐採本数など計画変更の内容は「これから検討し、数カ月で結論を出したい」として、それまで工事を中断する考えを示した。
 栗原市長と視察や協議をしたのは、沼津ゆかりの歌人若山牧水をたたえる沼津牧水会の林茂樹理事長と、国内外で命を守る森づくりを展開する横浜国立大の宮脇昭名誉教授(植物生態学)。
 林理事長は「松を一本も切らないでほしいという考えは今も変わっていない。まだ市の計画の変更内容が具体的に見えないので、今後も話し合いを続けていきたい」と語った。宮脇名誉教授は「しっかり議論して、結果的には市民の命を守る物を造れるように努力してほしい」と話した。

(静新平成26年11月14日朝刊)

2014年10月10日金曜日

沼津・築山建設住民が署名提出

千本松原伐採見直しを
 沼津・築山建設住民が署名提出
 市長「両立を検討」

 沼津市が同市本に津波避難用の人工高台「築山」を建設するのに伴い、千本松原の松を伐採する計画を受け、伐採の見直しを求めている地元住民らが9日、市役所に栗原裕康市長を訪ね、賛同する1744人分の署名を提出した。市側は14日に予定していた松の伐採の延期を決め、栗原市長は「松と防災が両立できるよう検討したい」と述べた。訪れたのは、沼津ゆかりの歌人若山牧水をたたえる沼津牧水会の林茂樹理事長(76)ら5人。牧水は沼津に住み、当時持ち上がった松の伐採計画の反対運動を行った。林理事長は「移植をするか、松を生かした形で築山を造るか考えてほしい。お互いに知恵を絞ることが大切」と設計見直しを求めた。伐採撤回まで、署名活動を続けるという。
 これに対して、栗原市長は東日本大震災を受け、近隣の園児らの生命を守ってほしいという要請から建設に至った経緯を説明した。その上で、「防災のシンボルとして建設を進めている。災害はいつ起こるか分からない。地元の意向を確認して対応を検討したい」と述べた。
 市によると、築山は市立ときわ保育所の隣接地に建設する。整備面積は約4200平方㍍で、頂上は海抜約15㍍になる。9月から工事に入り、来年3月の完成を目指す。住民からの見直し要望を受け、当初予定していた伐採予定の松を約150本から約90本に減らすとしている。

(静新平成26年10月10日朝刊)

「クロマツ守って」と改めて要望
 1、744人分の署名簿を持参
 千本松原に計画されている津波避難用築山(人工高台)の造成に伴うクロマツ伐採に抗議する市民五人が九日、市役所に栗原裕康市長と真野彰一市議会議長を訪ね、造成計画の見直しを求めた。訪ねたのは沼津牧水会理事長の林茂樹乗運寺住職ら。
 千本松原への築山造成
 設計変更を求め市民有志
 計画に対して「千本松原を守ってください!」と要望書を市長に提出したのは林住職個人だったが、今回の署名簿提出には、千本松原の保護・育成に賛同する四人が同行。林住職が、クロマツの「助命嘆願」のため五日に始めた署名活動で八日までに集まった一、七四四筆分を市長に渡した。
 市長が「これだけ大騒ぎになったら延期せざるをえない」と話すと、林住職は「クロマツを切るなんて言わなければ署名集めをすることはなかった」と応じた。
 同行した沼津倶楽部副理事長の宇野統彦さんは「沼津倶楽部改築の際には、市から『松は一本も切ってはならない』と指示された」と話し、今回の計画で当初、百五十本のクロマツ伐採を予定した市の一貫性のなさを示唆。
 林住職は、計画地内にあったサンゴジュやモチなどの大木がクロマツを除いて全部切られたことを挙げ、「クロマツを残してくれたので、切らずに築山を造成すると考えていた。(担当課が)切らないよう計画変更を検討すると言ってくれたが、何の変化もなかった」と市の対応を疑問視。
 これに対して市長は、松を伐採した後、築山に「沼津の森づくり」を計画していたことを話し、「築山は(袋井市が盛り土で建設した)命山にならって沼津の防災のシンボルと考えた」とした。
 林住職が「松を生かした築山にできるのではないか」と指摘すると、牧水会理事で元沼津市教育長の長澤靖天さんは「先ほど現地を見てきたが、変化のある形にすれば松を切らずにできるのではないか。設計変更にも、それほど時間はかからないのでは」と話した。
 市長は「災害は、いつ、どのように起きるか分からない。(市立ときわ)保育所関係者から『なんとかしてくれ』と言われたのが(計画の)原点」だと、緊急性と防災上の必要性を説いた。
 また、できれば伐採中止の要望受け入れと築山造成を両立させたいとの考えを示した上で、「松を一本たりとも切ってはいけない、ということではなさそうなので、努力していきたい」と、シイ、タブ、カシなどを植えて自然豊かな築山にしたいと説明。
 また、「設計変更するとなると二、三年かかる。地元の人達が、どのように言うか。防災も大事だが松も大事。できれば、完成時期はずらさないようにしたい」とした。
 その上で、「市としては松を生かす方法も考えた。保育所の幼児の命を守るのか、松を守るのか、決断しなければならない」と、地元の意向を酌みながら進める考えを示した。
 続いて要望者は真野議長と議長室で面会。市が林住職の要望を受け入れ計画変更したと議長が発言したのに対して林住職は、クロマツの伐採が百五十本から九十本に減少したのは、「あれは変更ではなく、一部修正に過ぎない」と主張。
 林住職は、三日に開かれた市議会の地震・津波対策調査特別委員会を傍聴し、地元常盤町に住む長田吉信委員以外の七委員が「松が切られることを知らなかった」としたことに、市議会の在り様を問題視。
 議長は「議会としては予算が通っているということで、委員会としては予定通りやりたいと。(市当局には)関係者と知恵を絞って意見調整しなさい、というのが委員会の意向だった」と答えた。
 さらに林住職は、望月利通危機管理監から「人.の命と松の命はどちらが大事か」と言われたことについて、「無礼千万なこと。誰が松の方が大事だと言うのか」とし、人の命と松の命を比べること自体が失礼な話だと不見識を批判。
 長澤さんは「松を切らずに築山を造成することは可能ではないか」と計画見直しを議会として市当局に求めるよう訴えた。
 終了後、牧水会監事の鈴木宏之さんは「市内には津波から逃げる施設がない所が、まだいっぱいある。逃げる場所がある計画地に、なぜ今、造らなければならないのか。他にやることがあるのでは」と話した。

(沼朝平成26年10月11日号)