裾野市長選きょう告示
市政の課題 福祉維持行革を 市内外への情報発信力必要
17日告示、24日投開票の裾野市長選は、現職と前県議の一騎打ちで、16年ぶりの激戦が予想される。県内有数の豊かな財政力を背景に、医療費助成などを充実させてきた同市の財政は、世界不況を受け、かつてない逆風にさらされている。裾野市の現状と課題を探った。
「このままでは裾野は第2の夕張になりかねない。ここ数年がヤマ場だ」ー。ある市幹部は危機感を募らせる。
一昨年秋からの世界不況による自動車関連産業の低迷で、2008年度、約40億円だった同市の法人税収は、09年度にはわずか2億円余りにまで落ち込んだ。法人税収は今後数年間、09年度と同じ水準にとどまる見通しで、来年度以降、不足財源分は財政調整基金約86億円(09度度当初)を取り崩す予定。10年度は35億円余りを充てる見込みで、早ければ13年度末にも市の"貯金"は底をつく。市の財政予測によると、09年度約212億だった一般会計歳入総額は、13年度には約50億円も少ない約164億円となり、00年度並みにまで縮小するとしている。
市には今後、財政規模に見合った施策が求められる。市民の理解を得ながら、大幅な事業の見直しと大規模な歳出削減は必要不可欠で、急務だ。
これまで、生涯学習センターなど各種施設・設備の拡充を積極的に推進し、新型インフルエンザワクチン接種費用助成への素早い着手や中学生までの医療費完全無料化など県内有数の充実した市民サービスを提供してきた。拡充したサービスや施設の継続運営は今後も大きな負担になる。「市民サービスは好評だが、生活に支障のない範囲での段階的な縮小は避けられない」と市幹部も頭を抱える。さらに、市街地のにぎわい創出のため打ち出した同市最大の総事業費190億円の公共事業「裾野駅西土地区画整理事業」の行方も気に掛かる。
その一方で、将来に向けて、自動車関連産業への財政依存の体質から脱却し、企業の景気動向だけに左右されにくいバランスの取れた財政基盤への見直しも並行して推進する必要がある。
新市長には厳しい財政下、最低限の福祉レベル維持をしつつ、思い切った行財政改革を断行する手腕と決断力、市の情報やビジョンを市民と市内外に明確に伝える発信力が求められている。
(静新平成22年1月17日朝刊)
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