2010年2月6日土曜日
「合法強調 巧みな錬金術」
「合法強調 巧みな錬金術」
小沢氏関連団体の原資
政党解散時の23億
巨額資金と不動産の保有が疑惑を招いた小沢一郎民主党幹事長。政治資金規正法違反事件の舞台となった資金管理団体「陸山会」とは別に、小沢氏の関連政治団体は、創設した政党の解散時に約23億円の寄付を受け、同氏の私塾運営費にも充てる。側近は、万一に備えた「プール金もある」と証言した。一連の資金処理を「合法」と強調するが、分かりにくさはなお漂う。
信仰
政界で異彩を放つ「小沢流錬金術」。「知恵袋」として仕えた平野貞夫・元参院議員は、原点は田中角栄元首相にあるとみる。ロッキード事件で失脚した「政治の師」。「田中さんの様子を見ているからカネについては合法的に、でないと触れない、という信仰のようなものが(小沢氏に)ある」と解説する。
集金の論理については「合法的なものは、もらう」と端的だ。使い道についても「法律の範囲内なら、いっぱい法律を活用する。批判されている不動産だって、反道徳的だという、ばかなことはない」とする。
陸山会は1994年以降、10億円を超す資金で計12件の不動産を購入。「マンションを担保にすればいざというときに金を借りられ、政治献金が入ってきたら返せる。家のローンと一緒で、浄財を政治活動に有効に使える」と話す。
こうした仕組みを立案したのは、自由党で事務局長を務めた元職員(2006年に死去)と推測。「小沢に天下を取らせようと本当に熱心だった金庫番」と形容した。
公金
平野氏は今も、小沢氏の関連団体「改革国民会議」の会計責任者。同じく「改革フォーラム21」でも昨年まで責任者だった。国会近くの事務所には2団体のほか小沢氏主宰の「小沢一郎政治塾」も同居する。
08年末時点で、2団体の残高は計約17億4千万円。原資の大半は、小沢氏が代表幹事だった新生党と、党首だった自由党の解散時の資金だ。
国民会議には自由党から約13億6千万円、フォーラムには新生党から約9億2千万円が寄付された。議員数に応じて国が配る政党交付金や、立法事務費という「公金」が億単位で含まれる。
「交付金は、党首一人でもらっているカネではない」と、自由党にいた渡辺秀央参院議員(改革クラブ)。解散時に500万円が一部議員側に配られたが、受け取っていないと主張する。
2団体の資金の使途について平野氏は「国民会議は塾への助成や、小沢氏が進める日中交流事業の事務費、小沢氏支持の衆院議員でつくる『一新会』の研修経費を出している」と説明。
フォーラムの資金は「いざという時のためプールしている」。政変に備えたものともみられる。
抜け道
政治活動の自由という観点から政党交付金の使い道に制限はなく、立法事務費は使途報告の必要がない。平野氏は「違法じゃない。自由党の理念を小沢塾で勉強するのだから、国民会議から出すのは合理的」とする。
こうした資金処理について、福岡政行・白鴎大教授は「政党が終わった時点で、交付金の残りは国に返納するのが当然。法を作る政治家が法の抜け道を使ってはいけない」とし、交付金の在り方も議論となりそうだ。
(静新平成22年2月6日(土)朝刊)
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