沼津・瀬尾記念病院
病室以外に患者入院 県など改善指導
医療法人社団慶信会(井上慶三理事長)が運営する沼津市上土町の瀬尾記念病院が、病室以外の患者入院を常態的に行っていたとして、県から医療法に基づく指導を受けていたことが、24日までの取材で分かった。同法人によると、許可を受けた60床以上のベッドを置いていたとして、診療報酬上の問題で厚労省東海北陸厚生局の指導も受けたという。
県や同法人によると、同病院は病室ではない個室の処置室など計7部屋12床に患者を繰り返し入院させていた。井上理事長は「手術予定の患者のベッド確保や救急患者、緊急入院の受け入れなどで目的外で使用してきた」と認め、「診療報酬の返還にも適切に対処したい」としている。
病室外の患者入院は、県東部保健所による昨年11月末の立ち入り検査で発覚した。県医務課は病院関係者からの情報提供などを元に調べたとして、「普段は書類上のチェックが中心。ベッドを隠すなどの病院側の隠ぺいなどもあって見抜けなかった」などと説明する。今月19日までに改善状況を確認したという。
井上理事長は、同病院の今後の運営について、4月から病院体制を変更して無床の診療所とする方針を示した。2次救急医療など同病院の機能は、同法人が沼津市下香貫で運営する瀬尾記念慶友病院(66床)に統合する考え。
同法人のホームページによると、瀬尾記念病院はリハビリ科を併設した整形外科の専門病院。昭和30年代に開院した医院を前身に、1996年に現地に移転新築した。常勤医師は5人。入院基本料を算定する看護師比率は13対1を掲げる。
【 理事長一問一答】
「正確には知らなかった」
瀬尾記念病院を運営する医療法人社団慶信会の井上慶三理事長は24日までに、静岡新聞社の取材に応じた。一問一答は次の通り。
ーいつから病室以外に患者を入院させていたのか。
「調査中。昨年6月に病院内のコンピューターを更新したため、正確な時期が特定できていない」
ー医療法に触れている認識はあったか。
「(病室の)運営状態を正確には知らなかった。(施 設の)目的外使用を漫然と続けていた責任は私にある」
ー無床の診療所に変える理由は。
「入院患者の維持が難しく、医師や看護師不足もあり病院経営が成り立たない。地域医療や救急を維持するための苦渋の選択だ」
ー入院患者数の超過はなかったのか。
「入院患者は(許可病床の)60人以下を維持していた。そのため今回の問題への意識が低かったとも言える」
(静新平成24年1月25日朝刊)
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