「内膳堀」環境用水に
沼津市 狩野川から再取水
沼津市は30日、江戸時代初期に開削され農業発展の基礎となった同市香貫地区の水路「香貫用水」(通称・内膳堀)に、環境用水として狩野川から取水することが国土交通省から許可されたと発表した。市は水路整備に尽力した地元の偉人として知られる植田内膳(生年不明、1636年没)の歴史とともにPRし、水路を環境学習などに生かす方針。(東部総局・中村綾子)
4月上旬から通水し、通年の取水が可能になる。役割を終えた用水路の環境改善は全国で例があるが、国土交通省が許可する1級河川からの取水は珍しいという。
水路は江戸時代に狩野川の水位を高めて堀に水を引き入れる難工事を経て築かれ、その後、上香貫地区の「上堀」、下香貫地区の「下堀」が独立して現在の形へと発展した。
時代の変遷とともに上堀部分の延長約3・5㌔は農業用水として使われなくなり、2012年度に市が狩野川からの取水を中止。下水道整備が遅れ、雨水や生活排水が流れるのみで悪臭などの問題が発生していたこともあり、市は水質の維持や親水空間の形成を目的とする「環境用水」としての取水に向け、沼津河川国道事務所などと協議を続けていた。
市環境政策課の担当者は「先人の知恵や努力が詰まった内膳堀を歴史的な遺産として保全し、快適な水辺空間として活用していきたい」と話している。
【静新平成30年3月31日(土)朝刊】
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