2018年10月30日火曜日

県、沼津市 高架化へ収容調査開始






県、沼津市高架化へ収容調査開始
貨物駅移転用地地権者ら抗議
沼津市のJR沼津駅付近鉄道高架事業を巡り、県と市は30日、高架化の前提となる貨物ターミナル移転用地(同市原地区)の取得に向けた土地収用法に基づく立ち入り調査を開始した。土地収用を見据えた手続きで、11月2日まで4日間、未買収用地の測量や物件調査を行う。30日午前の時点では事業に反対する地権者らが立ち入りを阻止し、調査は一部にとどまっている。
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午前9時、同市桃里に設置した本部事務所に集まった県、市の職員ら約120人が隊列を組んで事業予定地内の未買収用地に向かった。地権者らは「説明貴任を果たしていない」などとする抗議文を当局側に提出。地権者や支樗著がそれぞれの所有地に集まり、調査を阻止した。
高架化は沼津駅周辺総合整備事業の核となる事業で、現在沼津駅付近にある貨物駅機能を原地区に移し、貨物ターミナルや調整池、緑地などを整備する。既に約84・2%の土地を取得し、売買に応じていない地権者は27人。未買収用地は約1万4千平万㍍。
調査は県収用委員会に裁決申請を行うための土地物件調書作成が目的で、期間中に立ち入りできない場合は外観調査などが行われる。裁決申請後は収用委の審理に入るが、市は調査で算定した補償額を地権者に提示することで任意買収に向けた交渉も進める。 

調査員と地権者押し問答
沼津・鉄道高架事業30分超譲らず
JR沼津駅付近鉄道高架事業の前提となる新貨物ターミナル移転用地の取得に向け、沼津市原地区で30日に初日を迎えた県と市による土地収用法に基づく立ち入り調査。強制収用につながる手続きに反発し、事業に反対する地権者ら100人超は移転用地周辺で調査員の立ち入りを拒み、抗議活動を展開した。一方、事業推進を図る県と市の調査員は反対派との衝突を避けながら一部調査に着手した。
「地主が納得していないのだから、調査はできないはずだ」ー。反対派の地権者や市民は調査開始予定の同日午前9時すぎから、調査をさせまいと、手をつないで所有地の前で横一列に並んだ。「調査をさせてください」「通知が届いているはずです」と説明する県や市の調査員。互いに引き下がらず、押し問答は30分以上続いた。
調査員はその後も4カ所ほど土地を回つたが、いずれも反対地権者が抵抗した。地権者の一人で市議の殿岡修さん(78)は「4日間、最後まで全部阻止する」と強気の姿勢を示した。調査開始前に市などの現地本部で行った抗議活動では、調査本部長の田中洋行沼津駅周辺整備部長らに「十分な説明がないままの調査は対立を生む」などと声を上げた。
田中部長は職員ら調査員に「調査によって鉄道高架事業がさらに一歩前進する。(地権者らと)衝突することのないよう、冷静に、かつ気概を持って調査をしてほしい」と求めた。地権看らと一定の距離を置きつつ、繰り返し未買収用地に向かい、調査に応じるよう説明を続けている。
【静新平成30年10月30日(火)夕刊】






高架化着工へ市長「前進」
沼津収用調査 地権者に理解求める
 沼津市のJR沼津駅付近鉄道高架事業の前提となる貨物ターミナル移転用地(同市原地区)の取得に向け、県と市は30日、土地収用法に基づく立ち入り調査に入った。頼重秀一市長は同日、市役所で報道陣の取材に応じ「停滞していたまちづくりが大きく前進するきっかけになる」と長年の懸案である高架化の着工を見据え、地権者に調査への理解を求めた。
 初日は調査対象の地権者全24件(約1万3500平方㍍)に立ち入りを告知したが、地権者や支援者が集まるなどして調査員の立ち入りを拒む動きが終日続き、調査完了は約8%に当たる3件(約1100平方㍍)にとどまった。田中洋行市沼津駅周辺整備部長は「衝突は避けるが、調査は粛々と進める」と述べた。
 県と市は、期間中に立ち入りが難しい場合は地籍調査の実績や外観調査などを基に土地物件調書を作成する見通しで、来秋をめどに県収用委員会に裁決申請を行う。市は手続きと並行してできるだけ多くの地権者と交渉し、任意買収を実現したい考え。
 一方で反対住民との対立は長年続き、一部地権者は調査を絶対に阻止する」と意気込む。「買収を巡って地域が分断された」と今後を不安視する声も聞かれた。
 市は2004年度から、約170件の地権者との用地交渉を開始し、これまでに140件超を取得した(取得率84・2%)。頼重市長は土地収用の手続きに踏み切ったことについて「これまで多くの人の理解、協力を頂いてきた。市民の多くが事業の完成を望んでいる」と事業推進への決意を改めて示した。
【静新平成30年10月31日(水)朝刊】

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