2019年2月6日水曜日

岐路に立つ商店街




岐路に立つ商店街
 まちなか起業で変化
 JR沼津駅南口の沼津仲見世商店街から南に続く「沼津新仲見世商店街」。店主たちはこ
としに入り、1969年に設置され老朽化が問題となっていたアーケードの撤去を決めた。費用負担など課題も多い中で決断を後押ししたのが、同商店街を舞台に2016年以降続いてきたリノベーションの取り組みだ。
 遊休不動産の活用法を考える講座の対象となった空き店舗では、18年末からダンス教室が始動。デザイナー向け共有オフィスも開業するなど、新しい"住人"が増え始めた。市はアーケード撤去と並行し必要な市道の改修に向け、新規開業者らを交えたワークショップを実施。19年度に道路空間の設計を進める方針だ。
 「店舗を埋めるだけでなく、公共の道路の使い方も考えるのが全国的な流れ」と市まちづくり政策課の担当者は説明する。百貨店の相次ぐ撤退から年月が経過し、商店街がにぎわうのはイベント開催時などに限られる。商店街の井草雅彦会長(48)も「商店街をもっとオープンにしたい。単なる店の集合体から卒業しないと存続は難しい」と、新たな取り組みを歓迎する。
 駅周辺ではほかにも変化の兆しがある。ことしに入り、時間貸しや月決めなどで仕事場の利用ができる「コワーキングスペース」が複数開業予定だ。2月から大手町で「ENZOU」を本格始動させる同市出身の植松宏章さん(37)は首都圏や県外からの利用も見据え「沼津は自然豊かでリフレッシュできる。移住情報なども提供したい」と意気込む。
 市は19年度予算案に、こうした民間スペースの活用を視野に入れた伴走型の起業・創業支援事業費約300万円を盛った。高校生や専門学校生に起業意識を持ってもらうためのセミナーも新たに開催する。
 「起業を目指す人をまちなかに誘導し、リノベーションとの相乗効果を図りたい」と市商工振興課の担当者。官民の連携で商業地に活気を取り戻す一歩を踏み出すことができるか、手腕が問われる。
(東部総局・中村綾子が担当しました)
【静新平成3126()朝刊「検証 沼津市 19年度予算案㊦岐路に立つ商店街」】

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