2019年9月20日金曜日

西高、城北高統合で説明会


西高、城北高統合で説明会
県教委担当者と質疑応答
 沼津高等女学校と西高の杜蔭同窓会(加藤啓子会長)11日、「沼津西高、沼津城北高校の発展的改編に対する説明会」を第二地区センターで開いた。第1回は昨年1114日に開かれ、県教委からの説明と意見交換が行われた。第2回となる今回は、両校の改編についての正しい情報を共有するためのもの。県教委から担当者が説明に訪れ、杜蔭同窓会、後援会、関係団体、地域などから約90人が出席した。
 なぜ西高が対象に
 発展的改編の意義とは
 西高と城北高の改編の方針が明らかにされたのは201711月。杜蔭同窓会は、翌
4月には西高存続を求める要望書と共に、18345人の署名簿を県教委に提出している。
 今回は、はじめに県教委高校教育課学校づくり推進室の花崎武彦室長から、これまでの経緯について説明があった。
 昨年3月に出された「ふじのくに魅刀ある学校づくり推進計画(静岡県立高等学校第三次長期計画)」は2028年まで10年間の計画で、高校の改編について沼津、伊東、島田、掛川・御前崎の4地区が対象になった。いずれも、この10年間で特に少子化が進む地域だとされている。
 昨年度、沼津市では中学3年生が1548人だったのに対して、小学1年生は1268人で中3時点の比較で280人減少する。富士市は、中32175人、小12030人で145人減。これに対して静岡市(33390人、小13619)、浜松市(5180人、同5240)など、ほかの都市部では増加が見込まれている。
 第1回説明会における「なぜ西高が改編の対象になったのか」という質問に対して県教委側の回答が持ち越しとなっていたが、花崎室長は「調べたが記録はない」とした上で、考えられる理由として「子どもの数が減ること」「校舎の安全性」などを挙げた。
 また、第三次計画では、普通科が改編の対象になっていることを説明。第1次、第2次では専門学科の改編が多かったが、県の産業構造や沼津の企業からの需要に鑑みて、第3次では専門学科ではなく普通科の改編になったという。
 そして、西高が歴史と伝統のある学校であることを踏まえながら、新しい高校でも「しっかりと伝統を受け継ぐ」とした。
 西高と城北高を改編して誕生する高校は27年開校予定で、4地区の中でも最後になるという。新たな学習指導要領を基に、西高がこれまで行ってきた学習を踏まえ、広く意見も聴きながら、新たな高校について考えていきたい、とした。
 この説明に対して参加者からは多くの疑問や質問が寄せられた。まず、「沼津市内だけでなく、通学圏となる近隣市町の人口は」の問いに、昨年度において裾野市は中3482人、小1486人、御殿場市は、それぞれ889人と813人、小山町は143人に164人だと説明。
 また、東高は沼津市内からの通学者が35%、市外からが65%であるのに対し、西高は市内からが58%で、城北高も同じく市内からの通学者が多い、とした。
 次に、新構想による計画では、改編を検討する対象として「1学年が4クラス以下」とあるが、「現在6クラスある西高が、なぜ改編の対象となるのか」と疑問の声があった。
 花崎室長は、今後10年間で最も子どもの数が減ると見込まれる地域が対象になっていることを説明。
 教育の質を保つためには1学年に5クラスは必要で、生徒数に合わせて教員の数も少なくなることで選択科目が置けなかったり、部活の数も限られることになるという。
 また、出席者からは「発展的改編」の意味を問う声も上がった。
 これに対して花崎室長は、沼津市の人口増を考えていかなければならない、とする一方、独自の取り組みに力を入れる普通高校の例を紹介。「これからの西高が考える取り組みについて、同校の先生方にも意見を募っている」とした。
 しかし、現在の高校には喫緊の課題として、来年度からの新学習指導要領に沿った教育課題の作成、新たな大学入試制度への対策などがある。西高ではそれを終えた後、改編について県との協議に入るという。
 統合後の学校の場所については、「これまでの例で言うと、どちらかの場所」だが、例外もあり、統合する学校のいずれの敷地も手狭で、同窓会からの要望を受け、どちらでもない場所に移した例もあるという。
 そのことで現在、様々な憶測も飛び交っているが、「現時点で城北高の場所に決定していることは全くない」とし、また、市街地の大規模店のある場所に、という話についても「市と協議は行っていない」と答えた。
 現在、両校がある場所以外の第3の候補地がなければ、県有地を使うことになるため、西高か城北高の場所になるが、移転用地についての提案や意見は広く受け入れる姿勢を示した。
 「2校とも現在の場所のまま、名前だけが一つになることはあるか」との質問には「今までの例ではない」とし、場所を確定する条件の例として、4地域のうちの1つ、伊東での候補地決定の際には、安全性、敷地面積、交通の利便性の3点に基づいたことを紹介した。
 沼津での新設地は22年度中に決定するといい、来年4月から調査を行い、建設が決定した場所についてのみボーリング調査を行う。
 安全性について出席者から「市のハザードマップでは西高は避難場所になっている。安全な場所ということか」と問われ、花崎室長は「知識がなくお答えできない」としたが、出席者は「遠方の人は、西高は津波が心配と言われるが、(そうではないということを)県からも示してほしい」と要望した。
 出席者から「2校のいずれかが廃止になるのではなく、改編ということか」という質問が上がったが、「両校の伝統を脈々と受け継いでいくということで、再編・統合という言葉になる」とした。
 また、「同窓会は一つになるのか」との質問には、さまざまな例があることを紹介。両校の同窓会が、そのまま続くこともあるといい、出席者からは「同窓会が財産として生き残る道を」との声が上がった。
 これに対して花崎室長は、同窓会館については県ではなく、同窓会の財政で造るものであり、敷地は県で確保する、とした。
 出席者からは「西高は東京の麻布学園と共に、江原素六翁が創立した学校であり、こうした伝統を踏まえ、地元に合わせた学校づくりを」との意見もあった。
 また、魅力ある学校づくりを願う声も多く聞かれた。
 最後に、27年の開校まで、今後の予定について説明。22年度中に土地について決定した後、学校の内容について検討、規模や学科、また普通科であっても何に特化するかを1年かけて決め、教育方針や教育目標を定めて研究することに2年を費やす。さらに2年かけて校舎を造り、開校の運びになるという。
 学校の内容については時代の変化を見て、実際に入学する現在の小学校低学年の子どもや保護者の要望、また同窓会の意見なども広く受け付けるという。
 杜蔭同窓会は、さらに意見をまとめて県教委側に伝えるとともに、来年も説明会を開く考えでいる。
【沼朝令和1920日(金)号】

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