知事発言で賛否
JR貨物駅移転 沼津、富士関係者に波紋
JR沼津駅周辺鉄道高架事業で懸案の貨物駅移転問題。川勝平太知事が、沼津市原地区の予定地にとらわれず、富士市内への移転検討も示唆したことを受け22日、関係者の間に波紋が広がった。
沼津市では推進、反対の双方の関係者が対照的な反応を見せた。
「最優先してもらいたいのは高架の早期完成だ」。沼津駅の高架化を実現する市民の会会長の市川厚沼津商工会議所会頭は強い口調で事業の遅れを懸念。栗原裕康市長は「報道を見た伝聞の状況にすぎない」と複雑な表情を浮かべた。
原地区への貨物駅移転に反対する市民グループは前向きな受け止め。住職の松下宗柏さんは「売却した地権著も含めた住民が原地区に貨物駅を望んでいない」と強調し、来年度に本格化する住民参加の協議(PI)でも、「積極的に主張する」と意気込んだ。
一方、移転先として突如、浮上した富士市の鈴木尚市長は「知事から全く説明がないので驚いている。富士市への移転など誰も想像していなかった」と困惑した。生産縮小される日本製紙の工場の跡地利用策として知事が言及したことに、「どういった裏付けがあって発言しているのか」と疑問を呈した。
県が6月に示した事業推進方針には、貨物駅について「近傍駅への統合など他の選択肢の議論を否定しない」とあり、森山誠二交通基盤部長は「知事の案は推進方針に基づく例示とも言え、PIのテーマになることは考えられる」と話した。
JR貨物の広報室は「現在の駅の機能維持を前提に事業へ協力するスタンスは今後も変わらない」。現状で9㌔の移動距離が伸びれば、顧客などへの影響が懸念される。
(静新平成23年12月23日朝刊)
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