西山助蔵
ハリスに仕えた 助蔵の生きざま紹介
横浜・杉本さんら 幕末期の下田漫画に
江戸時代末期、下田市の玉泉寺に置かれた国内初の米国総領事館で、初代総領事タウンゼント・ハリスに仕えた下田出身の西山助蔵(1842~1921年)の生涯を描いた漫画「助蔵物語」が21日、伊豆市の長倉書店から出版される。原作は「幕末お吉研究会」(下田市)代表の杉本武さん(58)=横浜市=、絵は熊本県在住の漫画家荒木浩之さんが担当した、杉本さんは「激動の幕末に少年時代を過ごした助蔵の生き方を多くの人に知ってもらいたい」と熱っぽく語る。
下田の名主の子として生まれ、後に足軽に取り立てられた助蔵は1856(安政3)年、14歳で玉泉寺に住み込み、近所の村山滝蔵と共にハリスと通訳のヘンリー・ヒュースケンの小間使いになった。領事館が東京・麻布の善福寺に移転した際も同行した。70(明治3)年まで勤務し、下田に戻った。その後は山仕事をしながら、78歳で生涯を終えた。
杉本さんは開国史の悲劇のヒロインとして知られる「唐人お吉」こと、斎藤きちの生涯を研究する中で、助蔵の存在を知った。漫画にはお吉の他、助蔵の上司として後に「商業写真の祖」として知られる下田出身の写真家下岡蓮杖も登場する。
本は販売開始に先立ち、下田市内の全小中学校に寄贈された。杉本さんは「助蔵は何かを成し遂げた"偉人"ではないが、少年時代から多くの人と接し、開国の時代を人間臭く、たくましく生きた。コロナ禍で世界が変化する今の子どもたちにも何か感じてもらえたら」と願う。
「助蔵物語」はA5判、1800円(税別)。下田市内など県内書店の他、同市の下田開国博物館などで販売する。問い合わせは長倉書店〈電0558(72)0713〉へ。(下田支局・尾藤旭)
【静新令和2年8月20日(木)夕刊】
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