2021年11月3日水曜日

自民党に25年ぶりの議席 衆院小選挙区静岡第6区 (沼朝令和3年11月3日記事)

 

自民党に25年ぶりの議席

 衆院小選挙区静岡第6



 1996年の衆院小選挙区導入以来、825年間、衆院小選挙区静岡第6区での議席を取れずにいた自民党。今回選で4期目を目指した勝俣孝明氏が、8期連続して当選していた立憲民主党の渡辺周氏を破り、悲願とも言える小選挙区での議席獲得を果たした。

 1019日の公示に始まった12日間にわたる運動最終日の1030日、最後の訴えを行って打ち上げた後、勝俣氏は囲み取材に応じ、12日間にわたった運動を総括。手応えのあった様子をにじませていた。

 勝俣氏は運動を振り返り、今回は個人演説会はやらず街頭演説一本に絞ったことを話し、「(施設の中での)個人演説会は、そこに来た人がけを相手にすることになるが、街頭では(通行人など、そこにいる人だけでなく、声を聞いた人が)家から出てきて聞いてくれたり、関心の高さが見えた。今まで(の選挙)と違った形のものを感じ、反応もあった」とした。

 また、コロナ対策を含め政府に対する不信感的なものを感じる一方で、「期待感を感じ取ることもできた。(街頭演説では)『頑張れ』という声もかけられ、いいにしろ悪いにしろ、箱(施設内での個人演説会)とは違った反応があった」と話した。

 さらに、「4年前(の小選挙区での敗戦)から、本当に自民党を選んでもらえるように、自民党を変えなければ、とやってきた。『野党がだめだから自民党』という消極的な選択ではなく、自民党を選んでもらえるということでやってきた」との思いを語った。

 一方の渡辺氏は、小選挙区での敗戦に「自分の不徳のいたすところ」だとし、比例代表での復活当選を果たしたが、立憲民主党県連代表を辞任する考えを示している。

 同党関係者によれば、「慰留しているが、本人の意思は固い。10日に特別国会が開かれるので、それ以降の話になるのでは。新しい代表を決めることになれば国会議員から選ぶことになるだろう」との見通しを話す。

 勝俣氏、渡辺氏の6区の市町別得票数は左の表の通り。



 これを見ると渡辺氏は、沼津市、清水町、長泉町、伊豆の国市第2(旧伊豆長岡町を除く)と、大票田や比較的有権者数が多い市町で勝っているが、伊豆地域の市町では軒並み、勝俣氏の得票数の方が多い。

 前回と比べて投票率が下がる中、勝俣氏が東伊豆町で前回を上回るほかは、勝俣氏、渡辺氏共に数字の多寡はあるものの、得票数を減らしている。

 前回選でも渡辺氏は伊豆地域で勝俣氏に後れを取り、沼津市、清水町、長泉町と票数の出る地域での優位により、631票差という際どい勝利を収めていた。

 それが今回は、これら票田で勝ちはしたが、沼津市では前回の1489票差から445票差、清水町は1101票差から880票差、長泉町が2208票から1886票差と、勝俣氏を大きく引き離すことはできず、伊豆地域での後れを取り戻すことはできなかった。

 渡辺陣営関係者は、4年前まで同陣営で渡辺氏を支援していた伊豆地域の県議が自民党入りしたことや漁協の引き締めが強かったこと、陣営の地方議員が少なくなったことなど全体として活動量が減退しとことなどを敗因として挙げている。

 全国的に見ても、小選挙区に議席を持っていた議員が小選挙区では勝てず、比例復活したことにより、比例ブロックで惜敗率次順位の候補者が復活できず、立憲民主党の議席減少につながった。

 また、今回選で注目されたのが、野党共闘。小選挙区で候補一本化が実現した区があり、静岡6区も該当したが、それが、どう機能したかは今後の野党の選挙態勢をめぐり、改めて検証の必要があるだろう。

 なお、比例代表選挙における6区での9党派別の得票状況は右の通り。与党の得票率が5割に及んでいる。

【沼朝令和3113日(水)号】

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