首相襲撃1週間
突如、投げ込まれた「筒」走る閃光、響く爆発音/混乱極まる会場
緊迫の瞬間共同記者撮影
岸田文雄首相の演説会場で爆発物が投げ込まれた事件で、首相の「番記者」として和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港に同行した共同通信の記者が、オレンジ色の閃光(せんこう)が走る爆発の瞬間を動画で捉えていた。突然飛んできて転がってきた筒状のものとの距離は、わずか1~2㍍ほど。退避して間もなく、大きな破裂音とともに自煙が噴き出し、焦げたような臭いが鼻を突いた。事件は22日、発生から1週聞となった。
和歌山県警は殺傷力の有無を確かめるため爆発の再現実験を行う方針。
事件は15日午前11時25分ごろに発生した。動画は、筒状のものが投げ込まれて首相が退避した直後からの約1分間。パイロンなどで仕切られた演説会場の外側から、記者がスマートフォンの録画機能を起動させた。
小雨が降る衆院補選の応援演説会場は、混乱に陥った。首相は数十㍍先の車の陰へ。記者は、避難した和歌山市の尾花正啓市長や衆院和歌山1区補欠選挙の候補者の脇を通り越した地点で、立ち止まった。
筒状のものから20㍍程度の距離となり、スマホを会場へ向けつつ首相をうかがった。「ドーン」と鈍い音が響き、大量の白煙が立ち込めた。
聴衆から悲鳴や怒号が飛び交、う。サイレンがけたたましく鳴る。警察官とみられる複数の男性らが、防御用とみられるかばんを折りたたみながら駆け出す。
「ただごとではない」。奈良市で昨年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件が、脳裏をかすめた。体がこわばり、心拍数の高まりを感じる一方で首相が車に乗って移動したと知り、急ぎ後を追った。会場の中央付近では、木村隆二容疑者(24)=威力業務妨害容疑で逮捕=が漁師らに取り押さえられていたころだった。
現場で撮影した記録をチェックし直す中で爆発の瞬間の動画が見!がった。
【静新令和5年(2023年)4月23日(日曜日)】
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