2012年2月7日火曜日

防犯灯LED化で波紋:沼津市

防犯灯LED化で波紋
 自治会連合会内に疑問の声
 市内に約一万五千基あるという防犯灯。これらは各単位自治会が市からの補助金を受けて管理している。市自治会連合会は昨年、この防犯灯に消費電力の少ないLED照明を一括導入する計画を高木孝会長の主導で打ち出したが、対応を巡って同連合会内部に波紋が広がっている。
 またエネビック社の名
 太陽光パネルに続いて
 高木会長が提案しているのは、ESCO(エスコ)事業方式によるLED導入。一般的に、この方式では、LED導入に関する作業や手続きの一切を業者が請け負い、器具の購入や改修、維持管理などにかかる経費も請負業者が負担する。
 電気料は自治会が負担するが、LEDの導入によって、それまでの料金より安くなり、節約された分や、これまで負担していた維持管理費から事業請負業者へ契約料を支払う形になる。
 これにより、自治会側は負担なしでLED防犯灯を付けることができ、新たな電気料と契約料の合計がこれまでの支出よりも安ければ、自治会の支出抑制になるというメリットもある。
 良いことづくめの計画のように見えるにもかかわらず、沼津市の自治会連合会を構成する二十八の地区連合自治会のうち、四割近くの連合自治会が計画への反対を表明している、といい、まだ広がりを見せているという話も伝わる。
 自治会関係者によると、反対の声として強いのは、まず「市全体でやるなら、なぜ市役所ではなく自治会連合会が主導するのか」というもの。
 市役所で自治会問題を担当する市地域自治課は、防犯灯は各自治会の所有物であるため、市が直接、管理運営などに携ることはない、という立場を取っているが、これに対して、「消極的ではないか。『エコのまち沼津』という栗原市長のスローガンは何のためにあるのか」と、同課の姿勢を疑問視する自治会関係者もいる。
また、自治会連合会の会合へは、エスコ事業コンサルタント会社と、環境関連器具販売代理店エネビック社の社員が同席し、事業の説明を行っているが、このエ社の存在も関係者の様々な憶測を呼んでいる。
 エ社は、市内公立小中学校に設置された太陽光パネルのメーカーである米国ソリンドラ社(昨年夏に経営破たん)の日本代理店の一つで、前沼津市議の親族である田上誠氏が社長を務めている。
 太陽光パネル事業では設置工事請負業者が、採用が決まっていたソ社製品を安全性の面から他社の製品に変更したいとの申し入れを行ったものの市教委事務局に受け入れてもらえず、結果的に申し入れを撤回する事態が生じたが、高木会長は、ソ社製品の採用を最終決定する市と工事請負業者との話し合いの場に同席。どういう立場での同席だったかの市議の質問に、教委事務局は、かなりの時間を置いてから、業者に依頼されて調整役を務めたことを市議会で明らかにしている。
 こうした経緯から、今回のエスコ事業計画に反対する自治会関係者の中には、エ社と高木会長との関係に疑問をはさむ声もあり、「LED導入は、ぜひとも進めるべきことだと思うが、今の計画はエネビック社ありきで、このような形で進めるのは納得がいかない」という。
 今週には、自治会連合会の臨時会が開かれ、高木会長は各地区連合自治会に対し、連合自治会を構成する単位自治会ごとに計画参加への賛否を確認するよう求めた。
 当初の予定では、業者との契約のために三月中に事業への同意を取りまとめることになっているが、単位自治会ごとの確認となると時間を要するだけに、今後の展開が注目される。
 【解説】 自治会関係者によると、防犯灯へのエスコ事業導入計画は、高木孝会長から自治会連合会に持ち込まれた、といい、市立小中学校への太陽光パネル設置事業導入の経緯と類似している。
▽事業計画の発端=太陽光パネル事業では、事業に使用できる国の補助金制度があることを高木会長が市に持ち込んだことが、市側の話によって明らかになっている。市は、これを受けて太陽光パネル事業の実施を決めている。
 ▽エネビック社とのかかわり"太陽光パネル設置事業を進めるに当たり、市は使用するパネルの機種を検討する選定委員会を開催したが、この委員会の開催期間中に工社設立の発表が、親会社であるバイテック社からされている。このため、当時の市議会では、この選定委員会とエ社設立が連動する関係にあったのではないか、との指摘もされている。
 今回、エスコ事業計画に関する自治会連合会の会合で、事業説明の段階からエ社の社員が防犯灯機材について具体的な説明をしている点を挙げ、「複数の業者や製品の中から条件の良いものを選ぶと思っていたが、実際はエネビック社の社員が来て、特定の製品について説明するだけ。はじめからエネビック社と契約することが決まっているのではないか」と見る関係者もいる。
(沼朝平成24年1月27日号)

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