三島の「カネサシ」あす閉店
街のレコード店に幕
創業117年「時代の流れ」
JR三島駅から南へ数百㍍にある商店街の一角。音楽のポスターが張られた店内には、レコードやカセット、CDが所狭しと並ぶ。約50年前に両親の後を継いだ金刺さんと妻の及子さん(73)が、二人三脚で店を守り続けてきた。
祖父伝之丞さんが、旧大仁町(現伊豆の国市)で時計店を創業したのは1902年。10年後に移転した沼津市追手町で店の規模を広げ、農機具や蓄音機も扱った。45年に沼津大空襲で店が焼失すると、翌年にはレコード専門店として再スタートを切った。70年からは三島店も開業した。
ビートルズやカーペンターズ、ピンクレディー…。レコード全盛の70~80年代には、店の売り上げもピークに。ヒット曲が次々と生まれ、同じレコードが1日に10、20枚と飛ぶように売れた。ビデオレンタルや貸しホール業も展開し、年商は1億円を超えた。
しかし、90年代に入ると空気が一変。レンタルCD店の台頭により客足が減り、2003年には沼津店を閉めた。その後は音楽配信やネット通販が普及し、最近の売り上げはピーク時の約20分の1。まだ続けられるとの思いもあったが、今年2月に閉店を決意した。
閉店の知らせを聞き、最近は県内外から店を訪れるなじみの客もいるという。勝さんは「正直さみしいが、これも時代流れ。お客さんのおかげで50年以上続けてこられた」と感謝した。(三島支局・仲瀬駿介)
【静新平成31年3月30日(土)朝刊】
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