柳下福蔵 県立工科短期大学校長予定者
「 やぎした。ふくぞう 2008~14年度、沼津工業高等専門学校長。15年度から同校名誉教授。静岡大大学院工学研究科修士課程修了。専門は生産工学、機械工作。神奈川県出身。74歳。」
聞きたい 実習重視で技術者育成 4月開校の実学の府
4月に静岡市清水区と沼津市にキャンパスを構える県立工科短期大学校は、グローバル化や科学技術の進展など環境の変化に対応できる実践的なリーダー育成を最重要視して理念やカリキュラムを設定した。地域産業界の期待や要望を踏まえて、実習重視の教育でものづくりの精鋭の輩出を目指す。
ー入学校の役割は。
「本県を支える技術者の育成が第一。不可能を可能にする人材を育てたい。県内の中小企業に目を向けると、現場で非常に優秀な若手が活躍している。長期的な視点で人材を育て上げて、現場リーダーの自覚を持った後継者を持続的に送り出していく必要がある」
ー教育の特徴は。
「実習を通して、現場で求められている技術を習得できる。新しい設備を導入できたことが大きい。技能検定の取得を積極的に奨励していく。技能五輪は成果を確認する機会と位置付けたい。第1期生の合格者にはアジアからの留学生が複数いる。生まれ育った環境が異なる人との実習は間違いなく刺激的だ。良い効果が出るだろう」
ー県内製造業の発展に必要な視点は。
「次世代自動車へのシフトなど変化の波は大きいが、どのものづくり分野でも品質を追求する姿勢は不変だ。最終製品の品質は、部品を供給する中小企業の加工精度に大きく左右される。中小の技術力のレベルアップが、本県の製造業が持続的に発展していくために不可欠だ」
ーどのような地域連携を展開していくか。
「地元企業と連携した実務教育や在職者へのリカレント教育は非常に重要だと考えている。中小經営者の多くは必死になって、環境の変化への対応を急いでいる。学生には、トップの焦りや悩み、目指す理想像を肌で感じてもらえるだろう。個人的には、ライフワークとして中小の研究開発を学術面から支援して論文を発表してきた。今後もいろいろな角度から、県内中小の価値を発信していく」
(聞き手=経済部・高林和徳)
【静新令和3年1月23日(土)朝刊「経済しずおか」】
0 件のコメント:
コメントを投稿