小中学生向け体験イベント
文化財センターで古代を体験
小中学生向けの文化財体験イベントが5日、志下の市文化財センターで行われた。
センター内には各所に体験会場が設けられ、同センターが静浦西小の跡地に開設されていることからも、あたかも文化祭のよう。小中学生が、きょうだい、父母や祖父母などと訪れて、様々な体験を楽しんだ。
3階では、古墳時代のアクセサリー勾玉(まがたま)や土器を作る体験。高尾山古墳を守る会(鈴木博会長)との共催で行われた。
古墳から多く出土する勾玉は儀式など特別な場面で使われたのではないかとされている。様々な素材のものがあり、沼津でも古くは弥生時代終末頃のガラスの勾玉が出土している。
この日は蝋石を用い、やすりで削って形を整え、ていねいに磨き上げ、子ども達は、根気のいる作業に集中して取り組んでいた。
また、粘土を使って土器を作る体験もあり、円形に整えた粘土を底にして、紐状にした粘土を重ねて成形していく。表面を指で平らにならしてから、縁や表面に飾りを付けた。
熱心に取り組んでいた府川雅春君(今沢中2年)は「意外に難しいが、めったにできない体験。縄文時代の人達は、なぜ、こんな風に飾りを付けてお洒落に作ったのか、不思議に思う」と話した。
自分で作ってみることで、その時代に思いをはせる機会にもなるようだ。府川君は歴史が好きで、将来は社会の教師になりたいと言う。
同じ部屋では、土器の表面の模様を写し取る「拓本」、土器の欠片をパズルのように組み合わせる「接合」などの体験も行われた。
また、「注記」と呼ばれる作業では細い面相筆を使い、土器の欠片に出土した場所などの情報を記入する。学芸員などが書いた文字は2㍉角程の大きさで精密に書かれている。
子ども達は、これを体験してみて難しさを実感したが、中には習字の心得があり、比較的上手に書ける子もいた。
2階の展示室では、「宇宙人を助けよう」と題した謎解きゲーム。
同センターの職員が作った謎解きの問題を5つ順番に解いていくと、最後の答えにたどり着く。子ども達は保護者と協力して、展示の中にあるヒントを探し、職員との会話からもヒントを得ながら、頭をひねって解き進めた。
1階では竹製の弓矢を射る体験もあり、また、火起こしを体験できるコーナーが人気を集めた。
擦り合わせた木の摩擦熱で火を起こす「舞錐式」と言われる方法で、専用の道具を動かし続けると、やがて火種が出来る。
一度、火起こしを体験してみたかったという小学5年の男子児童は汗を流しながら苦戦。焦げ臭いにおいがしてきても、なかなか火種にはならない。それでも根気よく、全身を使って道具を動かし続け、やがて着火した時の喜びは、ひとしお。
さらに、専門知識を持った職員が子ども達から夏休みの宿題に関する相談も受け付けた。
楽しみながら、文化財や古代の歴史に親しむことができ、特に歴史にかかわることに興味のある子どもには得がたい機会となった。
【沼朝2023年(令和5年)8月10日(木曜日)】
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