ごみ回収所安全策急ぐ
ひき逃げ事件で沼津の関係者 狭い道事故多く
沼津市松長の県道で自治会のごみ回収場所の管理当番だった親子2人が死亡したひき逃げ事件を受け、地元関係者が安全対策を急いでいる、沼津署によると、県道沿いは歩道が狭い住宅街で、死亡事故が多発している。同署は31日、現場診断を実施し、自治会関係者、道路管理者ら25人がごみ回収場所の移設など安全対策を協議した。
事件は15日午前5時半ごろに発生した。死亡した2人はごみ用のネットを取り付けていたとみられ、県道脇の回収場所付近に倒れていた。県道は片側1車線で、回収場所は幅約30センチの路側帯に設けられていた。通勤・通学時間帯は混雑し、夜間はスピードを出す車が多い。参加者は住宅街で道路の拡幅が難しい現状を踏まえ、回収場所の移設、当番の準備時刻変更などの安全策を提案した。
市によると、現場に近い松長、今沢地区の県道沿いにある回収場所17カ所は、移設候補地を回収場所の設置主体の自治会に提案する段階。ただ、個人宅に設置を依頼する場合、交渉が難航する可能性がある。
死亡した2人が加入していた松長自治会の班は事件翌週から当番の自発光式ベスト着用、コーン標識設置など独特の安全対策を始めた。高島修二会長は「道路の拡幅が難しいなら、路側帯を目立たせる工夫をお願いしたい」と求めた。
同県道では2014年以降、今回の事件を含めて死亡事故6件が発生し、7人が死亡した。土屋直也交通課長は「県道で事故時間帯の速度取り締まりを定期的に続ける」と話した。」 同署は2人をひき逃げしたなどの疑いで、同市大塚、鮮魚販売業五味孝行容疑者(85)を逮捕した。
【静新令和6年2月1日(木)】
親子2人が亡くなった事故現場で
関係者集まって診断し改善策考える
沼津署は交通死亡事故現場診断を1月31日、2人が亡くなった松長の県道柏原沼津線(旧東海道)で実施。沼津署をはじめ交通関係機関や地元自治会の関係者、地区の交通安全委員ら25人が死亡事故現場を点検し、再発防止策を検討した。事故が起きたのは同月15日午前5時半頃。近くに住む59歳の母親と33歳の息子が意識不明の状態で折り重なるように倒れているのが見つかり、その後、病院で死亡が確認され、20日に現場から遠くない場所に住む85歳の男が逮捕された。
亡くなった親子はゴミ当番として、ゴミ集積所にカラス避けのネットを張るために現場にいたところ、男が運転する東進中の荷台付き小型トラックの左側面が接触し、転倒した。
参加者は、人が集まれる場所で同署の土屋直也交通課長から、当日、親子は日の出前の暗い時間帯にゴミ出しの準備をしていたこと、トラックには整備不良の個所があったこと、旧東海道の西間門から富士市までの区間では過去10年間に15件の死亡事故が起きていて、登校中の小学生が犠牲になる事故もあったことなどを聞いた後、事故現場に移動。
現場付近の路側帯は狭いため、事故があったゴミ集積所の向かい側の歩道から道路状況を確認して現場を診断した後、再び場所を移すと、診断結果について、それぞれが意見を述べた。
県沼津土木事務所所の職員は「県道沿いにこれだけ住宅が張り付いていると道路を広げるのは難しい。事故を起こした車両は整備不良のため荷台後方の扉が開く状態になっていた。整備不良の車には乗らないようドライバーに注意を促すことが重要。ゴミ集積所は可能であれば移転した方が良い」と指摘。
交通安全協会沼津地区支部の役員は「ゴミ収積所の移設が今すぐには無理でも、反射材などの保安用品の着用はできる。この道路では道路幅が狭いわりにスピードを上げて走る車が多い。速度を抑える工夫が必要」とし、市に反射材40セットを寄贈した。
市生活安全課職員は「広報啓発活動でドライバーや歩行者の安全意識の向上を図る」、市クリーンセンター職員は「市長も、ゴミ集積所や回収の時間を見直すと言っており、松長、今沢両地区の17ヵ所に事故現場と同様に危険なゴミ集積所があるが、具体的にどこに移すかなど、道路管理者、地元自治会と共に検討していきたい」とした。
松長自治会の高島修二会長は、事故後の緊急対策として、事故のあったゴミ集積所付近にカラーコーンを設置し、点滅して光るベストをゴミ当番に渡したことを話し、「亡くなった2人の班では集積時間が午前6時から8時だったが、班によって違う。少しでも遅くできないか、移転も含め、5日に開く班長会議で協議したい」と話した。
土屋交通課長は「道路環境は変えられないので、現状、いかに安全に活用していくか考えて取り組む。整備不良車を確実に取り締まるとともに、移動式オービスを旧東海道線上に不定期に設置して速度違反の取り締まりを強化している。高齢者向け交通安全教塞で身体機能の衰えを実感してもらい免許返納も促していく」とした。
【沼朝令和6年2月1日(木)号】
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