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2019年9月18日水曜日

沼津・鉄道高架 移転用地収用裁決を申請


沼津・鉄道高架
移転用地収用裁決を申請
県と市提出 収用委審理へ
 JR沼津駅付近鉄道高架事業の前提となる貨物ターミナル移転用地の収用に向け、県と沼津市は18日午前、土地収用法に基づき、未買収用地の権利取得と明け渡しに関する裁決申請書を県収用委員会に提出した。収用委によると、一般的に申請の受理から数回の審理などを経て裁決するまで、おおむね7カ月程度かかる。裁決の後も地権者が明け渡しに応じなかった場合、強制収用の手続きに入る見通し。
 同日午前9時過ぎ、県と市の担当者が県庁内の収用委事務局に、裁決申請に必要な書類が入った段ボール箱2箱を運び込んで提出した。収用委は書類に不備がないか確認した上で、受理するかどうかを近日中に決める。申請期限は20日。
 申請書類の提出を受け、川勝平太知事は「申請後も沼津市とともに任意交渉を継続し、地権者の理解が得られるよう努める。その上で(移転予定地の)原地区の発展を第一に考え、現貨物駅の移転工事を第1期工事、高架事業は第2期工事として英知を結集し検討する」とのコメントを出した。

 貨物ターミナル用地の地権者のうち、買収に応じていないのは8月末時点で8件。未買収用地は計5334平方㍍で、用地取得率は94・2%となっている。収用委は関係者の意見を聞き、土地の補一償額や明け渡し期限を審理して土地収用の可否を裁決する。
 頼重秀一沼津市長と川勝知事は3日に県庁で会談し、裁決申請することで合意。賴重市長は13日の市議会本会議後、川勝知事は17日の県議会本会議で、それぞれ正式表明した。(政治部・名倉正和)
【静新令和1年9月18日夕刊】

2019年6月18日火曜日

 鉄道高架用地取得90% 沼津市


 鉄道高架用地取得90% 沼津市
 沼津市の頼重秀一市長は17日の市議会6月定例会一般質問で、JR沼津駅付近鉄道高架事業の前提となる貨物ターミナル移転用地(同市原地区)の取得率が90%になったと報告した。新たに4人との交渉が成立した。
 残りの地権者は14人で、未買収地は9290平万㍍になった。県、市が2018年10~11月に土地収用法35条に基づく立ち入り調査を実施して以降、13人が契約を結んだ。
 平野明文沼津駅周辺整備部長は関連答弁で、土地を提供する地権者が譲渡所得から5千万円の税控除を受けられる期限について「早い人は6月末、最後の人は8月中旬まで(に売買契約が必要)」と明らかにした。ただ、適用期限が過ぎても任意交渉は続けていくという。
 市は、9月20日が期限になっている県収用委員会への裁決申請に向け準備を進めている。市は6月21~28日までの間の4日間で、地権者に対し、申請に必要な土地調書と物件調書に署名押印を求める手続きを実施する。
【静新令和1年6月18日(火)朝刊】

2014年10月10日金曜日

横断施設整備「20年度」沼津鉄道高架事業 県が見通し

横断施設整備「20年度」
 沼津鉄道高架事業 県が見通し
 県は9日、JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴い、沼津市原地区に計画する東海道線をまたぐ歩行者用立体横断施設について、整備完了時期が早くても2020年度になるとの見通しを示した。県議会建設委員会で、宮尾総一郎街路整備課長が曳田卓氏(ふじのくに県議団、沼津市)の質問に答えた。
 立体横断施設は、原地区への新貨物ターミナル整備に伴い、鉄道で分断された南北の自由往来を確保するために整備する方針。9月補正予算案に調査費200万円を計上した。
 県によると、調査は本年度中に施設の位置や規模、構造などの条件を整理した上で工法を検討し、おおまかな事業費を算出する。
 富尾課長は、調査終了後に鉄道事業者との協議、詳細設計、住民説明などが必要になるとし、施設の完成時期は「順調に進んだとしても、さまざまな手続きに6年ほどはかかる」と説明した。
 一方、地元住民の間には生活環境悪化を懸念して貨物ターミナル整備に反対する意見がある。宮尾課長は「どのような対策を実施するかは、地域の方々と県、沼津市が一緒になって検討を進めていきたい」と述べた。

(静新平成26年10月10日朝刊)

2014年6月14日土曜日

沼津鉄道高架反対3グループ県会議長に陳情

貨物駅移転で県会議長に陳情
 地権者ら3団体が見直し求め
 原地区への貨物駅移転の見直しを求める三つの市民団体は十三日、県庁に多家一彦県議会議長を訪ね、二通の陳情書を渡した。
 訪れたのは、原貨物駅に土地を売らない地権者の会(殿岡利治会長)、郷土を愛する会(西原正道会長)、さわやか沼津2012(松下宗柏代表)の役員ら十三人。陳情後、記者会見した。
 陳情書は、地権者の会と郷土を愛する会合同の「沼津駅高架事業に伴うJR原貨物駅新設の見直し」に関するものと、さわやか沼津の「沼津駅付近連続立体交差(鉄道高架)事業」に関する二通。陳情要旨は次の通り。
 ①沼津市のローカルの問題として地元選出の四人の県会議員にのみ任せるのではなく、県議会が静岡県全体の問題として慎重に審議すること。②「事業推進」「早期着工」を促す前に、先のPIを尊重し、高齢化・人口減少などの深刻な諸情勢を考慮すること。③沼津市財政の現状と見通しなどを精査し、現地視察による実態把握や地権者の意見を聴取すること。④原西部地区へ高齢者対策、子育て支援の「健康文化タウン」の実現を検討すること。⑤これは、六十八人の県議会議員全員への陳情であること。
 記者会見に臨んだ松下会長は「この事業を例えるならば、さほど必要のない大きな家の建設を父親が計画し、『これは、お前達のために作ってやるものだが、長い年月が必要で借金もする。その借金はお前達が返しなさい』と、子や孫に言うようなもの。次世代の人々に対して無責任で迷惑な事業と認識し、懐具合と相談して外国の高級車(鉄道高架)ではなく、国産の大衆車(南北自由通路)を提案する」と理解を求めた。
(沼朝平成26年6月14日号)

 特別委の設置陳情
 沼津鉄道高架反対3グループ県議会に「慎重審議を」
 JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物駅移転に反対している地権者や住民の三つのグループが13日、県議会に対し、事業を検証する特別委員会の設置を陳情した。関係者が県議会を訪ね、多家一彦議長に文書を手渡した。
 グループは「原貨物駅に土地を売らない地権者の会」「郷土を愛する会」「さわやか沼津2012」。過去の経緯や党利党略にこだわることなく、社会経済環境の変化を踏まえ、県全体の問題としてすべての県議が関わって慎重に審議することを求めている。
 多家議長との面会は非公開で、関係者が終了後に記者会見した。このタイミングで県議会に陳情した理由については、川勝平太知事が7月までに事業の合意形成を図るとしている中で、6月定例会が始まることを挙げた。
 地権者の会と郷土を愛する会の加藤益久事務局長は「県議たちは(貨物駅移転予定地の)現場に足を運び、状況をしつかり見てほしい」と注文した。
 事業をめぐっては、知事が同地区へ貨物駅と歩道橋などをセットで整備する案を示している一方、反対住民らは待避線のみならば受け入れる譲歩案を伝えている。知事は住民らに「今が決断の時だと強く申し上げたい」などと促しているが、さわやか沼津の松下宗柏代表は「(譲歩案という)ボールを投げているのはこちら。決断するのは知事および県当局だ」と反論した。

(静新平成26年6月14日朝刊)

2014年2月21日金曜日

沼津・鉄道高架

 沼津・鉄道高架
 知事貨物駅移転へ私案
 原地区反対住民に提示
 JR沼津駅付近の鉄道高架事業をめぐり、川勝平太知事は20日、沼津市原地区への貨物駅移転に反対する地権者や住民グループのメンバー9人と県庁で会談し、同地区への貨物駅移転を前提とした私案を示した。
 川勝知事はこれまで、鉄道高架事業を実施すべきか否かの判断は示しておらず、高架化の前提となる貨物駅移転の意思が明らかになったのは初めて。会談は冒頭を除いて非公開で、郷土を愛する会の加藤益久事務局長が終了後に記者団の取材に答えた。
 加藤事務局長は知事の私案に「具体的には申し上げられないが、すべてのみ込むのは難しい」と述べた。原地区への貨物駅移転が含まれているかとの質問に「そういうことだ」と明言した。
 知事は貨物駅移転とセットにして県が取り組む関連事業を示したとみられ、加藤事務局長は「持ち帰って他の地権看らにも伝える」と説明。合後、県からの協議要請には応じる考えを示した。
 会談で住民らは貨物駅整備のための用地買収には応じない方針を強調した。地区住民らが提案した健康文化タウン構想の実現を求め、「そのための土地活用については柔軟かつ積極的協力する」と申し入れた。
《靜新平成26年2月21日(金)朝刊一面》

沼津鉄道高架化の貨物駅移転事業
 再延長6年見えぬ道筋
 知事私案の行方焦点
 JR沼津駅付近鉄道高架事業の鍵を握る貨物駅移転事業で、国土交通省などは事業期間を6年間再延長することを認めた。さらに川勝平太知事が20日、沼津市原地区への移転を含めた私案を提示したことも明らかになった。しかし、反対地権者らは用地買収には応じないとの姿勢を崩さず、事業進展の道筋はなお見通せない。
 高架事業をめぐっては、昨年末までの住民参加型合意形成作業(PI)が今後の方向性として4案をまとめた。知事私案は、この中で「貨物駅を原地区へ移し、貨物駅を活用して地区の整備を図る」とした現計画に最も近い案に沿った内容とみられる。知事は関係者の合意形成を目指す時期を7月としている。反対地権者らは土地買収をあらためて拒否する一方、協議には応じる意向も示している。今後は知事私案の行方が、計画全体の進展を大きく左右することになりそうだ。
 貨物駅移転事業は、県が主体となる施設整備と沼津市が手掛ける用地取得に分けられる。現計画期間はいずれも本年度末となっていたため、県と市は1月、2019年度末までの延長を申請し、18日付で認められた。期間延長は08年度からに続き2回目となる。
 県は「事業の方向性を再検討している中で現在の計画を止めるわけにはいかない。用地を取得できていない現実を踏まえた手続きの一つ」と説明する。
 高架化の前提となっている貨物駅移転事業次第では、高架本体や新車両基地の整備など関連事業も期間延長などの認可変更を迫られる可能性があり、事業全体の方向付けを急ぐ考えに変わりはないと強調する。
《靜新平成26年2月21日(金)朝刊32面》


2014年1月30日木曜日

沼津駅周辺鉄道高架化事業:知事「7月までに合意を」

沼津駅周辺鉄道高架化事業
 知事「7月までに合意を」
 川勝平太知事は29日の定例記者会見で、JR沼津駅付近の鉄道高架事業について、7月を期限に、沼津市やJR貨物、推進・反対双方の住民など関係者の合意形成を目指す方針を表明した。
 7月は、沼津駅北口のコンベンション施設の全面オープンが予定され、知事は「この時までに心合わせができているのが望ましい」と述べた。住民参加型の合意形成作業(PI)が示した4案について、知事自身がいずれの案で集約を目指すのかは明言を避けた。
 県は4案を基に、JRや市と協議を進めている。知事は22日に現計画で貨物駅の移転先になっている同市原地区の反対派住民らと会談した。
 知事は記者会見で4案について「どれも排除しない。それぞれ関係者の思いがあり、どうすればいいのかを考えている」とし、「互いに譲り合っていい結果が出るよう、職員には関係者に精力的に会ってもらい、私自身も環境整備をする」と説明した。
 さらに、「一番関心があるのは原の住民の方々の思いだ」とも強調。東海道線をまたぐ南北の歩道橋を同地区に設置する必要性などをあらためて指摘し、「原の方々には防災的な観点も認識してもらいたい。何とか原のためになるような方法に変えていきたいと思っている」と述べた。
《靜新平成26年1月30日(木)朝刊》

2011年6月18日土曜日

沼津駅鉄道高架事業

 対話重視も先行き不透明
 沼津駅鉄道高架事業
 知事、合意形成に意欲
 ゼロベースの検証の末に「関係者間の合意形成に努力せよ」との"注文"付きで現計画が支持された沼津駅周辺鉄道高架事業。県の有識者会議が17日、事業を「妥当」とする検討結果報告書を提出し節目を迎えた。焦点の貨物駅移転問題について川勝平太知事は未買収用地の「強制収用はしない」と明言。対話による合意形成に活路を見いだす構え。だが地権者ら反対派の説得に展望はなく、事業の行方は依然不透明なままだ。
 報告書をまとめた有識者会議の森地茂座長との会談。川勝知事は、提言された市民参加型計画策定手法パブリックインボルブメント(PI)方式について「強制収用という乱暴なことはしない。徹底的に意見を突き合わせ、合意してまちづくりに入るのが望ましい」と述べ、わが意を得たりの表情だった。
 ただ、有識者会議はPIに過大な時間をかけることが社会的損失につながるとくぎを刺す。知事は、再来年7月までの任期を目安に方向性をまとめる意向を示し、「今までと違うスピード感を持って進める」と述べた。
 反対派は態度を変える兆しはない。森地座長は「PIは現案を押しつける場ではない」と説明し、さまざまな立場の関係者が意見を交わし、事業を形作っていくことに期待を寄せた。
 県は関係者に報告書の内容の周知を図り、PIの具体的方法の検討に入る。高架事業に賛成、反対のそれぞれの立場の住民に再び、同じテーブルに着いてもらうだけの議論の土俵をつくることができるのかが、当面の課題となる。

 PI手法に不安も地元
 県有識者会議の報告書を受け取った川勝平太知事が「対話の継続」を打ち出した17日、鉄道高架事業の現場である沼津市では、反対、推進の双方が、まだ見えない「次の展開」への関心を寄せた。
 会議の委員に公開質問状を送るなどしていた地権者ら反対派は、知事が「強制収用はしない」とあらためて言及したことに「良かった」と一様に安心した様子。知事が開催意向を示した意見交換会に参加する意欲を見せた。
 しかしPI手法については「事業の白紙撤回も視野に入れる場なのか、現計画にただ納得してくださいというだけのものか、よく分からない」と指摘。グループは市役所で会見し、報告書で示された地域振興の有効性や費用対効果を頁っ向から否定した。貨物駅の「原地区移転」に対する反対姿勢も、以前と変わらない。
 PI手法は構想段階から市民意見を導入する手法で、都市計画決定された事業での導入事例は全国的に異例とされる。
 沼津市の栗原裕康市長は「知事が結果を『尊重する』ということは頼もしい。今後も推進に努力する」とし、「事業が防災面や地域の発展にいかに有益か、市民が具体的に描いた上で結論を導けるようなPIの場にしてほしい」と願った。
 市議会鉄道高架事業推進特別委の浅原和美委員長は「市民の多くが待ち望んでいる。一日も早い実現に期待する」と話した。
 【県有識者会議最終報告書骨子】
 ▼事業は沼津市都心部が抱える交通環境や市街地分断の問題を抜本的に解消
 ▼費用便益分析でも、社会経済的に合理性を有する
 ▼事業の合意形成に市民が参画するPI(パブリックインボルブメント)を導入すべき
 ▼沼津貨物駅の移転先は原地区とする現計画が妥当
 ▼規模縮小や近隣駅との統合はさまざまな問題が生じる。しかし、可能性についての議論は否定しない
(静新平成23年6月18日朝刊)

2010年2月11日木曜日

鉄道高架事業は、これからどうなるのか(下)長谷川徳之輔

 沼津駅周辺総合整備事業、鉄道高架事業は、これからどうなるのか(下)長谷川徳之輔

 これからどんな問題が出るか、どうして解決するか
 さて、このような事情にある沼津駅周辺総合整備事業はどう進むかである。
 第一に、六つの事業のうち、推進派の希望通り、原地区の貨物駅は中止されるだけで、残りの事業は、そのまま進むのであろうか。
 第二に、鉄道高架事業は中止されて、南北横断道路、屋上駅、屋上広場などの新規の事業に都市計画が円滑に変更されるだろうか。
 第三に、すでに沼津市が買収している鉄道高架事業予定地は、どう処理されるのか。
 第四に約三百億円の鉄道高架事業のための基金をどう経理処理するのか。
 第五に、貨物駅として都市計画事業の認可を受けている土地には、建築物の建築規制、土地利用の規制、土地の買い取り請求などの制限が付いており、いつまでも制限を続けるのか、また土地の買い取り請求に、どう対応するかである。
 第六に、ここまで事業を進めてしまった行政、議会の責任をどう間うのか、などなど。いろいろな問題を解決しなければならない。
 一番大切なことは、沼津駅周辺総合整備事業を考えた時点と今の時点では大きく経済社会環境が変わってしまったこと、これまでの考え方や仕組みが通用しなくなっていることを、市民も行政もしっかり認識しておくことであり、過去の失敗、不業績を今になってあげっらっても何にもならないことを認識すべきである。過去は過去として処理し、これからどうすべきなのかを考えなければならない。
 明確な決着が必要
 第一の問題は、それでは、都市計画は変更されず、なし崩し的に先延ばしされることである。
 事業は止まっても、計画をそのままにして、いつか復活するとして処理を先延ばしすることであり、行政の責任の先延ばしに過ぎず、従来は、このような対応がされることが通例であった。
 しかし、貨物駅の計画を止めては、残りの事業が進まないことは前述のとおりであり、先延ばしすることは問題の解決にはならない。表向き事業がストップして、鉄道高架事業は棚ざらしになるだけである。貨物駅の移転が消えるからには、全体の計画の見直しをしなければならない。
 第二に新しい計画を決めること、南北自由通路や屋上駅などに円滑に変更することができるかである。
 計画案、財源、費用負担などJRとの交渉、国、県、沼津市との調整を考えると、すぐに転換することは難しく、相当長期の時間を余儀なくされよう。まずは、小田原駅、清水駅などの事例を徹底的に調査して、情報資料を集めて、その功罪を市民に公開する。計画作成には、市民、商店街、専門家の参加を求めて、市民運動を高めることだろう。世論の力で市民意識を高めることしかなかろう。
 第三は、買収した用地を無駄にしないことである。
 富士見町地区、原地区には沼津市が買収した用地が散在している。土地の買収には利権が付きまとい、沼津市は、その実態を公表したがらない。しかし、どう利用するか考え、円滑に資産処理を進めるには、実態を隠すことなく、どのくらいの量があるのか、現在価値はどのくらいかなど、しっかりした情報資料を整備して、新しい利用方法を考えなくてはならない。
 原地区の貨物用地はまとまった土地であり、教育施設、医療施設や市民公園などに利用できよう。富士見町の土地は、鉄道高架事業用地を生み出すのではなく、良好な居住環境を整備するための区画整理事業を進めていくことであり、有効利用の道を探ることである。災い転じて福となし得るかどうかである。
 都市計画の事業制限、土地の買い取り請求 第四は、速やかに都市計画事業の認可を取り消すことである。
 都市計画法、土地収用法は、事業を推進するために、土地所有権の強制収用、土地利用の制限などを義務付け、逆に制限を受ける土地所有者の立場から、土地を時価で施行者が買い取ることを請求する権利が認められている。
 都市計画事業の認可の効果が続く限り、土地所有者の権利は不安定であり、また、事業を中止するにもかかわらず、施行者、沼津市は買収予算を計上し、要らない土地を買い続けなければならない。貨物駅の移転を中止するのであれば、早急に貨物駅移転の都市計画の事業認可を変更しなければならない。先延ばしして、放置しておく訳にはいかないのだ。
 使ってしまった基金の問題
 第五は、市民が営々として積み立てたはずの三百億円の鉄道高架事業を進める資金、基金がどうなっているか、しっかり経理できるかである。
 これまで鉄道高架事業の沼津市の負担は、三百億円の基金が積み立てられているから大丈夫だと説明されてきた。確かに現金であればそういう話も成り立つが、今果たして、この資金がどのくらいあるのか。
 積み立てた資金は現金であるわけでなく、土地の買収、他の事業への流用などで大半は使われてしまっている。基金の財務状況は必ずしも明確に示されている訳ではない。
 そもそも、鉄道高架事業のために積み立てたという基金が、もし鉄道高架事業をやらないとした時に、どう経理処理したらいいのか対応策は明確ではあるまい。貸付金だといわれる流用先の資金が返済される見込みもなかろう。使ってしまったものを取り戻すことはできないし、地価の変動で下がってしまった土地価格を取り戻すこともできはしない。
 真のリーダーの責任、出番だ
 第六は、究極の問題であるが、ここまできてしまったことの政治、行政の責任問題である。
 これまで二十年近く、無意味に、だらだらと進められてきたのは、中止することによって、それまでの事業に誰が責任を取るかが、はっきりすることを避けたい心理も、当事者には正直あったものと思われる。
 国、県、沼津市、それにJRが、それぞれの思惑でかかわってきたが、時代の転換により、これまで適切だと思ってきたことが変質してしまい、計画への疑問を持ちつつも、正直、転換を言いかねて、みんな、だんまりを決め込むか、責任を他に転嫁してきたのではなかろうか。
 折から中央政権も自民党から民主党に政権交代し、新政権はコンクリートから人へのスローガンで無駄な公共事業はやれない、やらないという方向を示している。新政権の中枢に位置する選良がこの沼津市から選出されている。
 今こそ、そのスローガンを実行するために、国土交通省、静岡県、沼津市、さらにJR当局を調整し、円滑に事態が解決されるように、舵取りする責任がある。川勝平太静岡県知事、栗原裕康沼津市長、いずれもこれまでの政策からは自由な立場にあり、県民、市民全体のために冷静、客観的に判断することができる立場にあると思う。まさに、これらのリーダーたちの出番だ。
 究極の責任は沼津市民にある
 究極の責任問題は、ここまで来たら、本来は鉄道高架事業の施行主体でもない沼津市、沼津市民が負わなければならなくなったことである。
 これまでの努力が無駄になったという思いもあるだろうが、さらなる負担を避けるために、方向転換は仕方がないと思うしかないと思わざるを得ない。
 この二十年の政治や行政の責任を問うたところで、市長や市議会は何回も替わっており、議会も市民も当時は鉄道高架事業を認めていたのだから、責任は市民全体にあると思うしかない。そう思うことが事態の解決を進めることになるのではなかろうか。今、問われるのは、沼津市民の冷静な判断、英知である。(おわり)(元大学教授、東京都)
(沼朝平成22年2月11日(木)号)