2012年8月12日日曜日
サンセットページェント中止(沼朝記事)
サンセットページェント中止に
来年以降もなく20年余の歴史に幕
沼津商工会議所、沼津文化協会、市自治会連合会などで構成し、市観光交流課に事務局を置く燦々ぬまづ推進委員会が主催し、毎年八月下旬に開いてきた千本浜海上花火大会「サンセットページェント」が中止となり、来年以降も開催されないことになった。
安全や経費の確保難しく
事業仕分けで「要改善」
同花火大会は、海の魅力を市民に再認識してもらうとともに、沼津の夏の最後を飾るイベントとして昭和六十三年以来、荒天による休止を除いて毎年開かれ、市内外から約七万人が千本浜を訪れていた。
中心市街地で開かれる狩野川花火大会では打ち上げることができない、開花直径三百㍍を超える尺玉花火、海中で炸裂する水中花火など、海上花火ならではの迫力ある約二千発を千本浜沖の台船から打ち上げてきた。
昨年は、東日本大震災の被災地復興業務のため、尺玉花火を打ち上げる台船が確保できなかったことから、「観客を満足させる花火大会ができない」こと、「節電により街路灯や公園灯の一部が消され、会場や、その周辺の安全確保が難しい状況にある」ことなどから、荒天以外では初めて休止となった。
今年は、同推進委員会の会議で、昨年に引き続き尺玉花火を打ち上げるための台船が確保できないことに加え、観覧工リアが限定されていないことから観覧場所が花火が見える範囲の海岸線全域に及び、「行政側の責任として観覧者の安全確保について改めて検討したが、現状では地形的に対応しきれない」ことが指摘された。
サンセットページェントの安全対策について市観光交流課の尾和富美子課長は、「海岸周辺には住宅街が隣接し、細い路地が何本もあるため、沼津夏まつりと同じように随所に警備員を配備することは困難。事故や災害の発生時に安全な避難誘導ができない」と説明する。
二十二年の開催時には、千本浜防潮堤で来場者の一人が、転んだ人とぶつかって大けがをし、「市の安全対策に不備があった」として、市と転んだ人の両者を相手に提訴。市は勝訴したものの、「防潮堤全体を照らす大量の照明が確保できない中、階段状に海に向かって傾斜する防潮堤で、夜間に来場者全員の安全を確保することは困難。これからも同種の訴訟が起きる可能性がある」と判断。
また、予算的に、四年度には市の補助金千二百万円に協賛金約三百万円が集まったが、二十二年度までに市の補助金は千四百万円へ増額される一方、協賛金は約百五十万円へと半減。
夏まつりの花火大会と同時期に事業所等に呼び掛けて協賛金を集める関係から、当初から協賛金が集まりにくい環境にあったが、リーマンショック以降の景気後退で、さらに減少。一般市民にも協力を求めたが、思うようには集まらなかった、という。
サンセットページェントでは当初、花火大会を前に様々な企画もあり、夕暮れ時から各種団体による歌や踊りのステージなどがあったが、花火が始まる時刻までは来場者が少なく、徐々に規模を縮小し、やがて休止となった。
また、千本浜海水浴場の海の家での飲食の販売もあったが、海水浴客の減少で海の家がなくなり、飲食の露天が並んだものの、これも年々縮小。
来場者も花火が始まるころに会場を訪れ、終了時刻には閉まっている商店や飲食店も多いため、花火だけを見て家に帰る人が多かった。
一方、駿河湾クルーズで洋上から海上花火を楽しむクルーザーやヨットなど船舶所有者の人気を呼び、サンセットページェントに合わせてディナークルーズを企画する都心部の旅行代理店などもあったが、接岸せずに都心から来て都心に帰る船も多く、市観光交流課でも「船舶での観覧者については全く把握していない」という。
経済効果や何隻参加していたのかは不明だが、花火大会が始まるころには、洋上に船舶が並んで光の帯を描き、来場者には協賛金に充てるペンライトを販売。花火の後、船団のイルミネーションに向けて来場者がペンライトを掲げて左右に振る「光の交換」イベントが恒例となっていた。
当時、会場では「洋上で見ている金持ちのために、なぜ自分達がこんなことをしなければならないのか」といった声もあったが、その後、イベントの縮小に合わせて「光の交換」もなくなり、結局、花火だけが残った。
さらに、二十二年度の事業仕分けで「市のイベント展開事業」の一つとして、同推進委員会が主催する冬の花火大会ウインターステージへの補助金二百万円、サンセットページェントへの千四百万円も含まれ、「要改善」に。
これを受けて、市で各事業の見直しを行い、まずは来場者が少なかったウインターステージが費用対効果を考えて二十二年度で休止。
サンセットページェントは継続方針にあったが、二十三年度の事業仕分けでも、にぎわいづくり企画推進事業の一つに含まれて「要改善」。各事業を見直す中、サンセットページェントに関する訴訟があったこと、協賛金が減少していること、安全対策の難しさがあることなど、複合的な理由から中止の結論に至った。
同推進委では「開催にあたり会場や周辺における来場者の安全確保が難しい状況にあることなどから、やむを得ず、このような結論を下すことになった」とし、「楽しみにしていただいている皆さんには深くお詫び申し上げるとともに、今後とも様々なイベントやキャンペーンを通して、沼津の魅力をアピールするための取り組みを展開してまいります」と市のホームページを通じて市民に理解を求めている。
(沼朝平成24年8月12日号)
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