市議会定例会一般質問始まる
「PI推奨案は市と相容れず」
市議会十一月定例会の一般質問が四日に始まり、午前中は志政会の加藤元章、頼重秀一、高橋達也各議員、未来の風の梅沢弘議員が質問に立った。
加藤議員は、沼津高架PIプロジェクトの結果として示された四つの推奨案を挙げ、鉄道高架を実施する場合、原地区に貨物駅を整備する従来案、貨物駅を近傍駅に統合して廃止する案、鉄道高架を行わない場合は、南北自由通路と橋上駅を整備する案と、これに加えて三つ目ガードと中央ガードに線路を跨ぐ立体交差(オーバーブリッジ)を整備する案を示し、結果についての認識と今後の対応を尋ねた。
栗原裕康市長は「PIは鉄道高架推進の考え方を持つ市民と反対する市民の合意形成のために行われた。四つの案は市の方針とは相容れず、費用対効果が望めないとされた橋上駅も含まれ、違和感がある。鉄道高架事業は、現在進めている沼津駅周辺総合整備事業の要であり、県に協力して推進していきたい」とした。
加藤議員は「これまでの経緯から違和感があることは同感。市として何が現実的で良いか、意思を示すことが大事」だとし、沼津駅周辺整備事務局の梶茂美局長は「県も市の意見は承知していると思う。現計画を県が選択しても、住民との協議や合意形成は必要だと思う」と答えた。
また加藤議員は、道路交通法が一部改正され、自転車で道路を走行する場合、左側の路側帯を通行することが義務付けられ、違反者には三カ月以下の懲役、または五万円以下の罰金が科せられることを挙げ、市内の自転車事故の状況を尋ね、「側溝のふたをふさぐなど、インフラ環境の整備が重要。市民の安全と法重視のため、特別枠と捉えた予算で対応を要望したい」とした。
若林直毅企画部長は、「二十四年度、市内では自転車が絡む交通事故が三百三十件あり、三件の死亡事故があった」、加藤久佳建設部長は「左側通行が困難な個所を直し、側溝のふたをふさいで路側線の設置などの整備を行う」と答えた。
続いて、頼重議員は「現在のごみ処理施設は耐震性がなく、大規模災害発生時に耐えられないため、新施設が必要不可欠」だとし、新しいゴミ処理施設の整備について質問。鈴木敬人生活環境部長は「基本構想を作り、生活環境衛生調査などを行うが、清水町外原地区の住民が建設に反対している。安全性と必要性を訴え、理解してほしいと考えている」と答えた。
頼重議員は「早急に解決すべき問題」だとし、反対の理由と清水町の立場について尋ね、鈴木部長は、昭和四十九年に当時の市長と交わした「(現在地や周辺に)増設も新設もしない」という約束があること、健康被害を懸念していることを理由としている、とする一方、「清水町では引き続き、(沼津市に)燃やすごみの受け入れを要請している」とした。
頼重議員は「ごみ処理は自治体の固有事業で、長きにわたって受け入れているのは特異なこと。清水町と良好な関係を続けるためには清水町の努力が必要」だとし、栗原市長は、「ごみ処理は自治体の責務であり、なんとしてもやるが、住民意識として自分の所は嫌だと思うのも当たり前。清水町と連携を密にしながら早期建設を図る」と答えた。
高橋議員は、「障害者就労継続支援」について質問。一般企業に就職可能な障害者が最低賃金で働くA型事業所が市内に十施設、障害者の社会参加を目的に日中活動を行うB型事業所が十六施設あり、「施設が増え続けて飽和状態になり、A型事業所は一般就労を目的としているが、事業規模の維持・拡大のために利用者を抱え込む懸念もある。今後も高い品質を保持しながら事業所数を増やせるのか」と質問。
真野みどり福祉事務所長は「事業所が増えて障害者の就労機会が拡大し適切な職種の選択肢が広がった。利用者の所得保障と地域での自立した生活支援、経済活動と就労訓練のバランスが大事。関係機関と連携して推進に努めたい」と答えた。
次に梅沢議員は、市立病院東側一画に進出計画がある大型商業施設「ららぽーと」に関する課題について質問。
大規模集客施設の郊外への拡散を防ぐ「中心市街地活性化法」から、地方都市の再構築を図るため、地域に必要な都市機能である医療、福祉、教育文化、商業などの整備と維持を支援し、中心市街地の活性化を図る国土交通省の「地方都市リノベーション事業」に切り替え、中心市街地と郊外開発を両立させる方針について、「リノベーション事業は、国に『ノー』と言われる可能性もあるのではないか。『一方を切り捨てなければならない』という市長の発言もあった。『ららぽーと』ありきの場当たり的な対応だ。もっと、いろいろな角度から検討するべき」とした。
また、「市立病院周辺の軟弱地盤に大型商業施設を建て大規模災害時に対策できるのか」「地盤改良や環境影響調査は、どこが炉行うのか」などと質問。
高橋強都市計画部長は「リノべーション事業は二十六年度中に国の採択を受けるために検討を重ねている」、若林企画部長は『軟弱地盤に配慮した工事や環境影響調査は開発事業者が行う。市としては適切な指導を行う」と答えた。
梅沢議員は「西武百貨店の撤退など、中心市街地の広域拠点性の低下は南北自由通路などを早期に造らなかったのが原因。イトーヨーカドーがららぽーと内に移転することも考えられ、大型商業施設の進出は中心市街地の疲弊を加速させ、とどめを刺す可能性もある。暮らしや産業の拡散から集約に向かう県の都市計画マスタープランにも逆行するのではないか」と質問。高橋部長は「地域特性を生かし、戦略的開発を図り、県のマスタープランの策定方針と整合性が図られている」と答えた。
また、梅沢議員は「先進自治体は莫大な費用に驚いている」としながら公共施設老朽化対策の進捗状況について尋ね、高橋部長は「基礎情報を収集整理して情報の一元化を図り、ライフサイクルコストを見て十七年度以降、統廃合や複合等のマネジメント計画を策定する」と答えた。
《沼朝平成25年12月5日(木)号》
沼津市議会11月定例会12月4日一般質問から
JR沼津駅 高架事業推進 県と連携
市長「橋上駅案に違和感」
JR沼津駅付近鉄道高架事業について、沼津市の栗原裕康市長は4日の市議会11月定例会一般質問で、「事業推進に向け、引き続き県に協力していく」とした上で、県が実施した住民参加型の合意形成作業パブリックインボルブメント(PI)の最終案に橋上駅案が含まれている点に「違和感がある」と指摘した。加藤元章氏(志政会)の質問に答えた。
高架事業をめぐる県のPIでは、現計画通り高架化して貨物駅を原地区に移転する▽沼津駅を橋上化して駅の南北を結ぶ立体道路を設けるーなど四つの案を示した。
栗原市長は4案について、「(2010年に行われた)県の有識者会議で費用対効果が望めないとされた橋上駅案が含まれているということに違和感を感じる」と述べた。梶茂美沼津駅周辺整備事務局長は「高架化する現計画が最良と判断している」と事業推進の姿勢を強調した。
市はPIには参加しなかったが、県と連携を強化する方針を示している。ただ、殿岡修氏(未来の風)が今後の県や市民との協議の進め方についてただしたのに対し、梶局長は「現時点では具体的に決まっていない」と述べるにとどめた。
「合意形成に向け努力」
ごみ処理施設で市長
反対住民に理解求める
沼津市上香貫のごみ中間処理施設の建て替え計画で、隣接する清水町外原区の一部住民が反対している問題について、栗原裕康沼津市長は4日、「ごみ処理は自治体としての責務。多くの清水町民の思いも踏まえ、合意形成に向けて努力していく」と理解を(志政会)の質問に答えた。
沼津市と清水町の境付近に位置する中間処理施設は、稼働から37年が経過し、耐震性が不足している。市は2020年の稼働を目標に新施設の建設を計画している。
一方、同町外原区は1974年に中間処理施設の増設、新設を行わないとする覚書を当時の沼津市長と交わしたことや、焼却炉からの排出物で「健康被害が懸念される」などを理由に、市の計画に反対している。
清水町は一般ごみの処理を沼津市に委託していて、新施設でも継続を望んでいる。同町の区長会も新施設の建設を要望している。鈴木敬人生活環境部長は「施設の必要性や安全性を十分に説明して理解を得ていきたい」と話した。
《靜新平成25年12月5日(木)朝刊》
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