2013年12月22日日曜日

 Pl報告会 県「住民とも協議の場」

 Pl報告会 県「住民とも協議の場」
沼津鉄道高架JR貨物と並行
県は21日、JR沼津駅付近鉄道高架事業の進捗(しんちょく)状況などを市民に説明する「PI報告会」を沼津市内で開いた。県はJR貨物との協議と並行して、住民に情報提供しながら地域づくりを協議する場を沼津市と協力して設ける方針を示した。
県の担当者は、住民参加型の合意形成作業(PI=パブリックインボルブメント)以降、県がJR貨物と4回、沼津市と5回、実務者レベルで協議を重ねてきたと説明した。
JR貨物との協議では、現計画通り貨物駅を原地区に移す場合、「移転先の地域に有益となる防災などの機能を持った駅にできないか」などと提案をしたという。PIで示された四つの代替案も一つずつ協議しているとして、「時間をかけずに条件整理をしていきたい」と述べた。
沼津市との協議では、PI 以降も住民が地域づくりに参加できる機会が必要との考えで一致した。PIには参加しなかった沼津市の担当者も報告会に出席し、「高架事業を推進する立場で、県に協力していく」と話した。
《靜新平成25年12月22日(日)朝刊》




県がPI活動結果を報告
市職員も出席「高架以外の案に違和感」
 沼津高架PIプロジェクト報告会が二十一日、県東部総合庁舎別棟で開かれ、PI勉強会メンバーや市民、県交通基盤部都市局の増田和仁局長ら担当者、市からは都市計画部の高橋強部長や梶茂美沼津駅周辺整備事務局長らが出席。県担当者が、同プロジェクトの発足に至る背景と目的、プロセス、川勝平太知事に提出されたPI報告書と内容、今後の進め方などについて報告した後、市民との質疑応答を行った。
 4案を1案に絞る段階
 市民間に出向いて説明も
 報告書では、PI活動の成果として、広く市民に情報提供でき、質の高い討議を重ね、議論を通じて信頼を構築しようとするPIの基本理念が具現化し、具体的な四案に絞られたことを評価。
 また、PIを通じて共有されたこととして、事業の方向が定まらず結果として地域づくりが停滞していることが最大の懸念で、効率的で効果の高い事業となるための工夫が重要だと指摘している。
 今後の方向性としては、評価軸を十分に踏まえることが必要で、互恵的解決の可能性を探ることが望まれ、沼津市や鉄道事業者など重要な関係者の関与を得ることが不可欠だとしている。
 また、報告害が提出された十一月十五日以降、同プロジェクトは沼津市と協力態勢について意見交換し市民、県、市による地域づくりなどについて五回協議していること、絞り込まれた四案をJR貨物に説明し、意見を聴く打ち合わせを四回実施していることを説明した。
 質疑応答に移り、最初の質問者は、高架事業は沼津駅を中心とする市街地の活性化を目指すもので、郊外に計画されている「ららぽーと」とは両立できないだろうと指摘。中心市街地活性化法と郊外再開発との関係について見解を求めた。
 県担当者は、「両立するかは沼津市の考え方」だとし、「市が進める事業に対して県が答える立場にない」とした上で、「中心市街地の活性化に寄与するものが(沼津駅の鉄道)高架化」だと答えた。
 次の質問者が、「来年の県議会二月定例会で県知事が鉄道高架か橋上駅・南北自由通路かの結論を出すと聞いているが」と尋ねると、県担当者は「二月になるかは未定」だと答えた。
 続いての質問者は「腹案がある」「原地区は、防潮堤はあるが津波など防災面が心配だ」との知事発言を捉え、「防災に有効な施設を持ってくれば原への貨物駅移転が可能であるようにも読み取れる」とし、「PI勉強会では、そのような議論はしていない」と批判。
 県担当者は「防災面についてはJR貨物と協議しているところで、(原に貨物駅を移転した場合、知事は)JR貨物の建物を津波避難施設として使うなどの案を考えているのではないか」と答えた。
 次の質問者は、沼津市が、なぜPI勉強会に一度も出席しなかったのか理由を尋ねたが、市担当者は答えず、代わって県担当者は「市は推進の立場。今までも、これからも県と協力して進めていきたいとの考えだ」とした。
 別の質問者は、栗原裕康市長が貨物駅用地の強制収用を決断したのに対して、市民有志が差し止めを裁判所に求めたが、知事が「自分の在任中は強制収用は認めない」としたことから請求を取り下げた経緯を説明した上で、市は法律上、強制収用できるのかを尋ねた。
 県担当者は、PI委員会の石田東生委員長が知事に提出した四案を一案に絞っている段階だとした上で、「(在任中は強制収用しない、と発言している)知事は強制収用しないだろう」と答えただけで、法律問題には触れなかった。
 次の質問者は、JR貨物との協議は示されたがJR東海との協議はどうなって、いるのかを質問。県担当者は東海にも説明しているが、貨物駅の移転先が決まらなければ東海は何もできない、との考えだと思う、と答えた。
 続いての質間者は、JR貨物との話し合いに沼津市も同席しているのかという点、市がPI勉強会に参加せず議会でもPIを無視し続けている姿勢をどのように見ているのかという点を尋ねるとともに、鉄道高架以外の事業には協力しないと明言している市の姿勢について見解を求めた。
 これに対して県担当者は、JR貨物との話し合いの席には沼津市の担当者もでていることを明らかにし、「沼津市には、いろいろ協力してもらっている。これからも協力してもらえると考えている」としたが、そのほかについては触れず。
 ここで市の高橋部長が「市は高架を前提にまちづくりを進めている。推進の立場で県と協力してきた。高架しない(橋上駅の)二案は違和感がある」と答えると、会場からは「答弁になっていない」との声が飛んだ。
 次の質問者は、県が言う総合的な情報の共有化は重要だとし、県が考える市民参加の話し合いとは、どういうものかを質問。県担当者は「PIプロジェクトの情報が新聞とテレビでしか伝わらないことから報告会を開いた」とした上で、「市内にある『まちづくり会議』に出向いて説明することなどを考えている」と答えた。
 この後の質問者が「県は高架推進の立場で事業認可を取っているので、PIが終わったのだから早く推進すべきだ」と主張すると、会場からは「何のためのPI委員会だったのだ」と抗議の声。
 県担当者は「PIで一案になれば、と考えていたが、(一案に絞れず)四案が提出され、現在検討しているところ。まちづくりは市の協力を得なければならない」と答え、報告会を閉じた。
 終了後、沼津駅周辺整備事務局長を最後に退職し、市民の一人として参加していた加藤裕孝さんは「報告会を開いたことは良かった。皆が事業内容を知るべき。沼津市にとって一刻も早く鉄道高架を進めなければならない」と話した。
 高架見直しの立場で市長選に臨んだこともある近藤泰平さんは「市がPIから逃げていたのに、PIが終わったら急に『推進の立場で協力します』とは、よく言えたもの。市民を愚弄するもので、PIの趣旨を理解していないのも甚だしい」とあきれ返った。
《沼新平成25年12月26日(木)号》

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