2019年8月25日日曜日

ユネスコサマースクール「沼津アルプストンネル見学」2019年8月14日



沼津アルプストンネルを見学
 ユネスコサマースクール参加の小中学生ら
 「ユネスコサマースクール」(沼津ユネスコ協会主催)が14日、沼津アルプストンネル(国道414号静浦バイパス)と市民文化センター2階会議室などで行われた。市内の小学4年から中学1年までの12人と保護者らが参加し、建設途中のトンネルで発掘された岩石の観察やトンネルを見学した。小中学生達に沼津アルプスの成り立ちなどを学ぶきっかけにしてもらいたいという企画で、伊豆半島ジオパーク推進協議会の鈴木雄介さんと県沼津土木事務所の井上拓也さん、鉱物1級鑑定士で『探検!日本の鉱物』(ポプラ社)の著者の寺島靖夫さんが講師を務めた。
 掘削や工法など学ぶ
 岩石の出来方も解説受ける
 はじめにマイクロバスで大平政戸地区に向かい、溶岩の通り道である火道だった山を見学した。火道は熱い溶岩が冷えて固まったもので、硬い石となり、浸食されにくい。
 続いて横山トンネル東側、清水町徳倉地区の沼商南側にあるゴルフ練習場で、ネット越しに珍しい地層を見学。さらにマイクロバスで下香貫側から沼津アルプストンネルに入り、反対の大平側出入り口付近でバスを降り、トンネルの中を見学。井上さんからトンネル工事の説明を聴いた。
 トンネルを掘るためには、爆破する壁面の数十カ所に穴を開け、1つ1つに爆薬を詰める創薬という作業を行う。爆薬はダイナマイトのことで、ダイナマイトを、ほぼ一斉に爆破すると噴煙が上がるが、その様子を撮影した動画がトンネルの壁面に映し出された。
 また、発破した所が上から崩れてこないように支保工(しほこう)と呼ばれる工事を行うが、その様子なども画面に現れた。
 トンネルが掘り進められると、次にアーチ形をした鉄骨を壁面に沿って設置し、鉄骨の間にコンクリートを吹き付けて固める。
 さらに、トンネルから山側に向かって長さ3、4㍍の鉄の棒のロックボルトを打ち込むというのが作業手順。
 ここで発破作業について、「1日で掘れた最長の長さは5㍍より長いか否か」とクイズを出題。
 答えは7・2㍍。1回の発破作業で掘れるのは1㍍から1・2㍍これを多い時は1日6回行い、1・2×6で7・2㍍になったという。
 トンネルを出てすぐの大平側斜面には、岩肌に斜めの模様があるが、これは、この場所が石切り場だった時のノミ跡。ここで採れた石は比較的軽く、火にも強いため、蔵を造ることなどに使われたという。
 最初に政戸地区で見た火道は、地下から溶岩が上がってきた所だ一が、トンネル内で見た岩石は火山灰が積もって出来たものだという違いがある。
 この後、バスで戻った下香貫側の工事現場で、参加者は発破作業で出た岩石の山から持ち帰る石を選んだ。
 昼食を挟んで、一行は市民文化センターへ移動し、鈴木さんと寺島さんの講義を聴いた。
 寺島さんは、政戸地区で参加者が方解石を拾ったが、方解石は炭酸カルシウムで出来た結晶であることを説明。
 「結晶というのは小さな分子が規則正しく集まって出来る。水晶も結晶で、私は、きょうトンネル内で水晶を見つけた。水晶は6角形の柱になっている」と話した。
 続いて岩石について。溶岩となって地表に出てくる石は火山岩で、地表に出て固まったもの。これに対して深成岩は、地下深くでマグマの熱がなくなって出来たものであり、ゆっくりと冷えて固まるから、きれいな結晶が出来るという。
 このほか、水や風などで運ばれてきた砂などが堆積して出来た堆積岩がある。堆積岩のうち火山灰が固まって出来たものを凝灰岩といい、石切り場で見たのは凝灰岩。
 また、海底に堆積したものが地下に潜って5㌔あるいは10㌔まで潜ると地熱で溶ける。溶けて岩になると鉱物の性質が変わるから変成岩という。
 堆積したものが地下に沈み込むのはプレートの動きによるもので、日本の海の底では太平洋から来たプレート(岩)が、深い所で450㌔まで沈み込んでいると言われる。10㌔ぐらいまで沈み込むと地熱があるため変成する。
 沼津アルプストンネルで見た岩は、そこまで深くないが、5㌔ぐらいまで沈み込んで出来たものだろうという。
 また、「山は少しずつ持ち上がっている。きよう見た山も持ち上がっている。山は常に浸食されているが、溶岩が出ている訳ではないので、削られたら山が低くならないとおかしい。それなのに高さをキープしている」ことを話した。
 寺島さんの地元には丹沢山があり。標高1、600㍍から1700㍍の所に地下10㌔で変成したと思われる岩を見ることができるという。
 さらに、「平野は少しずつ沈んでいるが堆積によって高さがキープされていると考えた方がいい」とした。
 50年前には今回のサマースクールでも見学したゴルフ練習場の上に石切り場があり、そこで採取したという水晶が参加者の前に置かれた。
【沼朝2019年(令和1年)8月25日(日曜日)】

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