台風19号の爪痕が市内にも
浸水被害や道路崩落、通行止め
大型で強い台風19号の接近・上陸に伴い、12日から13日にかけて狩野川や黄瀬川など河川の増水、大雨による地盤の緩み、高潮などの影響により、市内各所で水害や土砂災害が発生した。
大型台風で被害予測が事前に周知されたことから、ホームセンターなどでは11日までに防災用品やブルーシート、ロープ、養生テープ、懐中電灯、カセットコンロなどが飛ぶように売れ、売り切れになる店舗も続出。12日には来店者の安全を図るため、ららぽーと沼津、イトーヨーカドーなど大型店舗や商店の多くが休業した。
国土交通省は狩野川の水位上昇に備えて狩野川放水路のゲートを12日午前5時40分に開放。13日午前11時10分に閉鎖するまで放流を続けたが、12日午後には狩野川の徳倉水位観測所で氾濫危険水位に達するなど、水かさが増して危険な状態が続いた。
市では、静岡地方気象台による「土砂災害警戒情報」の発表を受けて12日午前9時、市内全域に警戒レベル4「避難勧告」を発令。河川氾濫の浸水地区、土砂災害の危険地区、その周辺に住む人に避難開始を求め、市内全域の小中学校や地区センターなど28カ所に避難所を開設した。
台風上陸後の12日午後7時ごろには、第三地区センターの524人、第四地区センターの291人、戸田地区センターの241人、大岡南小の198人、片浜地区センターの156人、大平地区センターの124人をはじめ、各避難所に2900人余りが避難し、台風が通過するのを待った.
市では、増水に備えて12日午前6時45分から大平徳倉排水機場の運転を開始。狩野川の水位が下がって排水の必要がなくなった13日午前3時ごろまで稼働していたが、排水が追いつかず、水没は防げなかったという。
床上浸水が発生した住宅では、家の周囲の道路や敷地が冠水する中、家人が総出で片付けに取り組んでおり、床上浸水した介護老人保健施設「おおひら」では、「一階の床は浸水したが、けが人もなく大きな被害はなかった」とし、職員が朝から清掃に取り組み、13日の午後3時ごろまでに消毒を終えて復旧した。
大平地区連合自治会の下山義昭会長は「江川の氾濫は久しぶりで、大平の被害は狩野川台風並みに大きかったように感じる」と話していた。
同地区を視察に訪れていた頼重秀一市長は「台風に備えて万全の態勢で臨んだが、場所によっては床上浸水などの被害も発生した。国や県と連携し、何が問題でこうなったかを精査し、今後の防災対策に生かしていきたい」とした。
市は15日、台風19号に伴う家屋等の被害に関する臨時相談窓口を大平地区センターに開設。18日までの間、午前9時から午後4時まで受け付けている。
一方、戸田地区では地区中心部を流れる大川の水位が道路近くまで上昇したが溢れることはなく、地元の1人は「台風自体の雨や風は、いつもよりも弱く感じた」と話す。海沿いでは高潮で海水が港の岸壁を超え、海辺の建物では床上浸水も発生した。
戸田港入り口付近の観光案内所では「土のうを置いていたが海水が入ってきた」といい、近くの宿泊施設では「バリケードを作って高潮に備えた。水は入ってきたが大きな被害はなかった」と話していた。
大川から流れ込んだ、わらなどのゴミは戸田港前の交差点にも堆積していたが、13日中に目立つ場所にあるゴミは大方片付けられたものの、御浜海岸までは手が回らず、漂流物で覆われたまま。
西浦地区から戸田地区にかけての県道沼津土肥線沿いでは数カ所で土砂崩れが発生。道路上に落石があり、戸田鬼川のガソリンスタンド近くのがけが大きく崩れて土砂が道路を埋め、自動車1台が通れる程度の隙間があるだけ。県道修善寺戸田線の修善寺方面に向かう道路は倒木や土砂崩れがひどく、とりあえず倒木の除去作業が進められた。
しかし、伊豆半島で土砂崩れなどの被害が多発し、土砂を運搬するダンプカーが不足していることから、15日現在、土砂を撤去する計画が立っていないこ.とから、しばらくは通行止めとなる見通し。
また、江梨地区の県道沼津土肥線では、高潮の影響により道路の一部が数㍍にわたって崩落して通行止めになった。
県の要請を受け、平沢の岸野組(岸野勝博社長)が13日から夜を徹して緊急工事を行い、14日には仮設道路が完成。片側交互通行ができる状態となり、井田、大瀬地区の通行止めによる半孤立状態が解消された。
今後、本格的な復旧工事が行われていくという。
浸水住宅から大量の家財等
大平地区で2カ所に集積
住宅への浸水被害があった大平地区では、水に浸かった家財道具など一般廃棄物が集められ、市が順次収集している。
大規模に集められているのは2カ所で、いずれも1・5㍍程の幅に、一カ所は長さ40ー50㍍、もう一カ所は10㍍程。
冷蔵庫、洗濯機、ソファなど大型の家電、家具や扇風機、また畳も目につく。
市クリーンセンターによると、有料のごみ受け入れの場合でも通常、畳は受け付けておらず、畳を取り扱っている店などに処分してもらうのが本来で、今回は特別だという。
廃棄物は分別されないまま山積みされているため、収集に当たる同センター職員が分別しながらの作業に時間を取られているが、同センターでは「なるべく早く処理したい」としている。
【沼朝令和1年10月16日(水)号】
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