2019年10月17日木曜日

未来に備えよ 仙石規


未来に備えよ 仙石規
 
十月十二日に襲来した大型台風十九号は県東部と伊豆に大雨をもたらし、狩野川の水位は上昇して危険域に達しました。
 当日の朝八時、雨に濡れながら市場町側の川堤より、御成橋周囲の状況を見に行きました。
 アンダーパスの遊歩道も濁流に呑まれ、橋桁近くまで水位が上がっていました。「口野の放水路が開放を始めれば大丈夫かな」と思って戻りましたが、帰宅してテレビを見たら、既に放水路は機能していたとのこと。
「このまま伊豆の大雨が続いたら堤防決壊もあり得る」と、ぞっと感じました。
 今回の台風が、昭和三十三年九月に襲来した「狩野川台風」並みの災害をもたらすのではないかと気象庁は前日、警戒を発しました。
 当時二歳直前だった自分は家族と共に、今はマンションになっている「静岡銀行香貫支店」に避難して、不安な時を過ごした想い出が残っています。
 台風が去った後の狩野川は、まさに地獄絵でした。永代橋の橋脚には、上流から流されてきた学校の建物の残骸や、人や家畜の死体が引っかかっていました。
 昭和四十年に狩野川放水路が稼働し、自分も放水路があるから大丈夫と過信していましたが、地球温暖化で大型台風が立て続けに発生するこの頃、今までの経験では計り知れないことが起こり得ます。さらなる対策が必要ではないでしょうか?今回も大平地区の狩野川支流の氾濫で、介護施設も浸水しました。
 御成橋は、前身の港橋時代とその後の初代御成橋の時代には、台風や洪水が襲来するたびに落橋を何度も繰り返しました。昭和十二年の市制記念日に開通した現在の御成橋は、八十二年間も台風・洪水・太平洋戦争の空襲に耐え、沼津市民の生命を守ってきましたが、これらは過去のこと、今後予想される大地震の津波や台風に耐えられるでしょうか?
 今回の台風で濁流が迫っている御成橋の写真が、某大手検索サイトのトップに掲載され、アクセス数が最多になっていました。全国の人々も、沼津の水難の恐ろしさを感じたことでしょう。
 これほどまでに堤防決壊の危険性が迫っていたのに、当日の市の対応は「甘い!」の一言です。
 避難勧告レベル4が発令されてから、市の無線放送がそれを伝えるまで、かなり時間がかかっていましたし、初めの放送は雨風により聞き取れませんでした。
 海と山と川に囲まれた沼津は、牙をむいた際の天災の恐ろしさを忘れずに、天災対策を高める必要があります。
 台風が去った後の御成橋下流の魚町河岸は水没し、一階ガレージに泥が詰まっている所も確認されました。首都圏、上信越、東北地方で思わぬ大河川の氾濫が相次ぎ、犠牲者も多数出ています。
 沼津よ、沼津駅付近鉄道高架事業の強引な進展や大型ショッピング・モール開業等で浮かれている場合ではないでしょう!高齢化が進む市民の命を守る防災対策が第一です。
(市場町)
【沼朝令和11017日(木)「言いたいほうだい」】

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