鉄道高架 沼津市長「大きく前進」
用地所有権取得 一部地権者は反発
JR沼津駅付近鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への貨物ターミナル移転を巡り、沼津市の頼重秀一市長は8日、全ての未買収用地の所有権取得が完了したことについて「事業が大きく前進した」と述べた。一方で、一部地権者は補償金の受け取りを拒否。土地の明け渡しにも応じない構えを見せていて、県による行政代執行(強制収用)を回避できるかは見通せない。
市は土地収用法に基づき、売買契約に応じなかった7件9人の地権著に補償金を支払って所有権を取得した。地権者が土地の明け渡し期限までに物件の移転を済ませなかった場合、県は行政代執行で物件を撤去できる。
市によると、同日に期限を迎えた3件の地権者は明け渡しに応じる意向という。頼重市長は「(県収用委員会による)裁決を重く受け止め、対応していただきありがたい」と謝意を示した。
明け渡し期限は地権者によって異なり、最も遅い期日は11月5日。頼重市長は「(鉄道高架は)沼津の未来のビジョンを語る上で欠かせない事業。重要性を説明して理解をいただけるよう、地権者に対しては最後まで丁寧に対応していく」と強調した。ただ、複数の地権者は補償金を受け取らず、法務局に供託された。「原貨物駅に土地を売らない地権者の会」の久保田豊代表は「代々受け継いだ土地を売りたくないという思いは無視され、土地を行政に持って行かれた。法律を盾にしているが、私にとっては泥棒と一緒だ」と憤った。「(事業認定無効などを求めた)訴訟も終わっていない。明け渡し期限までに物件を片付けるつもりはない」と語気を強めた。
【静新令和2年6月9日(火)朝刊】
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