2020年6月11日木曜日

加藤学園夢、再び 甲子園交流試合決定


加藤学園夢、再び
 初出場が決まっていた今春の選抜高校野球大会が中止になり、悲嘆に暮れた加藤学園高(沼津市)ナインに10日、吉報が届いた。日本高野連は、選抜出場予定だった同校を含む32校を対象にした甲子園交流試合の開催を決定。幻と消えた憧れの舞台に立つチャンスが、再び巡ってきた。
 一度は諦めた舞台「全員野球を」
 甲子園交流試合決定

 「腐らず頑張っていればいいことがある」。加藤学園の米山学監督(42)は同日、沼津市内のグラウンドでナインに報告した。「機会を用意してもらいありがたい。みんなで元気を出してやっていこう」と呼び掛けた。マスク越しの選手の表情を確認し「相当びっくりしていると思う。でも良かったという声も聞こえた」と語った。
 試練続きの日々が報われた。勝又友則主将(3)は「コロナの影響で"当たり前”がなくなり、全員で野球ができる喜び、仲間の大切さを感じながらやってきた」と振り返る。一度は諦めた夢。それだけに「最高の仲間と最高の舞台でプレーできる」と喜びは大きい。
 自主練習期聞に毎日白米6合を食べるなど体づくりに励んだ肥沼竣投手は、直球の最速を143㌔に更新。「不安な日々を乗り越えて精神的にも自信になった」。聖地のマウンドで「全国の強豪に自分の力がどれだけ通用するか試したい」と、心身共に成長した姿を披露するつもりだ。
 同校硬式野球部OB会の畑祐助会長(39)は「1試合でもできて良かった」と感謝する。OB会では甲子園のアルプススタンドに掲げるため、”縦1㍍、横14㍍の横断幕を作成した。現時点では無観客が原則だが、「甲子園に掲げてもらえたら」と期待した。
(運動部・結城啓子)
 「朗報、活躍祈る」 頼重沼津市長
 沼津市の頼重秀一市長は「春の大会出場が決定しながら、諦めざるを得なかった選手や家族学校関係者にはこれ以上の朗報はないと思う。市としても、選手が晴れ舞台で活躍することを心よりお祈りする」とのコメントを発表した。
【静新令和2611日(木)朝刊】


加藤学園高、夢の大舞台へ
 センバツ32校が甲子園で交流試合
 8月中旬に各校1試合
 県内でも夏季大会を開催


 日本高校野球連盟(高野連)10日、オンラインによる理事会を開き、3月に中止
となった第92回センバツ高校野球大会の代替試合として「2020年甲子園高校野球交流試合(仮称)」を8月中旬に阪神甲子園球場で開催することを発表。センバツ大会への出場が予定されていた加藤学園を含む32校を招待し、甲子園で各校が1試合のみを行うことになった。
 センバツ大会は319日から31日まで延べ13日間の日程で甲子園での開催が予定されていた。その後、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、高野連は同月4日に無観客試合を前提に準備を進める方針を示したが、11日の臨時運営委員会で正式に中止が発表された。
 さらに520日には高野連が夏の全国高校野球選手権大会と代表チームを選ぶ地区大会の中止を発表し、今夏で部活動を卒業する3年生球児の甲子園への道が断たれることになった。
 一方で、3年間の集大成の場としての代替大会の開催について、各都道府県高野連に判断が委ねられ、県高野連は5日、県独自の代替大会「2020夏季静岡県高校野球大会」を開催することを発表した。
 それによると、711日から81日までの8日間、県内の109チームを東西2ブロックに分け、準々決勝まで東側、西側の各地区同士で対戦することで、移動による感染リスクを抑える。また、休校による球児達の体力低下を考慮して全試合「7イニング制」を採用したトーナメント方式で対戦し、選手や保護者の一部を除く無観客で試合を行うというもの。
 センバツ大会や夏の大会が中止になった悔しさ、部活動の自粛期間などを乗り越え、代替大会での県優勝を目指して部活動を再開した加藤学園高野球部(米山学監督)
 足高の芝浦機械グラウンドで10日、練習開始を前に選手達を集めた米山監督は「いろいろな思いはあるが、頑張っていれば良いことはある」と、甲子園で試合ができることを発表した。
 勝又友則主将は「日頃の練習の成果と、いろいろな人が動いてくれたおかげ。周りの人に感謝しながら、全力で、自分達らしい試合をしたい。最高の仲間と最高の舞台で戦いたい」と喜んだ。
 新型コロナウイルスの影響で全体練習はできなかったが、「仲間の大切さを痛感し、全員で野球をやることが決して当たり前ではないことを認識した。甲子園は昔からの夢なのでうれしいが、なによりも野球をできることがうれしい」と話した。
 組み合わせ抽選は718日にオンラインで行われるが、昨秋の東海大会で敗れた岐阜商との再戦を望み、県の代替大会では「野球はうまくなくても、全力疾走する姿を後輩に伝えたい」と言う。
 主戦の肥沼竣投手は、静岡商の高田琢登投手らとの体格の違いを実感し、自粛期間中に体力の増強を図り、食事量を増やして夜食に米2合を食べてトレーニングに励むなどして、「体が大きくなり、球速も上がった」と話す。
 「甲子園のマウンドに立てるのがうれしい。全国の強いチームと戦い、自分がどれだけ通用するかを知りたい」と意気込みを語った。
 米山監督は「試合が決まって素直にうれしい。センバツ大会が中止となり、生徒達には非常に複雑な思いはあったと思うが、それを押し殺して後輩のために頑張ろうと言ってくれた。自粛期間中の家庭でのトレーニングで、かなり体が大きくなった生徒もいる。夏の甲子園はなくなったが、代表として気を引き締めて交流大会に臨みたい」している。

【沼朝2020(令和2)612(金曜日)

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