60年の感謝を込めて 奈良 直紀
明けましておめでとうございます。
新型コロナウイルス感染が我が国で初めて見つかって以来、間もなく2年が過ぎようとしています。この間、ワクチン接種が進み治療薬が開発され、感染収束も間近と思っていましたが、昨年末には再び新たな変異株が発見されるなど、依然として予断を許さない状況が続いています。一日も早い感染収束を願ってやみません。
さて、私が勤務する(株)明電舎沼津事業所は昨年、事業所創設60周年を迎えました。実は当初、沼津事業所創設の予定はなかったのです。
昭和30年代前半、業容の拡大と製品の大型化が進み、東京の大崎・品川の両工場が手狭になってきました。新たな用地取得に向けて検討したところ、愛知県豊川市の旧海軍豊川工廠跡地に43万㎡の土地があることが分かりました。早速払い下げ交渉を進め、決定の段階まできた、ちょうどその時のことです。
近くにあった名古屋大学付属空電研究所から「新工場が建設操業されると電波障害が発生し、空電研究所の観測研究に支障をきたす」旨の苦情が届きました。その後も折衝を重ねましたが、残念ながら断念せざるを得ませんでした。
こうした状況の中で急きょ候補地に上がったのが沼津でした。当時から電力事情も良く、製品の輸送面でも東海道線の引込線が敷設可能で工業用の地下水も豊富、東京にも近く10万坪のまとまった土地がありました。合わせて沼津市の熱心な誘致活動と地域の温かい受け入れもあり、ついに沼津進出が決まったのです。
よって、私たちが今あるのも沼津のお陰であり、ご縁があったのです。以来60年の間、操業を続けてこられたのも沼津市はじめ地域の皆様からのご支援、ご協力があったからこそであり、私たちは、それに対する感謝の気持ちを決して忘れてはならないと思っています。
話を現在に戻しますと、沼津市では昨年、沼津版スマートシティプロジェクト「XーTechNUMAZU」がスタートしました。このプロジェクトは「ヒト」中心の新たな街づくり推進を目的としており、当社は環境・エネルギー分野で参画していくことになりました。
具体的には、温室効果ガスの排出抑制に向け、再生可能エネルギーの普及促進や環境を大切にする人づくりについて検討を行っていきます。長年の間お世話になっている沼津に、ようやく恩返しができるチャンスが巡ってきました。
今年、明電舎は創業125周年を迎えます。これからも、DNAとして受け継がれた社会貢献と誠実な姿勢で、地元沼津に貢献していきたいと考えています。
最後に、私自身、沼津への赴任は2回目であり、住み慣れた感じがしています。富士山と駿河湾の豊かな自然に囲まれ、気候も温暖で住みやすい。新鮮な魚や野菜、果物も多く、何よりも水が美味しいので、料理も全て美味しい。つくづく素晴らしいところだと思っています。
コロナ禍が過ぎたら、思う存分に沼津の素晴らしさを満喫したいと、今から楽一しみにしているところです。今年一年、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
(株式会社明電舎沼津事業所長、沼津商工会議所副会頭)
【沼朝令和4年元旦号「言いたいほだい」】
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