沼津の山正
沼津市の老舗すし店が2月から・鮮魚の卸と販売を開始する。全国の多彩な魚が集まる沼津港近くのスーパーに出店し、飲食と合わせて手掛ける。新型コロナ禍で業績が落ち込む中、あえて業態を拡充。「このまま沈むわけにはいかない」。新変異株「オミクロン株」の感染拡大で先行きに不透明感は増しているが、攻めの姿勢で打開を図る。
老舗すし店挑戦
鮮魚卸、販売へ
攻めの姿勢業態拡充
経営安定に向けて新たな収益を見込むのは、創業から50年ほどの歴史を持つ山正(竹下幸二社長)。以前から新業態を検討してきたが、コロナ禍を機に打って出ることに決めた。「コロナ以降は赤字続き。創業から今が最も苦しい」と3代目の竹下社長(46)。三島信用金庫の協力を得て、コロナ禍で新業態に挑む中小企業向けの国の事業再構築補助金を活用する。
出店先はマックスバリュ沼津南店(同市西島町)。
「先方の地元店を大事にしたいとの思いが、本当にありがたかった。救われた」(竹下社長)。沼津港から数百㍍という立地の良さもあり、同港からの買い付けと自社ルートで全国の鮮魚を確保する。「セントラルキッチン構想」として、仕入れた鮮魚を店内で1次加工(あら処理など)して卸や小売り、飲食客に販売する。加工品のネット販売も手掛ける。
竹下社長によると、同業者からの問い合わせが寄せられているという。コロナ禍で苦しんでいる仲間は多く、取引によって互いに支え合う形につながらないか模索甲だ。業態拡充に合わせ、スタッフの確保も急ぐ。少しでも雇用面で地域に貢献できればと言う。
沼津港は週末を中心に県外客が多く訪れる}大観光地。今後は地元客に加え、観光客の取り込みを目指す。板前の一人、天野佑樹さん(24)=伊豆の国市出身、=は「(新たな試みに)わくわくしている。自分も何らかの形で会社をもり立てたい」と力を込める。
(東部総局・高橋和之)
全国的に倒産増
2020年に国内で新型コロナウイルスの感染が始まって以降、全国的にすし店の倒産は増えている。
東京商工リサーチによると、コロナ禍が加速した20年度のすし店の倒産件数は前年度比45・4%増の32件で、15年度以来の増加どなった。休業や時短要請、外出や接待自粛などが響いた。
コロナ関連の倒産はすし店を含めた飲食店全体で顕著。帝国データバンクによると、今月12日時点の倒産は444件で業種別最多となっている。
地元の同業者も苦境という山正の竹下幸二社長は2月からの業態拡充について「沼津全体に活力を与えたいとの思い」と話す。
【静新令和4年1月26日(水)「ワイドしずおか」】
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