鉄道開業きょう150年
明治から令和へ生活の支え
各地で式典、イベント
明治時代の1872年に日本初の鉄道が新橋ー横浜間で開業してから14日で150周年を迎えた。徒歩で1日がかりだった同区閻は約1時間に短縮され、近代化の象徴となった。明治末期にはほぼ全国的な幹線網が完成し、産業発展に貢献。1世紀半が経過した令和の時代でも人々の生活や経済を支え続けている。14日以降、各地で記念式典やイベントが開かれる。
旧国鉄や国土交通省などの資料によると、開業式では新橋、横浜両駅に万国旗がはためき、明治天皇が乗車した。煙を噴き上げ疾走する蒸気機関車は幕宋の黒船来航に並ぶ衝撃を与え、海上に築かれた「高輪築堤(ちくてい)」を走る姿が錦絵に描かれた。
開業初年度の旅客数は49万5078人。1889年には東海道線が新橋から神戸まで開通した。1906年には全国の線路延長が官設と私設を合わせ、現代の約4分の1に当たる約7700㌔に。年間の輸送量は旅客1億2千万人、貨物2400㌧に達した。2019年度はJR各社と公営鉄道、私鉄各社の合計で旅客252億165万4千人、貨物4267万㌧に上る。
開業当時の列車は時速30㌔程度だった。1930年に運転を開始した超特急「燕(つばめ)」は東京ー大阪間を従来より2時間以上早い8時間20分で結んだ。64年の東海道新幹線開業で東京ー新大阪間は約4時間となり、現在は最速2時間21分にまで短縮された。
今後、さらなる高速化や自動運転などの技術革新、大都市の在来線と新幹線の延伸が見込まれ、リニア中央新幹線の建設も進む。他方でモータリゼーションの進展や地方の過疎化でローカル線は窮地に追い込まれ、近年の新型コロナウイルス禍で大手も含め鉄道事業の環境は厳しさを増している。
【静岡新聞令和4年(2022年)10月14日(金曜日)】
鉄道150年夢乗せ未来へ
開業の地新橋から記念列車
グッズや特別切符も
日本初の鉄道が1872年に開業してから14日で150周年を迎えた。JR東日本が開業の地の東京・新橋と横浜で、記念イベントや先人の業績をたたえる献花式を開くなど祝賀ムードが盛り上がりを見せる。記念の乗り放題切符やグッズが人気を集め、各地の鉄道でも行事がめじろ押しだ。
東京都港区のJR新橋駅では14日午前、開業100周年時に広場に設置された蒸気機関車(SL)の前でセレモニーを開催。東海道線のホームでは「お召し列車」から皇族専用の車両を除いたハイグレード車両、E655系「なごみ(和)」が記念列車として出発した。明治時代の鉄道錦絵や昔の駅前の写真を展示するイベントなども企画された。
横浜市中区の横浜外国人墓地では、鉄道開業に貢献した英国人技師エドモンド・モレルらの墓にJR東の幹部が献花。
節目の年を盛り上げるグッズや切符も登場した。JR東のショッピングサイトで販売している開業時の「1号機関車」の純金製模型は価格1500万円と高額だが、実際に購入した人も。11月末まで注文を受け付ける。全国のJR線の普通・快速列車の普通車目由席が、10月23日までの連続する3日間、乗り放題となる記念パスも好評だ。
開業150周年を巡つては、6日に墓泉駅の東京ステーションホテルで記念式典があり、天皇、皇后両陛下が出席された。国土交通省によると、JR西日本や四国、ローカル鉄道の事業者なども10月以降、記念列車運行などのイベントを開催している。
※日本の鉄道開業 日本初の鉄道は1872年に新橋ー積浜闇で開業した。同区間の運賃は上等が1円12銭5厘で、現在の約1万5千円に相当する。74年に大阪-神戸間が開業するなど、近代化の象徴として列島各地へ拡大。これに伴い、初詣や温泉旅行といった習慣も広まった。開業日の10月14日は1922年に「鉄道記念日」と制定され、JR発足後の94年に「鉄道の日」と改称された。
【静岡新聞(ダ刊)令和4年(2022年)10月14日(金曜日)】
0 件のコメント:
コメントを投稿