世界かんがい施設遺産に
「香貫用水(内膳堀)」登録決まる
「香貫用水」が「世界かんがい施設遺産」に登録された。6日、オーストラリアで開かれた世界かんがい排水委員会(ICID)の第73回国際執行理事会で登録することが決まった。
ICID日本国内委員会(事務局・農林水産省)が候補施設として申請していたもので、このほか日本からは磐田市と大阪府泉佐野市の施設が申請され、いずれも認定を受け登録が決まった。
ICIDは、かんがい・排水・洪水管理等の分野で、科学技術の研究・開発、経験知見等の交流の奨励及び促進を図ることを目的に1950年、インドで設立された非営利の国際NGO(非政府機関)。かんがい・排水に関する世界最大規模の専門家ネットワークとして活動している。
「世界かんがい施設遺産」は、歴史的かんがい施設をICIDが認定・登録する制度で、登録されるには次の3つの基準を全て満たすことが必要。
1、建設から100年以上経過していること。
2、ダムや堰、水路等のかんがい施設であること。
3、次の基準を1つ以上満たすこと。
①地域における農業発展、食料増産等に大きく貢献した施設であるもの。
②設計、施工等が当時としては革新的なもの。
③当時としては卓越した技術のもの。
などで、昨年までに世界17力国123施設、国内では28府県44施設、県内では深良用水(裾野市)と源兵衛川(三島市)が登録されている。
「香貫用水」は「内膳堀」の名で知られる。創設者の植田内膳に由来するもので、江戸時代初めに創設された。市では17世紀初頭(1629年頃供用開始)としている。
用水は、黄瀬川が狩野川に流れ込む大滝と呼ばれる地点から、やや川下に堰を設け、川の水を引き込む形で2本が設けられ、1本は上香貫村、もう1本は下香貫村に向かい、両村の水田のほとんどを灌漑(かんがい)した。堰は川の中へまっすぐに突き出した形ではなく、上流方向に湾曲した「袋堰」と呼ばれる構造。
2本の水路延長は5㌔に及ぶが、内膳が築造した当時は1本で途中で分流。後に1本が加わった。さらに枝分かれの水路を含めると総延長19・85㌔。現在でも主に下香貫地区の7㌶の農業を支える灌漑施設。築造に苦労したことから「泣き堀」とも呼ばれた。
本郷町の霊山寺には内膳と見られる植田三十郎の墓があり、同寺周辺は「三十郎新田」と呼ばれていた。香貫山香陵台には植田内膳顕彰の「植田内膳翁頌徳碑」が建つ。
【沼朝2022年(令和4年)10月8日(土曜日)】
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