松城家住宅「重文」公開
沼津修復完了漁師踊りで祝う
国の重要文化財に指定されている明治時代の擬洋風建築「松城家住宅」(沼津市戸田)が、2016年から続いた保存修理工事を終え、3日に一般公開が始まった。
同住宅前でオープニングセレモニーが開かれ、同住宅を所管する市教委の関係者や戸田地区の小中学生らがテープカットで新装公開を祝った。地元住民が漁師踊りと漁師唄を披露し、式典に花を添えた。頼重秀一市長は約150年前に建てられた同住宅の由来に触れ歴史的建造物を情報発信拠点として活用し、戸田の発展に結び付けたい」と話した。
今回の工事は建物を半解体し、鉄骨などで補強。しっくいの壁、バルコニーやかまど、便所などを復元した。しつくい鏝絵(こてえ)の達人として知られる入江長八の名作「雨中の虎」は残した。各部屋には建築当時の瓦や建築資材のほか、松城家の明治期の日用品などを展示した。
式典に先立ち、近隣の道の駅「くるら戸田」で講演会が開かれた。工事を担当した文化財建造物保存技術協会松城家住宅設計管理事務所の西沢正浩所長、市文化財保護審議会の川口宗敏会長(静岡文化芸術大名誉教授)が同住宅の特徴や価値を論じた。 同住宅の開館時間は午前9時~午後4時半。水曜と年末年始は休館。入館料は高校生以上300円、小中学生100円。
※松城家住宅 江戸時代後期から主に回船業で財をなした松城家の居宅。1873年に完成した主屋は2階建てで、2階外壁は白しっくい塗り。壁や天井に入江長八の鏝絵が残る。明治初期の擬洋風住宅としての価値や、高度な左官技術を評価され2006年7月、主屋や文庫蔵、門など7棟が国の重要文化財に指定された。
【静新令和4年11月4日(金)朝刊】
0 件のコメント:
コメントを投稿