2024年5月18日土曜日

公暁供養塔建立を計画  クラウドファンディング開始へ  【沼朝2024年(令和6年)5月17日(金曜日)】

 


 公暁供養塔建立を計画

 クラウドファンディング開始へ

 1219(建保7)年に鎌倉幕府3代将軍の源実朝を鶴岡八幡宮で暗殺した公暁の位牌が井出の大泉寺に安置されているが、墓所は存在しない。位牌が作られた経緯は不明だが、「公暁がここにいることを知り、手を合わせる全ての皆さまの象徴として大泉寺に800年の時を超えて供養塔を建立し未来につなぎたい」と、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放映終了後の23年、有志による公暁供養塔計画(GYPROJECT)が始動。今月下旬からCAMPFIREでクラウドファンディングを開始する予定でいる。

 大泉寺には同寺開基で源頼朝の異母弟、義経の同母兄の阿野全成と、子の時元の墓と位牌があるが、公暁は位牌のみで墓はなかった。大河ドラマの影響で参拝者が増えた同寺では、地域の活性化や観光振興も視野に入れ、全成の命日とされる623日を前に飲食の出店やイベントでにぎわう「阿野祭」を企画。大河ドラマ放映中の22年に初開催。今年も623日に予定している。

 -公暁供養塔計画は、大河ドラマを見ながら「鎌倉殿の13人」について文字で語らうLINEのオープンチャット参加者の1人で、公暁と河内源氏グッズのネット販売を手掛ける「善哉庵」の相原清美さんが発起人となって始動。

 大河では、俳優の寛一郎さん演じる公暁が運命に翻弄され、何一つ思い通りにならない人生を歩んだ末、鎌倉2代将軍だった父、頼家の敵として実朝を鶴岡八幡宮で暗殺し、間もなく自身も討ち取られ、19歳で非業の死を遂げた生き様が描かれた。

 オープンチャットでは、歴史に名を残したが詳細な記録や墓所もない公暁に思いをはせるコメントが相次ぎ、参加者の1人が「ロト6でー等に当選したら、公暁の供養塔を造りたい」と発したことがきっかけで、「当選を待つより私達が供養塔を造る活動をしてはどうか」と提案があった。

 メンバーでもある大泉寺の小島健布住職の快諾を得て、公暁の生き様や鎌倉時代、河内源氏や歴史全般を愛好する有志数人で活動が始まり、昨年6月に開かれた阿野祭の会場に募金箱を設置するところから活動が始まった。

 第1弾として、大泉寺や原浮島観光活性化プロジェクトチームとの共催で企画されたのが第1回「公暁祭」。命日の213日に近い今年224日に開かれ、公暁と時元の供養法要を行い、地元農産物を販売したほか、飲食を扱うキッチンカーが並んだ。

 この祭りでは、ジブリ映画「崖の上のポニョ」の主題歌を作曲した藤岡藤巻の藤岡孝章さんによる音楽ライブや、藤岡さんが制作総指揮を執り、娘の伶美さん(芸名PhilO・ふいろ)が脚本を書いて出演。主宰する劇団「風に吹かれて」による奉納演劇、公暁の生き様をテーマにしたパネルディスカッションなどが行われた。

 法要には衣装を着た劇団員らと、鎌倉を拠点に活動する「鎌倉もののふ隊」のメンバーも鎌倉武士の鎧兜姿で参列した=写真。

 奉納演劇の戯曲一公暁ーReVolution」は、プロのシナリオライター論理鼠さんが書き下ろした新作で、Philoさんも脚本に参加するとともに公暁役で主演。この日が初披露で、客演の2人と劇団員7人が出演した。

 公暁による実朝暗殺に至るまでの経緯」を独自の解釈で描き、歌や音楽も交えて軽快に演じ、鎌倉一もののふ隊も戦闘シーンに参加した殺陣もあり、客殿の階段や境内を舞台に迫力ある演技を見せた。

 今回、クラウドファンディングの代表を務めるPhiloさんは、太宰治の『右大臣実朝』に登場する公暁に魅せられて数十年、「鎌倉殿の13人」の公暁にも感銘を受け、公暁ゆかりの地を求めて足繁く鎌倉に通う中で、大泉寺に公暁の位牌があることを知ってからは度々同寺を訪れ、公暁供養塔計画に参加。クラウドファンディングの実施に向けて関係者と打ち合わせを続けてきた。

 「由来は分からないが、公暁を思い戒名を付けた誰かがいて、位牌が大泉寺に現存しているのは確か。公暁の供養塔を建立することで、歴史の1ページを形として後世に残したい。公暁にふさわしい供養の場を設けて魂を慰め、歴史に光を当て直す機会を設け、新しい名所として大泉寺と原・浮島地区、沼津市全域の活性化につながれば」とPhiloさん。

 目標金額は300万円を予定し、寄付金額によって内容が異なるリターンとして、小島住職による消しゴムはんこの御朱印、記念の缶バッジやクリアファイル、サイン入り戯曲脚本、公暁の足跡をたどるツアー、原・浮島の史跡ツアーなどを用意する。

 供養塔は五輪塔の形状で、境内にある阿野全成、時元の墓近くに建立する予定で、供養塔の周辺には銅板に文字を刻んだ芳名板や建立経緯の解説文を設置して後世に残すが、1万日から10万円まで金額によって文字の大ささが異なる寄付者の名前を芳名板に刻むリターン、ほかにも来年2月に豪華ゲス卜を招いて開催を予定している完成式曲への参加資格付与もある。

 小島住職は「全国の公暁ファンの若い人達が動き、クラウドファンディングが始まる。自分達4050歳代の就職氷河期世代は、自分の思うように生きられず、現在も様々な課題に直面し、公暁が生きた時代に通じるところもあり、若い世代の人達も19歳の若さで非業の死を遂げた公暁の生き様に共鳴する部分もあると思う。公暁の供養塔を建てて思いを寄せることで、若い人達の癒しや安心、将来への希望や勇気にもなればいいと思う。地元の歴史・文化を伝える新スポットとなるよう、1人でも多くの協力が得られたらと思う」と話している。

 なお、クラウドファンディングが始まるまでは予告ページ(QRコード)で情報を限定公開しており、開始と同時に寄付金の受

け付けが始まる。

 【沼朝2024(令和6)517(金曜日)






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