2024年5月23日木曜日

「袴田事件」 【静新令和6年5月23日朝刊 解説】

 

「袴田事件」


現在の静岡市清水区で1966630日未明、みそ製造会社の専務=当時(41)=方から出火し、ほぼ全焼した。焼け跡から専務一家4人の遺体が見つかり、県警は同8月、強盗殺人容疑などで住み込み従業員の袴田巌さんを逮捕した。袴田さんは勾留期限の間際に「自白」しだが、同11月の初公判で否認し、以降は一貫して無実を訴えた。80年に最高裁で死刑判決が確定。袴田さんの姉ひで子さんが20084月に第2次再審請求を申し立て、静岡地裁は143月、再審開始を認めると同時に死刑と拘置の執行停止を決定し、袴田さんは約48年ぶりに釈放された。一方、検察は地裁決定を不服として即時抗告。東京高裁は186月、一転して再審請求を棄却したが、釈放は維持した。最高裁は2012月、審理不尽の違法があるとして高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻した。高裁は233月、検察の即時抗告を棄却し、捜査機関によって証拠が捏造(ねつぞう)された可能性が極めて高いとの判断を示した。検察は特別抗告を断念。再審開始が確定した。

 再審公判は同年1027日に静岡地裁で始まり、検察側は有罪立証を維持した。法廷では、犯行着衣とされた「5点の衣類」の一部や凶器とされた「くり小刀」などが展示されたほか、取り調べ録音テープが再生された。公判回数は論告求刑を含め、計15回を数える。

【静新令和6523日朝刊 解説】



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