きょうも見学会受け付け
解体前のアーケード名店街一角
町方町・通横町第一地区市街地再開発組合(水口隆太理事長)は、アーケード名店街1街区の再開発事業に伴い、共同建築物(沼津本通防火建築帯)の解体工事が10月から行われるのを前に、解体前見学会を26日から実施。きょう27日も午前10時から午後3時まで見学を受け付ける。
同名店街は、戦災復興が進められる中、都市不燃化運動の先駆けとして、防火建築帯の共同建築様式により、店舗と住宅が混在し、ポルティコ(公共用歩廊)空間が連続する商店街として1953年に西側が、翌54年に東側が完成した。
電話線の地中化や角部の曲線化、横連窓など統一されたモダンデザインで、53年に日本建築学会賞(行政部門)を受賞し、全国的にも注目された。
それから70年。老朽化による雨漏りや耐震強度の不足で大規模修繕が必要となり、1街区約3000平方㍍で先行した再開発が決まると、建築学的、歴史学的な価値から、大学の建築関係学部・学科の学生が見学に訪れて、3D測量や写真撮影による建物全館の記録を求める声もあった。
見学会は当初、学生らに見てもらおうと企画したが、近隣住民からも見学希望の声があり、同組合と地権者の合意により、引っ越しが終わった店舗や住居部分を含む全館を一般公開することにした。
26日は開始と同時に見学者が集まり、対象となった5軒を開放。建物1階の店舗部分をはじめ、2、3階の住居部、全棟が連なる屋上までを見学。横連窓や屋上から通りを見下ろして、角の曲線部を内側から見た。
参加者の1人は「思っていた以上に建物の老朽化が進んで、修繕での対応は難しく、再開発の必要性を実感した」と話した。
上本通り商店街で柳屋化粧品店を経営する沼津史談会副会長の長谷川徹さんも訪れ、「地権者と家族ぐるみの付き合いがあり、アーケード名店街が完成する前から出入りしてきたので、思い入れが深い。完成した当初は全国から人が集まり県東部一の商店街として活気にあふれていた」と当時を振り返った。
また、「当初は建物を後ろに下げるセットバックにより歩道を確保する計画だったが、(同名店街通り東側にあった)松菱百貨店は鉄筋コンクリート製の立派な建物で、セットバックできないため、1階の一部を公共歩廊として市に提供して対応することになり、他の地権者も追随し、公共用歩廊空間が連続する商店街が誕生した」ことなどの歴史を紹介。
駄菓子屋だいこくやでは、3つの棟が連なる1階の店内を見学。海野伸男店主が、2つの棟の中間にある倉庫は、かつては落花生の煎り豆工場があった場所で煎り豆の販売から卸問屋としてスタートした同店や、商店街の歴史について写真入りポスターを示しながら説明し、「この機会に知ってもらえたら」と話した。
水口理事長は「建物は解体されるが、ノスタルジーやセンチメンタル的な恩いより、安心・安全な建物を次の世代に引き継げることに大きな意味を感じる。新しく出来るマンションの居住者を町方町目治会に迎え、共同俸コミュニティーを大切に継承していきたい」と語った。
見学会ではスタッフが同行して館内を自由に見学できる。予約は不要。時間内に同商店街の市街地再開発組合事務所前で申し込む。
【沼朝 2024年(令和6年)8月27日(火曜臼)】
沼津再開発伴い今秋解体往時の姿に思いはせ…
アーケード名店街 最後の内部公開 きょうまで
再開発に伴い、今秋にも建物の解体が始まる沼津市中心部の「アーケード名店街」で26日、解体前の最後の一般向け見学会が開かれた。来場者は、1953年に日本初の公共用歩廊を持つ防火建築として建てられた歴史的な建造物を見学し、往時や再開発後の姿に思いを巡らせた。27日午前10時~午後3時にも開催する。予約不要。
見学会は地権者と町方町・通横町第一地区市街地再開発組合が主催。アーケード名店街のうち、南西側にある「第一地区」(3千平方㍍)の3階建て共同建築の一部を公開した。来場者は建物の端にカーブを付けた独特の意匠を内部から見学したり、仕切りがほとんどない長屋形式の屋上に上がったりして、思い出を語り合った。
実家が以前、同名店街で婦人服店を営んでいた同市の小川美穂子さん(57)は「のぼりがたくさん立ち、にぎやかだった昔を思い出した。新しい建物がどうなるか楽しみ」と期待した。
解体後は1階に店舗、2階以上が住居の地上10階建ての建物が2028年に建つ予定。外観の一部は現在の建物の意匠を引き継ぐ。再開発組合の水口隆太理事長は「子や孫の世代にバトンタッチすることに意味がある。新たな共同体を生む再開発にしたい」と強調した。(東部総局・尾藤旭)
【静新令和6年(2024年)8月27日(火曜日)】
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