2018年11月17日土曜日

高校改編で県教委から説明聴く 沼津高女・西高の杜蔭同窓会


高校改編で県教委から説明聴く
沼津高女・西高の杜蔭同窓会
 沼津高等女学校と西高の杜蔭同窓会(加藤啓子会長)は十四日、「改編にかかわる説明会」をサンウェルぬまづで開いた=写真。県教委が今年三月に策定した「ふじのくに魅力ある学校づくり推進計画」で、新構想高等学校として西高と城北高を統合改編するとしていることについて、県教委高校教育課から説明を受け、情報を共有する機会にしようと開かれたもので、同窓会員のほか学校近隣の住民など関係者も出席した。

 はじめに県教委担当者が、西高の普通科と芸術科、城北高普通科を統合し、二〇二七年度に開校したいとの基本方向を示した上で、「設置場所や教育内容はまだ決まっていない」とした。
 五年先でも社会情勢が大きく変化する可能性がある時代の中、開校予定の五年前から関係者に改編に関する需要を聴くなどして決めるという。
 また、新たな高校を建設する敷地は二二年度までに選定し、二三年度からは専門の準備委員会を設けて学科や規模など、開校二年前から校名、校歌、制服などの検討に入る予定を示した。
 県教委担当者は、県内の高校生数がピークだった一九八九年から半数程になり、出生数も減少傾向が続いていることから改編に踏み切ったことを説明。「(改編される高校は)今までの伝統を引き継ぐためには、ある程度の規模が必要になる」とした。
 県教委側からの説明の後、質疑応答に移ると、出席者から「西高が対象になった経緯を聴きたい」と質問が出た。
 県教委担当者は、有識者や産業界代表、中学校代表などを委員とする県立高等学校第三次長期計画検討委員会で、ふじのくに魅力ある学校づくり推進計画案を策定し、これに対して昨年十一月から十二月にかけて県民から意見募集を行い、策定に至った経過を話した。
 県立高と私立高が競合する中で、普通科高校の再編が望ましいとの考えで、検討委では学校の適正規模を一学年六から八クラスとし、四クラス以下になった場合には教育の質の維持の観点で再編を考えるべきだという意見が出されたという。
 西高は現在、六クラスあるが、今後四クラス以下に落ち込む可能性が高いということで城北高との改編対象になった。
 この背景には少子化だけでなく、高校の授業料について、既に無償化されている公立高に加え二〇年度から私立高でも一部無償化されるため、この点での公立高の優位性が減退して私学志向が強まるとの見方もあり、公立高に「魅力ある学校にしていく必要」が出てきた。
 出席者からは両高の生徒数の今後の予測数を尋ねる質問があったが、県教委担当者は「具体的に何年に何クラスになるかまでは計算していない」と答えた。
 基本的には中学校卒業者数から公立高の募集定員を決めているので、中卒者数が減少すると募集定員を減らさざるを得ないという。
 こうした県教委側の説明に対して出席者からは、「景気が悪くなると全ての会社が悪くなるかというと、そうではない。(だから、中卒者数が減ったからといって西高進学希望者が減るということには必ずしもならないのであって)西高のことを、どこまで調べたのか」、また別の出席者から「統廃合の根拠が希薄なのではないか」、さらに「地元が何を必要としているか、再編ありきではなく、地元、高校のOBにも分かる形で進めていただきたい」と、異論や疑問が相次いだ。
 しかし、これらに対して県教委側からは具体的な回答がなく、西高が再編の対象となった理由については、県教委側が年明けに今回のような場で説明することになった。
 また、県教委担当者が「最優先で考えたのが教育の質の確保」だとしたが、出席者は「西高の卒業生というだけで社会的に認められるという、百年にわたって積んでこられた学校の歴史がある。その、卒業生が積み上げてきたものは社会的に無形の財産だ。社会的信用というものは簡単にできるものではない。これに何の配慮もされないことは悲しい」などと主張。
 県教委担当者は「両校の伝統を引き継ぐ形の新しい学校に出来たらなと思うので協刀してほしい」とすると、別の出席者からは「西高の存続は、もう議論にならないということか」と質問。
 これについて担当者は、この質問者への回答ということではなかったが、議論にならないことを示唆。「新たな高校をつくる上での意見を出してほしい」と要望した。
 別の出席者は「環境問題を考えると、二校とも壊して造るとか、あるいは一校を壊して造るというのではなく、今あるものを活用する方法を選んだ方がいいのではないか」とした。
 これについて県教委担当者は「選択肢としては、どちらかの学校をベースにして新しく造るか、まったく新しい土地に造るかだが、まだ決まっていない」とし、改めて「敷地選定には苦労すると思うので、可能な限り(スケジュールを)前倒しで敷地選定に入っていきたい」とした。
 また、「二一七年度の開校は動かないか」という質問に対しては「二七度開校を目途にしている。土地が決まらなければ開校が遅れる可能性もある」と答えた。
 別の出席者は「沼津市内には(私立高を含め)十一の高校(公立五校、私立六校)がある。公立高に、それだけの魅力がなかったことの証ではないか。これだけの高校が沼津市にあることが何十年も続いてきたことに関心がなかったことが残念だ。どこに教育の基本があるのかから考えてほしい。従来の教育目標を追従するような高校は絶対につくってほしくない。今、すごいパワーを持った高校生達が(全国の色々な分野で)出てきている。この数年(間の変化)は大きい」と指摘。
 さらに、この質問者は、沼津駅付近に広大な土地を探すことは難しく、三島駅近くにある高校と比べて見劣りする点や、新たな高校は公立高校の存在意味から考える必要があると述べた。
 この後、県教委担当者は、沼津市のまちづくりや小中学校再編を所管する課とも連携しながら計画を進めることを話し、西高が選ばれた経緯については「次回までに説明できるよう用意したいと思う」とした。
【沼朝平成301117()号】

0 件のコメント: