「サザエさん」長谷川町子さん
戦後最初の作品発見 描く喜び満ちあふれ
人気漫画「サザエさん」の作者長谷川町子さん(1920~92年)の、戦後最初の作品とみられる6こま漫画が見つかった。関係者は「戦意高揚を求められる状況から解放され、国民に寄り添い自由に描ける喜びが垣間見える。長谷川作品の分岐点だ」と評している。
6こま漫画は、西日本新聞社(福岡市)が45年9月に発行した雑誌「青年技師」に署名付きで掲載されたもの。「さあ!がんばらう」という表題で、少年2人が「タタカヒハツヒニオハッタ」と手を取り合って泣く場面から始まる。
少年らはその後、衛生面を改善するためのごみ箱作りと、遊び場を整備するためのくい打ちを、気合を入れて競い合う。
福岡市博物館の有馬学館長(73)が今年1月、同社で資料調杳市に掲載誌を見つけた。
「8月15日の終戦日を描いたとみられる。少年らの変わり身が早いことから、新時代に向かって頑張ろうという兆しが見える」と語る。
長谷川町子美術館(東京)の橋本野乃子学芸部長(54)は「終戦から翌月までに作品を掲載した媒体は出てきておらず、戦後第1作で間違いない。戦争が終わりほっとする純粋な感情が表れている」と指摘する。
戦時中から学習誌などに短編漫画や挿絵を載せていた長谷川さんは、東京から現在の福岡市早良区へ1944年に疎開。西日本新聞社の絵画課で勤務し、終戦を迎えた。その後退社し、「サザエさん」の連載を福岡の新聞「夕刊フクニチ」で46年4月から始めた。
【静新平成30年11月8日夕刊】
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