富士山ハザードマップ改定・詳報
火山現象条件別に影響範囲示す
17年ぶりに改定された富士山噴火時のハザードマップは最新
の知見に基づき、火山災害の影響が広がる恐れのある範囲を地
図で視覚的に表現している。静岡、山梨、神奈川3県などの協
議会による広域避難計画の策定や訓練の実施など、今後の防災
対応を行う上で最も重要な基礎資料となる。
富士山ではこれまで溶岩の流出や火砕流の発生、爆発的な噴
火など、さまざまな種類や規模の火山現象が発生してきた。噴
火場所も山頂から麓までの半径13㌔に広がる。噴火前に火口位
置は特定できないとされ、火口が生じる可能性が高いエリアを
「想定火口範囲」に定めている。
富士山ハザードマップには主に「ドリルマップ」と「可能性
マップ」がある。ドリルマップは火山現象ごとに発生位置や規
模などの条件を設け、シミュレーションで影響範囲を描いた分
布図。可能性マップは現象ごとのドリルマップを重ね合わせ、
地形条件などを考慮しながら、災害が最も早く届くまでの時間
や1到達する見込みの最大範囲を網羅的に示している。一度の
噴火で可能性マツプのエリア全域に危険が生じることはない。
ハザードマップの検討委は今回・改定で対象とした過去5600
年間に約180回の噴火があったことを確認した。うち小規模噴
火は49%・中規模噴火は47%を占め、貞観噴火(864~866年)
や宝永噴火(1707年)などの大規模噴火は計7回とされる。た
だ、報告書では「次の噴火が頻度の高い小・中規模になるとは
限らず、大規模噴火になる可能性もある」と警鐘を鳴らす。
(社会部・松岡雷太)
【静新令和3年(2021年)3月30日(火曜日)】
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