大雨の被害が各所に
道路冠水、床上・下浸水、土砂崩れ
低気圧を伴う梅雨前線が太平洋側を中心とした各地に大雨をもたらし、市内では18日昼前から激しく降り、大雨洪水警報が発令された。午後1時半には市内全域に「警戒レベル3高齢者避難」、3時には第三、大平、静浦、内浦、西浦、戸田各地区に「警戒レベル4避難指示」が発令され、住民に避難を呼び掛けた。
午後1時に市内24カ所の地区センターなどに避難所を開設し、4時半に10世帯12人が7カ所に避難したのが最大。午後9時の大雨警報解除に伴い、全ての避難所を閉鎖した。
三つ目ガード、あまねガードをはじめ東原、鳥谷、東椎路、桃里、魚町、大岡、今沢、下香貫牛臥、新沢田町、西浦などの道路では冠水被害があり、一時、全面通行止めとなった個所もあった。
原地区センターは周辺道路の冠水で緊急閉館し、避難所になっていて2人が避難していた今沢地区センターでは床上浸水が発生。市資産税課で調査を行い、19日午後1時現在、市危機管理課には今沢、大平、新沢田町で各1件の床上浸水、新沢田町で1件の床下浸水が報告された。
また、県道沼津土肥線沿いの木負と久連の境辺りで、道路法面上部にある土地・から大量の雨水と共に泥が流出して道路をふさぎ、一時通行止め。県で片側1車線を復旧して片側交互通行とし、19日も引き続き復旧作業が行われた。
18日未明から夕方一まで降り続いた雨により、市内各所で影響が見られた。
一方、大平地区では広範囲で冠水。市一内の小中学校は18日一は休校となったが、大平中では管理職ら数人が出勤して状況を見守った。
それによると、18未明から降り続いていた雨は、昼頃には特に強くなり、その後も夕方まで、やまなかった。その間、川や用水路で急速に増水。田圃も道路も水に浸かって学校周辺は湖のようになってしまった=下の写真。
雨が降りやんで水が引くかと思っていたが、山からの水が下りてきているのか、なかなか引くことはなかった。
消防関係者から聞いた話として、人の腰の高さまで水に浸かった所や水没した車もあったという。
また、地元の高齢の男性が話していたところとして、「長年ここに住んで狩野川台風も経験しているが、こんなにひどいのは初めて」。長時間にわたって強い雨が降り続いたためと見られている。
19日朝、道路や田んぼの水は引いていたものの、大平江川は水かさが増したままで流れが速く、水位は道路へ、あと20㌢程にまで迫っていた。通学路の心配や自宅が浸水被害を受けた生徒もいることもあって、同校は休校にした。
午前10時頃になって、やっと川などの水量も落ち着いた。 大平地区では19日早朝から、復旧作業に汗を流す人の姿があり、敷地内に残る泥をきれいに洗い流したり、農家では畑や田んぼの見回りを行った。漫水しなくても、多くの水を含んで地盤が緩み倒れてしまう農作物もあり、一つずつ起こす作業に追われる農家もあったようだが、田植えを終えて間もない田は、浸水はしたものの、稲は無事な姿を見せていた。
【沼朝2024年(令和6年)6月20日(木曜日)】
沼津大平また浸水被害
新ポンプ場間に合わず
前線や低気圧の影響による激しい雨から一夜明けた19日、県東部では床上浸水などの被害が各地で確認された。沼津市ではこれまでも浸水被害が頻発している大平地区に被害が集中し、伊豆市では観光施設に濁流が流れ込んでいた。住民や従業員は早朝から、後片付けに追われた。
沼津市大平地区は2007年と19年にも、浸水被害に見舞われた。18日は夜までに、民家など約30軒が床上まで浸水した。大平江川があふれ、深いところで50㌢以上冠水した。市は同日、大平江川の水を狩野川に流すため、ポンプ場の4台を稼働した。新たに導入した可搬式ポンプ1台も動かしたが、被害を食い止められなかった。
自宅が床上浸水した内田祐司さん(68)は「今回は水が床上に達するまでの時間が早かった。慌てて畳を上げた」と、度重なる被害に疲れた表情で語った。
同地区では26年度中の完成を目指し、ポンプ場の増設工事が進む。自身も被害に遭った大平地区連合自治会の鈴木正彦副会長(58)は「完成の前にまた大雨。間に合わなかった」と残念がる。床上浸水した介護老人保健施設おおひら事務長の小出篤さん(52)は「可搬式のポンプが動いていたから、この程度で済んだのかもしれない」と、不安な一夜を過ごした利用者を案じながら語った。
伊豆市の観光施設「修善寺時之栖」では同日、温泉に山側の用水路からあふれた水が流れ込んだ。1階のロビー約10平方㍍が水に浸り、2階は数カ所が雨漏りした。19日は通常通り営業したが、来店客から被害を心配する声が聞かれた。岡村悠太郎支配人は「ここまでの被害は初めて。大雨時は、周囲の状況にも気を配りたい」と話した。
(東部総局・尾藤旭、大仁支局・小西龍也)
【静新令和6年6月20日(木)朝刊】
18日大雨 一時孤立の保育所(清水町)
想定外の災害教訓模索
訓練と違い「冠水あっという問」
18日の大雨で周辺道路が冠水し、保護者が園児を迎えに行けないなどの影響が出た清水町立南保育所(同町徳倉)の小野善子所長(51)は19日、「水があっという間にたまった。想像していないことが起きた」と振り返った。12日に土砂災害の避難訓練を行ったばかりだったが、訓練通りの対応が難しかったという。町は教訓を洗い出し、今後の対策を講じる。
訓練は大雨で土砂災害が発生する危険性が高まったと想定。町と協定を結ぶバス会社に要請して、保育所の出入り口前からバスに園児を乗せて避難先へ送り届けるなどした。
保育所と町は18日、訓練に基づいてバスでの避難を検討したが、急激に水がたまり断念。現場の情報を細かく共有しながら対応を検討し、保育所2階への垂直避難に決定した。
迎えに来た保護者には職員が子どもを抱き、水につかりながら引き渡した。水が引いた後、町職員が車で避難所の町防災センターへと残された園児を送り届けた。小野所長は「水がすごくてバスは入れなかった。避難所への移動など、今後は早めに対応したい」と語った。
町くらし安全課の太田雅明課長(55)は「仕事などで、すぐに迎えに来られない保護者もいる。大雨で子どもを外に出すことは危険と判断した」と指摘、「道路や保育所の担当部署と今後の対策を検討する」と話した。
(東部総局・日比野都麦)
【静新令和6年6月20日(木)朝刊】
0 件のコメント:
コメントを投稿