沼津・第二中学校区
「考える会」意見集約難しく 全21委員の見解併記
沼津市の第二中学校区の小中学校再編について地域住民や保護者らが意見交換する「学校の未来を考える会」(委員長・武井敦史静岡大教授)は27日、最終会合を市役所で開いた。依然委員間の隔たりは大きく、全21人の意見を列挙し、11に上る再編案も記した資料を付ける総花的な意見書とすることになった。意見書を住民や保護者に説明後、来年初頭にも市教委が再編万針を決定する。
考える会は2021年の統合白紙を経て、昨年10月にスタート。今年6月に四つの再編案を示したが、その後さまざまな組み合わせを検討し計11に増えた。中には、二中校区の3小節学校を統合し、学区外の児童生徒も通える小中一貫の「小規模特認校」とする案も加えられた。
最終会合では、作業部会でまとめた11案を併記した上で論点を整理する「議論のまとめ」案が示されたが、望月照五副委員長が委員15人の賛同を得たとして別の4案に再度絞り込むよう「改定案」を示し、武井委員長に採用を迫つた。
武井委員長が拒否すると、その後、賛同した15人の間に認識に差異があることや、拒否した委員の存在も浮き彫りになった。その上で当初のまとめ案を退け、全委員の意見を冒頭に示し、これまでの全資料を付す「参考資料的な意見書」(武井委員長)として市教委に提出することにした。
市教委は10月末から11月初めにかけて住民や保護者への説明会を開催。2024年度中の教育委員会で最終的な再編案を決定する。
記者の目
対立やめ前向きな議論を
紆余(うよ)曲折を経た沼津市の第二中校区の再編間題は意見の隔たりが埋まらず、ほぼ集約できない形での意見書となった。取材では、一定程度集約の余地がある意見の違いを、一部委員が持論を押し通そうと委員問の分断を広げたように見えた。
急速な少子化は沼津のような中核都市の中心部でも進む。静岡市や浜松市では、既に十数年前から中心部の伝統校の統合に着手。沼津市教委の対応は、遅きに失した感が否めない。少子化の原因は、親世代が既に少子化世代に入った"少親化"。小中学生の親世代である30~40代の沼津市の人口はわずか10年で23%減少。出生率が多少向上しても、少子化は加速度的に進むだろう。子どもの減少幅を減らすには、親世代の住民増加が必要だ。対立が深まる中で、彼らがこの学区に住みたいと思うだろうか。
市教委がどのような方針を示しても、全員の納得は得られないところまで対立は広がってしまつた。それでも学校再編は不可欠な以上、市教委は逃げずに方針を示すべきだ。転佳民も対立ではなく、女性の考えや多様な意見を尊重し、前向きな議論を進めてほしい。対立の解消こそが、親世代の住民と子どもたちを増やすことにつながる。
(東部総局・尾藤旭)
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