昭和天皇ゆかりの「すずり箱」沼津に
侍従次長に下賜、遺族から市に寄贈
蒔絵で描かれた御用邸 ■記念公園内で展示へ 昭和天皇が、宮内庁侍従次長や掌典長を務めた永積寅彦氏(1902~94年)に下賜したすずり箱が5日、永積氏の遺族から沼津市に寄贈された。すずり箱は沼津御用邸の風景を描いた蒔絵(まきえ)が施され、資料などから24年の昭和天皇成婚時に静岡県知事から献上された品とみられるという。御用邸記念公園西付属邸(同市下香貫島郷)で今後、一般公開する。
遺族と、由来を調査した日本大の高沢弘明准教授、国立歴史民俗博物館の福岡万里子准教授が同日市役所を訪れ、「ゆかりの地沼津で役立ててほしい」と頼重秀一市長に手渡した。すずり箱は、昭和天皇の学友でもあった永積氏が68年に侍従次長を退官する際、昭和天皇から料紙箱と共に渡されたという。料紙箱は永積氏の別の遺族から市に寄贈され、同公園で公開している。
すずり箱は漆芸家の六角紫水(1867~1950年)が制作に携わったとみられ、表のふたには狩野川河口付近から望んだ富士山と、23年まであった西付属邸の冠木門が描かれている。高沢准教授は「昭和天皇と永積氏はご学友として10回以上、沼津御用邸を訪れて学んでいる。昔を懐かしみ、少年期の沼津御用邸を描いた品を渡されたのでは」と推測する。
頼重市長は「大変貴重な品。御用邸の歴史とともに市民や来場者に知ってもらいたい」と感謝した。 (東部総局・尾藤旭)
【静新令和6年(2024年)9月6日(金曜日)】
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