安倍元首相銃撃検証 SPら動向秒刻みで
演説直前後方警戒「空白」に 1発目は午前11時31分6秒 安倍晋三元首相銃撃事件を受け、警察庁が防犯カメラ映像や奈良県警の担当者らの聞き取り調査を基にまとめ、25日公表した検証結果で、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検、鑑定留置中=や警護担当者らの動きが分刻み、秒刻みで分かった。1発目の発砲は、7月8日午前11時31分6秒ごろだった。
県警が、遊説場所を近鉄大和西大寺駅北口と把握したのは7月7日午後4時半。同じ場所で6月に茂木敏充自民党幹事長が遊説し、その状況から多数の聴衆は想定したが、特別な危険を意識することはなかった。鬼塚友章本部長の警護計画決裁は8日午前9時ごろ。6月の態勢を踏襲し、制服警察官の配置、交通規制は検討されなかった。
午前10時ごろ、半袖ポロシャツに作業ズボン姿、ショルダーバッグを持った容疑者が駅に到着。近くの商業施設に立ち寄り、周辺を歩いていた。
11時10分ごろ、参院選候補者らの演説が始まる。17分ごろ、駅前ロータリー沿いの歩道で警戒中の統括役の県警幹部から1、2㍍離れたところに容疑者がいたが、拍手をする姿に不審者と感じることはなかった。
演説場所はガードレールに囲まれた道路中央で、警視庁のSP(警護官)1人と県警の担当者3人が警戒。安倍氏の演説直前、26分ごろまでに、ガードレール内にいた担当が、外側で後方を警戒した担当に内側に入るよう指示した。この配置変更は無線ではなく直接行われ、県警幹部は見ていたが、後方警戒の「空白」を補強しなかった。
28分42秒ごろ、安倍氏が登壇。SPは約2㍍離れて立ち、県警の3人と前方の聴衆や違法行為への警戒を強めた。
容疑者は29分51秒ごろ周囲を見渡し、30分56秒ごろまでにロータリーに進入。バッグに手を入れて歩き、31分3秒ごろ銃を取り出し、6秒ごろ1発目、約2・7秒後の8秒ごろ2発目を撃った。
SPらは聴衆のほか、付近を通過した自転車や台車を押す人に顔を向け、背後から接近する容疑者に気何かなかった。1発目は銃声と分からず、振り返って容疑者を認識。防弾仕様のカバンを掲げたり、容疑者との間に入ろうとしたりしたが2発目を防げなかった。1発目は安倍氏に当たらなかった。
【静新令和4年(2022年)8月26日(金曜日)朝刊】
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