入札妨害 価格情報「接待のお礼」
容疑の沼津市職員供述 沼津市発注の道路改良工事の設計価格を漏らしたなどとして、公契約関係競売入札妨害容疑で沼津署と県警捜査2課に逮捕された市工事検査課課長補佐松本一弘容疑者(50)=同市東椎路=が「業者に接待のお礼をしたかった」などと供述していることが5日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、松本容疑者は同工事を落札した土木建設会社の元社長植松真一容疑者(47)=同容疑で逮捕、同市白銀町=と定期的に飲食を共にしていたとみられる。同署などは、繰り返し飲食などの接待を受けていたことが設計価格の漏えいにつながった可能性も視野に入れ、慎重に調べている。
関係者によると、2人は5年ほど前に仕事を通じて知り合い、飲食などを共にするようになったという。顔見知りの多い沼津市を避けて静岡市繁華街の飲食店などを利用していて、代金は植松容疑者側が支払っていたとされる。松本容疑者が同工事の設計価格を教えた際も静岡市内の飲食店を利用していて、価格を書いた付箋を植松容疑者に渡していたという。
2人の逮捕容疑は、市が2018年11月に実施した道路改良工事の一般競争入札を巡り、同10月中旬、担当の道路建設課に勤務していた松本容疑者が植松容疑者に設計価格を教え、同社に最低制限価格に近い金額で同工事を落札させて公正な入札を妨害した疑い。捜査関係者によると、松本容疑者は容疑を認めているという。
同市発注の公共工事を巡っては、JR原駅駐輪場改修工事の入札予定価格の漏えいがあったとして植松容疑者のほか、市工事検査課主任筑木(ちくぎ)和正被告(62)=伊豆の国市北江間=ら2人が公契約関係競売入札妨害罪などで起訴されている。
市長、議会に謝罪
市職員の逮捕は10月に続き2回目で、前回とは異なる部署で入札情報の漏えいが行われていた。頼重市長は、個人の倫理観に問うだけでなく「仕事の流れや人事、組織の在り方をしっかりと見直す」との考えを示した。自らの処分については「捜査の進展を見て明言する」と述べた。
市議からは「市民は大きな不信感を募らせた」「監視役として議会も責任を果たさなくてはいけない」などの声が上がった。
市によると、漏えい先の三星建設工業に本年度発注した工事5件(契約金額計約3億2千万円)のうち、完了していない4件の契約は継続するとし、「顧問弁護士が契約有効と判断した」と説明した。
【静新令和元年(2019年)12月5日(木曜日)夕刊】
沼津市入札妨害
価格漏えい10件近くか
逮捕の市職員異動後も元社長に情報?
沼津市発注の道路改良工事の設計価格を漏らしたなどとして、公契約関係競売入札妨害容疑で沼津署と県警捜査2課に逮捕された市工事検査課課長補佐松本一弘容疑者(50)=同市東椎路=が、同工事を落札した土木建設会社の元社長植松真一容疑者(47)=同容疑で逮捕、同市白銀町=に対して、同工事を含めて10件近くの市発注工事の価格情報を教えたことをほのめかしていることが5日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、松本容疑者は2017年4月から19年3月まで道路建設課に在籍し、19年4月に、工事費積算が適正かどうかを審査する工事検査課に異動した。同署などは松本容疑者が同課で担当した工事の価格情報も漏えいしていた可能性も含め、慎重に捜査を進める。
価格漏えいがあったとされる道路改良工事は松本容疑者が当時勤務していた道路建設課が担当していたが、松本容疑者は設計価格を知り得る立場ではなく、何らかの方法で価格情報を入手したとみられている。
2人の逮捕容疑は市が18年11月に実施した道路改良工事の一般競争入札を巡り、同10月中旬、松本容疑者が植松容疑者に設計価格を教え、同社に最低制限価格に近い金額で同工事を落札させて公正な入札を妨害した疑い。同市発注工事を巡っては、JR原駅駐輪場改修工事の予定価格を漏らしたとして植松容疑者のほか、松本容疑者と同じ工事検査課に勤務していた同課主任筑木(ちくぎ)和正被告(62)=伊豆の国市北江間=と元沼津市職員の無職植松秀年被告(69)=同大岡=が公契約関係競売入札妨害罪などで起訴されている。
沼津市役所を捜索
沼津市発注の工事を巡り、設計価格を漏らしたなどとして市工事検査課課長補佐の松本一弘容疑者(50)ら2人が公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕された事件で、沼津署と県警捜査2課は5日、関係先を家宅捜索した。
市役所には捜査員12人が午後6時半から約2時間半捜索し、事件当時に勤務していた道路建設課などから段ボール箱7箱分の資料を押収した。業者側の植松真一容疑者(47)が社長を務めていた三星建設工業にも、捜査員8人が入った。午後6時半から約1時間半捜索し、段ボール箱5箱分の資料を運び出した。
市は同日、10月の市職員逮捕を受けて実施を決めていた計13回の官製談合再発防止特別研修を始めた。入札情報を取り扱う可能性がある実務担当者約150人が出席した。講師役の総務課職員は、公務員が業務上知り得る情報は「関係者にとって喉から手が出るほど欲しい」と指摘。「知識を身に付けて情報管理を徹底して」と呼び掛けた。
【静新令和1年12月6日(金)朝刊三面記事】
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