2023年2月25日土曜日

沼津女性遺棄  静岡駅周辺で合流 【静新令和5年2月25日(土)朝刊社会面】

 


 沼津女性遺棄

 静岡駅周辺で合流

 知人女性の遺体を沼津市内の自宅に放置したとして、死体遺棄の疑いで磐田署に逮捕された会社員土屋勇貴容疑者(31)=沼津市真砂町=が、女性の殺害への関与を認める供述をしていることが24日、関係者への取材で分かった。土屋容疑者が、遺体で発見された会社員伊藤亜佑美さん(33)=磐田市岩井=と静岡市内で、伊藤さんが運転する乗用車に乗っていたことも新たに分かった。同署は同日、司法解剖の結果、死因は頭部打撲による外傷性くも膜下出血と頸部(けいぶ)圧迫による窒息死と発表した。県警は、2人が静岡市内で会った後、何らかのトラブルがあって伊藤さんが殺害されたとみて、殺人容疑も視野に事件の全容解明を進める。




 関係者によると、土屋容疑者は21日に電車でJR静岡駅まで向かい、駅周辺で伊藤さんの乗用車に乗車した。2人は会う約束をしていたとみられる。

 磐田署は22日、伊藤さんの家族から行方不明届が提出されて捜査を開始した。伊藤さんの乗用車は21日午後以降、沼津市内のコインパーキング周辺から動いていないことが判明しそいて、県警は静岡市から沼津市まで移動するまでの経緯などを慎重に捜査している。

 事件は、磐田署の捜査員が23日午前、土屋容疑者の自宅のベランダで伊藤さんの切断された遺体を発見した。遺体の一部は車内からも見つかったという。伊藤さんの行方は、携帯電話などの位置探索や、伊藤さんの親しい友人から話を聞くなどして特定したという。

 磐田署は24日、証拠品として押収した土屋容疑者宅近くのコインパーキングに止まっていた伊藤さんの乗用車と容疑者の乗用車計2台の車両について、車内の状況や付着物の有無などを慎重に調べた。

 土屋容疑者の逮捕容疑は21日、伊藤さんの遺体を自宅に遺棄した疑い。関係者によると、伊藤さんは21日朝、親族を保育園に送った後、勤務先を休むなどして連絡が取れなくなっていた。土屋容疑者は容疑を認めている。

 

JC活動が接点か

 死体遺棄容疑で逮捕された土屋勇貴容疑者(31)と被害者の伊藤亜佑美さん(33)が、青年会議所(JC)の活動を通じて知り合ったとみられることが24日までに、複数の関係者への取材で分かった。 関係者によると、伊藤さんは磐田JC、土屋容疑者は三島JCに所属。2人は同時期に日本JC東海地区静岡プロック協議会に出向し、親しくなったとみられる。三島JCは今回の事件を受け、土屋容疑者を除名したという。

 伊藤さんは今年1月に磐田JCで、まちづくりのアイデアを練るタウンプランニング委員会の委員長に就任したばかりだっだ。次期磐田市議選に出馬する意欲も示していた伊藤さんから相談を受けていた市議は 「子育てしながら、地元への強い思いを抱いていた。経験を積めば、良い議員になるはずだった。未来ある若者が命を失ったのは地域にとって大損失」と唇をかんだ。

 

  伊藤さん 磐田の町おこしに意気・市議の夢

 「私には学歴はないが、人より行動力はある」。伊藤亜佑美さん(33)は202210月、磐田市内で静岡新聞社の取材に応じ、磐田青年会議所(JC)の一員として町おこしに懸ける意気込みとともに、将来は市議会議員として市民の役に立つ夢を語っていた。

 伊藤さんは浜松市出身。10歳で磐田市に移り住んだ。高校卒業後、ゴルフ場のキャディーとして働きながら2人の子を出産。母親の協力を得ながら、シングルマザーとして働き続けた。29歳の時、母親から「子どものために、土日に休める仕事をしたら」と進言されたのを機に保険外交員に転身し、法人や個人事業主への営業を担当した。JCには211月から所属した。

 市議に憧れたのは、17年放送のテレビドラマ「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?」が契機。自身や女友達の経験かち「女性は男性より社会的に弱い立場にある。市民間の情報格差も大きい」と課題を感じていた。JCを通じて同市の女性市議と知り合った。市民の悩みに耳を傾け、人と入をつないで問題解決を目指す姿を目の当たりにして、「自分は人に呼ばれたら夜中でも飛んでいく性格。私にもできるかも」と、市議選への出馬を考え始めた。

 「今は目の前の生活のために働いているけど、いつか、市民の役に立つ、人を幸せにする人になりたい。ワンステップ上に行きたい」。その夢はかなわなかった。

【静新令和5225日(土)朝刊社会面】


 




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