2009年7月26日日曜日
「静岡選挙区の攻防④」
「静岡選挙区の攻防④」4区
鍵握る富士宮の戦い
朝霧高原に向かって北上する国道139号バイパス沿いに自民前職の望月義夫氏の富士宮事務所が開かれたのは衆院解散翌日の22日。「今や富士宮には欠かせない政治家。われわれのために動き回ってくれる」。古くからの自民党支援者が、次々と望月氏が差し出す手を固く握りしめた。
衆議院選挙区の区割り変更で分断された岳南地区。西よりの富士宮市と芝川町が清水地区と一緒になって3回目の選挙を迎える。かつて「斉藤斗志二のために動いてきた。違和感がある」と不快感を隠さなかった県議や市議、後援会幹部らが顔を紅潮させ、「必勝」を叫んだ。
民主前職の田村謙治氏は6月30日深夜、約200人に交じって富士山の伏流水がわき出る富士宮浅間大社の湧玉池にふんどし姿で入り、富士山山開きの安全を祈願した。
「選挙に初めて出馬した時から続けている。わたしの出発点、心のふるさと」。お山開きの神事に欠かさず参加している田村氏の陣営は、これまで支援組織が一枚岩とはいえなかった望月陣営を尻目に「しがらみのない、地域を大切にする候補」を演出してきた。
富士宮地区の事務所開きは8月早々になる見通しで、支援拡大の狙い目はこれから始まる各地の夏祭り。「堅い集会や会合にはなかなか招待されないが、祭りだと飛び込みでも歓迎される」と選対幹部は説明する。
清水、富士宮両地区は富士川を境に生活圏が異なり、住民の交流も少ない。清水地区は望月氏の市議、県議時代からの地盤に田村氏が食い込む構図だが、富士宮地区では"新顔"だった両氏が票を奪い合う戦いで、両氏の得票差は前々回、前回ともわずか500票前後。過去2回は大票田の清水区の票が勝敗を決したが、逆風の中で自民の結束が高まってきたことで、富士宮地区の戦いぶりが一層注目を集める。
知事選、都議選と吹き荒れる民主の風を望月氏の陣営は真正面から受け止める。ある選対幹部は「週刊誌に田村有利と出ても『まさか』と信じない人も多かった。いまは違う」と危機感の高まりに期待した。富士宮駅周辺の鉄道高架事業など「口に出しにくかった公共事業への貢献も分かってくれる人が増えてきた」と過去の実績も前面に出して戦う方針に切り替えた。
一方、前々回は比例の東海ブロックで同僚議員の辞職に伴う繰り上げ当選、前回はぎりぎりでの比例復活の田村氏の陣営は、「農家から『話を聞きたい』と連絡があった。民主党に対する期待は高まっている」と手応えを感じている。ただ、港湾地域を中心に清水の伝統の保守地盤は強固で、選対幹部は自らに言い聞かせるようにつぶやいた。「何としても、富士宮で大きく勝たねばならない」(衆院選取材班)
(静新平成21年7月26日「09選ぶ夏・激動しずおか」)
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