国会で与野党が激しい論戦を繰り広げるなか、鳩山由紀夫首相と民主党の小沢一郎幹事長が、カネにまつわる新スキャンダルに見舞われている。小沢氏には政治資金パーティー券収入に関し、政治資金収支報告書に虚偽記載していた疑惑が浮上。鳩山首相は「秘書と議員は同罪」とする過去の発言が民主恒例の“ブーメラン”となって、四苦八苦しているのだ。党内からは「短命に終わった細川政権の二の舞いになるのでは」(中堅)との声も出ている。
記事本文の続き 5日の朝日新聞朝刊が「小沢氏団体 虚偽記載の疑い」と1面トップで報じた小沢氏に関する新疑惑は、要約すると以下の通り。
〈小沢氏の関連政治団体『小沢一郎政経研究会』(政経研)は、2000-04年のパーティー券収入について、企業に政治資金規正法で定められた『1企業あたり1回のパーティー150万円』とする購入上限額を超える金額を要求し、支払いを受けた。しかし、政治資金収支報告書では、その企業名での記載は150万円以下で、支払いとの差額は、企業名の記載義務がない20万円以下の小口分に分散していた疑いがある。東京地検特捜部も同様の経緯を把握している〉
収支報告書によると、政経研は毎年4回ずつ、「小沢一郎政経フォーラム」というパーティーを開催。収入は計約6億9000万円で、うち購入者名がない小口は約6億4000万円だった。当時の収支報告書を担当していたのは、元秘書の石川知裕民主党衆院議員。
同紙によれば、企業側が同紙に回答した額が150万円を超えたのは4件で、企業名の記載が必要な20万円を超えて購入したが、その記載がなかったケースもあった。企業回答に比べ収支報告書の記載が過小だったのは少なくとも8件、630万円だったという。
小沢氏をめぐっては資金管理団体「陸山会」をめぐる違法献金事件のほか、陸山会が04年に購入した土地の代金を翌年の収支報告書に記載していた問題で4日、市民団体が特捜部に石川氏ら3人に対する政治資金規正法違反容疑で告発状を提出する事態も起きている。
自民党関係者は「民主党はマニフェストで、パーティー券を含む企業・団体献金の全面禁止を掲げたのに、政経研は10月30日にパーティーを開き、企業関係者も多くいたと聞く。矛盾していないか」と指摘する。
一方の鳩山首相は連日、衆院予算委員会で炎上中だ。4日には03年7月、自身のメールマガジンで「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべき」と語っていると指摘されたうえ、「政治団体の代表者が会計責任者の選任、監督について相当の注意を怠った場合は、50万円の罰金になる。罰金刑になれば議員生命にかかわる」と迫られると、首相は「その時に判断したい」とタジタジに。
さらに首相は、偽装献金の原資が、鳩山家の資産管理会社が管理する資金だったことや、流用指示の書面に首相自身が署名した事実を明言。政治家による資金管理団体への1年間の献金上限額は1000万円とする規正法の「量的制限」を認識していたことも認めたのだ。
自民党の大島理森幹事長は「本質にかかわる問題が出てきた。首相は中身を全部知っているはずだ。集中審議を求めて、全容を明らかにしていかねばならない」と意気込むが、果たして疑惑は解明されるのか。
(イザ版ニュース平成21年11月6日(金))
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