自民党県議団分裂
「政策提言で存在感示せ」
静岡県議会の最大会派自民党県議団(40人)の若手、中堅を中心とする県議が19日、新会派を結成する。新会派に加わる県議は二十数人に達する見込みで民主党系の平成21(21人)や、もともとの自民党県議団を上回って最大会派になるとみられる。
会派分裂は、知事選、衆院選の敗北や県空港部廃止への対応をめぐって県議の間に亀裂が生じたのがきっかけだ。県議が結束できないまま、会派を存続させても党再生にはつながらないと新会派結成に動いた。
新会派も、自民党県議団も自民党に変わりないが、県議会の会派活動は別々の道を歩むことになる。両会派とも、まずは政策集団に脱皮することを求めたい。
野に下っての会派分裂は自民党衰退の象徴という見方をされてしまいかねない。なぜ、新会派をつくるのか、支持者への丁寧な説明が必要だろう。
長年、議席の過半数を握り、知事与党の座を占めてきた自民党県議団には、チェック機関としての立場が希薄だったことは否めない。知事部局の根回しで、自民党の意向をくんだ県の施策はほぼ提案通り実現し、県議会は事実上"追認機関"となっていた。
自民党県議団は、川勝平太知事の県政運営に対し「是々非々で臨む」と強調してきた。しかしそれを実践するには、何よりも議会活動で存在感を発揮しなければならない。チェック機関本来の役割を果たすとともに政策提言を競い合うことが重要だ。
県議会で、議員提案の政策条例が制定されたのは、4年前の「食と農の基本条例」がわずかに一件あるだけ。県議には政策の調査研究のため、1人当たり月額45万円の政務調査費が会派に交付されている。政策の提言、提案は議員の本分だが、それを怠ってきたと言わざるを得ない。県議会で主導権を握り続けてきた自民党の責任は重い。
同党県議団は最大会派の強みを生かし、議長や副議長をはじめ、多くの常任、特別委員長、監査委員などの要職を占めてきた。会派の県議が多いこともあり、議会ポストや幹事長などの県連役員は当選回数を示す期数や東中西のバランスを重視してきた。
こうした会派運営は県議の間にとかく「当選回数第一」という風潮を生み、政策をテーマにした党内論議などが活発化してこなかった一因になったのではないか。
会派分裂で、来年行われる参院選をどう戦うのかという問題もある。二つの会派はよほど奮起しないと党再生はおぼつかない。
(静新平成21年11月16日「社説」)
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