参院補選で勝利した民主党 来年へ難しい課題残す
参院静岡選挙区補欠選挙は、民主党公認の土田博和氏(59)が初当選を果たした。同党としては衆院選での勢いそのままに、県知事選挙の結果も含めれば、三選連続の勝利。しかし、今回補選の結果は、悩ましく、難しい問題を同党に突きつけることになった。
民主党と自民党が一対一で争って、現状では自民党に分はないのは、衆院選静岡選挙区の結果が如実に物語る。県内小選挙区八つの区があるうち、無所属候補が当選した一つの区を除く全てで民主党が当選し、自民党は一つの区で比例復活した現職が一人だけという惨敗。今回補選も、この流れの延長上にあり、鳩山新政権の高い支持率も背景に、優勢のままの選挙運動を続けた。
こうした有権者の期待や、追い風が吹いたままの状況など民主党にとつての有利な条件だけでなく、一方の自民党にとっては内部に大きな問題を抱えたまま向かわなければならない選挙だった。県知事選や県空港部廃止問題での造反や分裂、衆院選では県連会長の落選もあり、新会長のもと、組織が改まって初めて臨んだ国政選挙。候補者選定から擁立も時間があるとは言えない中で、党の中央と同様、態勢としては極めて厳しい環境にあった。
加えて、これまで自民党を支援・支持してきた団体、組織の自民党離れ。推薦を受けることもできず、自由投票を決めた各団体からは組織だった応援もかなわなかった。
しかし、そうした状況にもかかわらず、自民党公認の岩井茂樹氏(41)が四十万票余りを得たことは、来年に改選期を迎える参院本選で自民が議席を奪還するための手応えとしては十分だったと見ることもできる。
今回補選の投票率は、沼津では三〇・五三%、県内平均でも三五・六四%という低さだったので、ここから直ちに今後を占うには早計だが、それでも敢えて見るなら、追い風の土田氏の得票五十六万七千票に対して、岩井氏の四十万四千票は今後へ向け、逆風の中にあっては善戦ではなかったか。
岩井氏は、四年前の衆院選で小選挙区静岡六区の候補予定者として一旦は県連が名前を挙げている。党中央の方針で実現はしなかったため、実際に選挙を行うのは今回が初めて。
これに対して土田氏は、二年前の参院選で無所属で立候補しており、今回が二度目の立候補だったものの、前回選では組織はなく、出馬表明も告示直前、独自の活動とならざるをえなかっただけに、今回が実質的な選挙とも言える。全県的な知名度では両者共に決して高いとは言えなかった。
選挙結果は、勢いと組織の問題で明暗を分けたが、民主党にとって悩ましく、難しい問題は、来年の本選が現職二人の当選を目指すものになるということ。
ここで当選した土田氏は、辞職した自民党参院議員の残任期となるため、来年の本選で改選期を迎える。民主党は党中央で、来年の参院選挙区選挙では複数選挙区(静岡県は定数二)に複数候補を立てたい意向を見せ、そうなれば、静岡選挙区では現職の藤本祐司議員と土田氏の擁立ということになるだろう。
これに対して自民党も議席奪還を目指して候補者を立ててくれば、両党の激しい争いとなることは避けられない。その場合、今回の結果から考えて、土田氏の得票を、そのまま民主党の得票とすれば民主党の議席独占は極めて難しいということ。仮に今回の得票差がダブル、トリプルなどの大差だったなら、また違った見方ができた。
本選では藤本氏の個人的な得票や支援団体・組織にも今回とは違う動きが出てくるだろうし、自民党も岩井氏を再び担ぐのか、白紙の状態から候補者を立てるのか、相手候補によっても変わってくる。
さらに、政府・与党の動きや政策なども有権者の意識に大きく反映されることを考えれば、今の鳩山政権高支持率の状況が、どう変化していくのか。来年七月まで予断は許さず、議席を守る民主党にとっても、奪い取りにいく自民党にとっても、これからが正念場。
(沼朝平成21年10月28日(水)号)
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