2009年11月29日日曜日

鳩山政権に失速感:高村薫

「鳩山政権に失速感」高村薫
【 たかむら・かおる氏1953年大阪府生まれ。国際基督教大卒。商社勤務の傍ら小説を書き始め、「マークスの山」で直木賞受賞。作品はほかに「照柿」「レディ・ジョーカー」「晴子情歌」「新リア王」などがある。最新作は「太陽を曳く馬」。】
 変革の意思見失うな
 この秋、政府が再びデフレ宣言し、日本経済はなおも深刻な景気後退が続く。鳴り物入りでスタートした鳩山政権は、なんとか明るさを見たいと願う生活者の切ない気分を背景に、60%台の高い支持率を維持しているが、期待と現実のずれは日に日に大きくなってもいる。歴史的な政権交代だっただけに、今日の失速感は小さくはない。
 2カ月前、有権者は鳩山政権に大きな期待をかけた。高速道路無料化といった公約の目玉については不支持が支持を上回り、4年間は消費税増税を凍結するという公約についても現実味を欠いているとする有権者が多かったが、それでも期待したのである。
 このことは、有権者が、低成長時代に入ったこの国の将来を心底不安視しており、目先の支援や減税よりも、むしろ根本的な構造変革を求めていたことを示している。
 ▼個々の能力不足
 さて、それでは発足以来の鳩山政権は、この有権者の思いにどう応えてきただろうか。最初に小沢一郎氏を幹事長に据えた鳩山由紀夫首相の判断に、直感的な違和感を覚えた有権者は少なくなかったと思う。
 今日、小沢氏は新人議員を一手に掌握して政策面での活動を封じ、旧来の地元密着型の国会議員の養成に余念がないほか、国会運営に逐一影響力を行使して、内閣がその声を聞くということが目立っている。有権者の当初の危惧(きぐ)は、当たったかたちである。
 また内閣の顔ぶれは、おおむね実務型ではあるが、無駄の排除と政治主導を掲げて霞が関に乗り込んだにもかかわらず、来年度予算案の編成では、所管する省庁の予算を守る姿勢を見せている。
 元野党議員がいきなり大臣となることに限界があるのは当然だし、有権者も見守る必要はあるが、どうなっているのだという感は否めない。
 こうした大臣たちの変節や右往左往を招いているのは、一つには官僚組織を束ねて変革してゆく個々の能力不足だが、国家戦略室や行政刷新会議、そして首相と党がばらばらであることも大きいだろう。首相の意思が見えず、政治主導を推進するための仕組み自体が機能しないところに、この政権の実態があると言えるかもしれない。
 そこにはまた、政権が選択した連立の枠組みも影を落としている。数を優先して、大きく方向性の違う政党と連立を組むことにも有権者の多くが抵抗を感じたのだが、案の定、郵政民営化の見直しや中小企業への金融支援、補正予算の規模、そして日米関係にかかわる沖縄の基地問題などで、国民新党と社民党の存在が今日の政権のばらばら感に拍車をかけている。とくに日本郵政の社長に元大蔵官僚が抜てきされた件では、有権者はあぜんとしたものである。
 ▼有権者の期待
 目下、来年度予算案の編成が迫っており、財源捻出(ねんしゅつ)のための事業仕分けで政権は手いっぱいのようではある。税収が30兆円台に落ち込むなか、当初の見込みも狂い、首相も国家戦略室も政策の優先順位を示せないまま、日々閣僚の発言がぶれ、ばらばら感はさらに強まっていると言える。
 また地方も産業界も株式市場も、内需拡大のための具体的な産業振興策の見取り図がないことに不満をつのらせ、現実に諸外国に比べて不況感は深まる一方でもある。
 こうした状況下、有権者が政治に望んだ根本的な変革の意思を、鳩山政権は見失いつつあるように見えることが、今日一番の問題であろう。たとえば先日、官房長官が官房機密費の情報公開を拒否したが、これは明らかに有権者の期待に反している。また、何事も十分な審議と説明を尽くすのが新政権の約束だったはずだが、中小企業向けの金融円滑化法案をわずか1日の実質審議で強行採決に付したのは、いったいどういう変節か。
 この政権が掲げた温室効果ガスの高い削減目標も、「コンクリートから人へ」の大方針も、そのための予算の見直しも、新しい時代を約束した政権の基本理念として意味があるのであり、これを下ろして政権の存在理由はない。必要なのは、原則を掲げて説明し続ける姿勢である。民意が鳩山政権をあたたかく見守る時期は、過ぎつつある。(作家)
(静岡新聞)

仕分け人(人民裁判人)名簿

仕分け人名簿
 行政刷新会議の作業グループ(WG)で事業仕分けを担当した国会議員、民間の評価者(仕分け人)は次の通り。(各府省の副大臣、政務官は除く)
 【統括】枝野幸男衆院議員
 【第1WG】津川祥吾衆院議員▽寺田学衆院議員▽亀井亜紀子参院議員▽青木宗明神奈川大教授▽安念潤司中央大法科大学院教授▽井沢幸雄神奈川県小田原市職員▽石渡秀朗同県三浦市職員▽石渡進介弁護士▽内田勝也情報セキュリティ大学院大教授▽翁百合日本総合研究所理事▽奥真美首都大学東京教授▽川本裕子早稲田大大学院教授▽田近栄治一橋大副学長▽辻琢也一橋大大学院教授▽富田俊基中央大教授▽新倉聡神奈川県横須賀市職員▽ロバート・フェルドマンモルガン・スタンレー証券経済調査部長▽福嶋浩彦中央学院大教授▽政野淳子環境行政改革フォーラム幹事
 【第2WG】菊田真紀子衆院議員▽尾立源幸参院議員▽飯田哲也NPO法人環境エネルギー政策研究所所長▽石弘光放送大学学長▽市川真一クレディ・スイス証券チーフ
・マーケット・ストラテジスト▽長隆東日本税理士法人代表社員▽海東英和前滋賀県高島市長▽梶川融太陽ASG有限責任監査法人総括代表社員▽木下敏之前佐賀市長▽熊谷哲京都府議▽河野龍太郎BNPパリバ証券チーフエコノミスト▽小瀬村寿美子神奈川県厚木市職員▽露木幹也小田原市職員▽土居丈朗慶応大教授▽中里実東大大学院教授▽福井秀夫政策研究大学院大教授▽船曳鴻紅東京デザインセンター社長▽松本悟一橋大大学院教員▽丸山康幸フェニックス・シーガイア・リゾート会長▽水上貴央弁護士▽村藤功九州大ビジネススクール専攻長▽森田朗東大公共政策大学院教授▽吉田あつし筑波大大学院教授▽和田浩子Office WaDa代表
 【第3WG】田嶋要衆院議員▽蓮舫参院議員▽赤井伸郎大阪大大学院准教授▽荒井英明厚木市職員▽市村清新日本有限責任監査法人シニアパートナー▽小幡純子上智大法科大学院長▽金田康正甫大大学院教授▽伊永隆中首都大学東京教授▽高田創みずほ証券金融市場調査部長チーフストラテジスト▽高橋進日本総合研究所副理事長▽中村桂子JT生命誌研究館館長▽永久寿夫PHP総合研究所常務▽西寺雅也山梨学院大教授▽橋本昭アグロス胡麻郷社長▽原田泰大和総研常務理事チーフエコノミスト▽速水亨速水林業代表▽藤原和博大阪府知事特別顧問▽星野朝子日産自動車執行役員市場情報室長▽松井孝典東大名誉教授▽南学横浜市立大エクステンションセンター長▽安田喜憲国際日本文化研究センター教授▽山内敬前滋賀県高島市副市長▽吉田誠三菱商事シニアアドバイザー▽渡辺和幸経営コンサルタント
(静新平成21年11月29日(日)朝刊)

自民静岡支部長問題

 自民、県内選挙区立て直し・・・
 空席の支部長選び難航
 県連三役辞職、県議会会派分裂…
 地元慎重、公募模索も
 今夏の衆院選県内8小選挙区で全敗した自民党。政権奪還に向け選挙態勢の立て直しが急がれる中、次の衆院選で公認候補が有力となる選挙区支部長選びが難航している。
 支部長は全選挙区とも現職衆院議員が務めていたが、落選や政界引退で空席に。8区は比例復活の塩谷立氏(59)が就任し、党本部が定めた「惜敗率70%以上で65歳以下」の基準でこのほど1区に上川陽子氏(56)、4区に望月義夫氏(62)を内定。残る5選挙区は県連三役辞職と県議団分裂のあおりを受けて選考作業は遅れ、公募の動きも出てきた。
 ▼「早期に後継者を」
 柳沢伯夫氏(74)の後任を選ぶ3区支部長は公募し、選考委員会を設置して決定する方針が固まった。関係者によると、候補者の条件として旧市町村ごとの支部や複数の市町議員の推薦が必要とされるなど「すぐに選対を組める体制と実績」が重視され、候補者の顔触れは限られるとの見方が大勢だ。
 5区も斉藤斗志二氏(64)の政界引退で公募が有力だが、機関決定には至っていない。5区幹事長の遠藤栄県議は「早期の後継者決定が理想」とした上で「党本部から指示がなく、県レベルの体制も整っていない。勝つための体制づくりにめどが立たない」という。
 6区は倉田雅年氏(70)が支部長再任に意欲をみせていたが、11月の駿豆広域の党支部会合で、党本部が示した年齢条件などの基準に触れ「もう難しいだろう」との見通しを示したとされる。新支部長の選任は公募の意見が挙がっているが「6区は地域支部が多く難しい。本気で応募する人がいるのか」(沼津市議)との懸念も強い。
 ▼身動き取れず
 7区は元自民の無所属城内実氏(44)に敗れた片山さつき氏(50)の処遇が焦点。片山氏は地元で政治活動を続けているが、党浜松市浜松支部の幹部は「党本部や県連の指示があるまで行動を起こす考えはない。公募なり、何か具体的な話があれば対応するが、それまで静観する」と説明。「(城内氏が)自民に復党すると思っていた党員も多い。動けない」(同支部関係者)、「党を出た城内氏が支部長になれば党が割れてしまう」(同)などの声が交錯する。
 2区は10月に島田市内で開いた党市町支部長会議で支部長の人選を話し合ったが、結論は出なかった。党本部が支部長選考基準を「惜敗率60%以上、65歳以下」に緩和したことで、原田令嗣氏(57)が新たに条件を満たした。原田氏を内定案に加えた党本部は30日までに同意するか否かの回答を支部に求めているが、2区支部幹事長の大石哲司県議は「大事な問題であり、地元としてただちに決められる段階ではない」と慎重な姿勢だ。
(静新平成21年11月29日(日)朝刊)

2009年11月25日水曜日

自民改革会議 結成届を議長に提出

 自民改革会議 結成届を議長に提出
 自民県議団も代表者変更届
 県議会最大会派の自民党県議団から分裂した18人の県議でつくる新会派「自民改革会議」の大場勝男代表が24日、会派結成届を浜井卓男議長に提出した。新会派結成は2005年3月の民主党・無所属クラブ以来。
 浜井議長は「決断して挙に出た。切磋琢磨(せっさたくま)して、よい県政をやる目的は同じ」と述べた。大場代表は「党再生のために結束して頑張っていく」と語った。
 議員総会も開き、年1本以上の議員提案条例を策定すると決めたほか、勉強会の開催など会派運営の在り方についても協議した。
 一方、自民党県議団は自民改革会議に所属しない22人で構成。同日行った議員団総会で代表に森竹治郎氏、代表代行に天野進吾氏、会計責任者(事務局長)に中沢通訓氏を決め、会派代表者変更届などを議長に提出した。
(静新平成21年11月25日(水)朝刊)

2009年11月22日日曜日

自民静岡県連

「自民県議団新会派」
 "知事与党"勢力図激変
 自民党県議団の分裂による新会派「自民改革会議」は19日、18人の勢力でスタートした。22人が参加した今月2日の発起人会以後、県議団で取りざたされた賛同者リストは一時、26人にまで膨らんだ。だが、自民党再生の旗印に賛同しつつも「川勝平太知事への対決姿勢が強すぎる」と懸念を抱いた県議が徐々にリストから姿を消した。
 結成総会の直前、当選4期の県議が県議団控え室に集まった。リストに名前があった4人は発起人代表の小楠和男県議ら
に「新会派には加われない」と離脱を伝えた。うち1人は、取材に対し旧会派にとどまる理由を「農林水産業に目配りをしている川勝知事を高く評価したいというのが、わたしの支援者の声だ」と述べた。
 知事選で川勝知事擁立会議に加わるなど、川勝知事に近い議員が残った自民県議団は22議席で第1会派を維持。知事を全面支援する民主系会派平成21と連携すれば過半数の勢力となり、"知事与党"をめぐる議会の勢力図は塗り変わった。
 ただ、新会派の大場勝男代表は設立会見で「野党だという考えはない」と重ねて強調し、川勝知事との協調姿勢も打ち出した。発起人として奔走してきた小楠氏は県議会6月定例会の代表質問で「自民党は知事野党になった」と川勝知事との対決姿勢を鮮明にすることで党の存在感を示していただけに、新会派の独自性発揮に課題を残す船出となった。
(静新平成21年11月20日朝刊)


「白鳥浩法政大大学院教授に聞く」
 政権交代地方影響の象徴
 自民党県議団が分裂に至った背景などを、県内の政治情勢に詳しい白鳥浩法政大大学院教授に聞いた。

 衆院選で政権交代して自民党が野党に転落したことが地方に影響を及ぼした。党の国会議員の数が激減し、党再生や政
権奪還の道筋が見えない状態で、地方政治が漂流を始めた象徴と言える。
 静岡県は民主党が支持した知事が誕生しただけに、自民党の地方組織のメルトダウン(溶解)がより加速しているのではないか。権力という求心力でまとまっていたたががはずれ、立ち位置が定まらず、一枚岩でいられなくなってしまった。
 今後は民主党との対立軸をつくらなければならない。政府の事業仕分けを見ても民主は哲学を持った政策が見えない面がある。県議会の自民系会派が首尾一貫の政策を打ち出せれば、その姿勢が県民に理解され国政にも反映することができるはず。
(静新平成21年11月20日朝刊)



 役員選考委体制
24日以降協議へ 自民党県連
 自民党県連は19日、県議団総会を静岡市内で開き、10月の三役辞任から空席状態が続く役員人事について、新たな三役を選出する選考委員会の体制を早期に固めることを決めた。
 自民党県議団、新会派の自民改革会議の両会派の代表者、赤堀佐代子県連筆頭副幹事長の計3氏で選考委員会の人数や日程などを決める。24日に自民改革会議が会派設立届を提出し、正式に設立するのを待って協議に入る。
(静新平成21年11月20日朝刊)


 自民党支部長選定 県連おおむね了承
 自民党県連は19日、先の衆院選で落選した小選挙区のうち党執行部が内定した県内支部長の選任案について、おおむね了承する方針を決めた。
 執行部は衆院選の惜敗率が70%以上、65歳以下とする基準を基に、県内については1区の上川陽子氏と4区の望月義夫氏を、次期衆院選公認候補の前提となる支部長に内定した。
 県連は市町支部や県全議員に選任案を通達し、19日までに文書で回答するよう要請していた。全国では計53人を内定。党本部は各都道府県連から同様に意見を求めて集約し、20日にも正式発表する見込み。
(静新平成21年11月20日朝刊)

2009年11月21日土曜日

民主・土田氏比例へ

静岡政治・経済
民主・土田氏比例へ 来夏参院選 現職対決回避方針
11/21 07:36 (静新webnews)
 10月の参院静岡選挙区補欠選挙で当選した民主党の土田博和氏(60)について、同党選対幹部が改選を迎える来年夏の参院選挙では比例代表候補として擁立する方針を県連側に伝えてきたことが20日、関係者への取材で分かった。
 方針が変わらなければ、既に党公認を得ている藤本祐司氏(52)との“現職対決”は回避される見通し。ただ、小沢一郎幹事長が2人区以上は複数候補を擁立する姿勢を示しているため、静岡選挙区(2議席)の候補が藤本氏一人に絞られるかは不透明な情勢だ。静岡選挙区への2人擁立について、党幹部の一人は「今後の検討課題だ」とした。
 参院補選の結果、同党は来年夏改選の参院静岡選挙区の議席を独占。意気上がる一方で、県連内には「現職同士のつぶし合いになるとしこりが残る」と来夏の選挙への対応を不安視する声もくすぶっていた。

2009年11月20日金曜日

県会自民分裂し新会派

県会自民分裂し新会派
18人が「自民改革会議」
県議会最大会派「自民党」(40人)から分裂してできる新会派の設立総会が19日、県庁で開かれ、18人が出席した。新会派名は「自民改革会議」。24日に議会事務局に届け出て正式に発足する。ただ、当初予想された最大会派となるには至らず、川勝県政への対応や議会での主導権を巡り、今後議会内で会派間の駆け引きが激しくなりそうだ。

 総会に出席したのは、1期目の6人全員を始め、4期までの若手・中堅議員が大半を占める。総会では、大場勝男氏(64)(掛川市選出)が会派代表に就任することが決まったほか、新会派設立の中心となってきた同党県連の小楠和男・前幹事長(48)(浜松市南区選出)と大石哲司・前政調会長(70)(牧之原市・榛原郡南部選出)がともに副代表に就いた。
 総会後、新会派のメンバーはそろって記者会見。大場代表は「県民の目線に立って、県民の幸せのために政策集団として努力していく」と会派の目的を説明。川勝知事に協調的な議員が旧会派にとどまったのに対し、新会派のメンバーは川勝知事に批判的とされる点について、大場代表は「(新会派は)知事に反対する勢力ではない。知事の応援団として、支えるべきは支え、行き過ぎるところはチェックする」と述べた。
 旧会派との違いについて、小楠副代表は「9月定例会で空港部廃止議案に対し一枚岩で臨めなかったことが、新会派設立の大きな理由。党の規約を守って活動することが(旧会派との)違いになる」と述べた。

 今月2日の新会派発起人会には同党の議員22人が出席したが、19日は4人が参加しなかったことについて、大場氏は「多い方がいいが、政治家の判断なので引き留めなかった」と語った。

 その後、自民党県連の議員団総会が静岡市内のホテルで開かれ、小楠氏ら県連三役の辞任を塩谷立・県連会長が正式に受理したことが報告された。新三役の選考方法は、新・旧会派の代表と、県連筆頭副幹事長の赤堀佐代子県議の3人で協議して決めることを申し合わせた。

 大場、小楠、大石氏以外の新会派メンバーは次の通り(敬称略)。
 田島秀雄、小野登志子、宮沢正美、杉山盛雄、天野一、山田誠、前沢侑、中野弘道、落合慎悟、藪田宏行、赤堀佐代子、大橋正己、竹内良訓、中沢公彦、鈴木利幸

(2009年11月20日 読売新聞)

2009年11月16日月曜日

自民党県議団分裂

 自民党県議団分裂
「政策提言で存在感示せ」
 静岡県議会の最大会派自民党県議団(40人)の若手、中堅を中心とする県議が19日、新会派を結成する。新会派に加わる県議は二十数人に達する見込みで民主党系の平成21(21人)や、もともとの自民党県議団を上回って最大会派になるとみられる。
 会派分裂は、知事選、衆院選の敗北や県空港部廃止への対応をめぐって県議の間に亀裂が生じたのがきっかけだ。県議が結束できないまま、会派を存続させても党再生にはつながらないと新会派結成に動いた。
 新会派も、自民党県議団も自民党に変わりないが、県議会の会派活動は別々の道を歩むことになる。両会派とも、まずは政策集団に脱皮することを求めたい。
 野に下っての会派分裂は自民党衰退の象徴という見方をされてしまいかねない。なぜ、新会派をつくるのか、支持者への丁寧な説明が必要だろう。
 長年、議席の過半数を握り、知事与党の座を占めてきた自民党県議団には、チェック機関としての立場が希薄だったことは否めない。知事部局の根回しで、自民党の意向をくんだ県の施策はほぼ提案通り実現し、県議会は事実上"追認機関"となっていた。
 自民党県議団は、川勝平太知事の県政運営に対し「是々非々で臨む」と強調してきた。しかしそれを実践するには、何よりも議会活動で存在感を発揮しなければならない。チェック機関本来の役割を果たすとともに政策提言を競い合うことが重要だ。
 県議会で、議員提案の政策条例が制定されたのは、4年前の「食と農の基本条例」がわずかに一件あるだけ。県議には政策の調査研究のため、1人当たり月額45万円の政務調査費が会派に交付されている。政策の提言、提案は議員の本分だが、それを怠ってきたと言わざるを得ない。県議会で主導権を握り続けてきた自民党の責任は重い。
 同党県議団は最大会派の強みを生かし、議長や副議長をはじめ、多くの常任、特別委員長、監査委員などの要職を占めてきた。会派の県議が多いこともあり、議会ポストや幹事長などの県連役員は当選回数を示す期数や東中西のバランスを重視してきた。
 こうした会派運営は県議の間にとかく「当選回数第一」という風潮を生み、政策をテーマにした党内論議などが活発化してこなかった一因になったのではないか。
 会派分裂で、来年行われる参院選をどう戦うのかという問題もある。二つの会派はよほど奮起しないと党再生はおぼつかない。
(静新平成21年11月16日「社説」)

2009年11月14日土曜日

沼津市平成20年度決算のあらまし

中国の文化大革命のつるし上げみたいだ。

 世論は味方だが・・・・・
 仕分け人は結果責任から逃れられぬ
 静岡新聞主筆 原田誠治
 真っ正面から踏み込み「廃止」を連発する事業仕分けに役人から「公開処刑だ」という声があがったと伝えた新聞もある。
 政府、民主党の行政刷新会議の事業仕分けはすさまじい。まるで劇場だと報じた新聞もある。
 税金の無駄遣い排除にもちろん異論ないが、1事業1時間という短い時間で無駄か否か決められるのか。そんなに単純な理念理由で事業が設定され、予算がはりつけられているはずがない。
 その処方箋(せん)によってどんな結果になるか、仕分け人は結果責任から放免されはしない。
 法廷の被告人質問のようだ
 世情はいつからこんなに冷酷になったのか。この目で確かめようと大勢集まるのは結構だが、官僚たたき、役人いびりの現場を見てやろうという社会的空気がある、という話は穏やかではない。
「まと質問に答えられない役人を見て溜飲(りゅういん)を下げた」「仕分け人の切り込みは小気味よかったね」の傍聴評に異様さが漂う。
 「公開」の場、衆目の前という舞台設定が仕分け人を異常に勢いづける。昂(たか)ぶって説明役の役人に噛(か)みつく場面が生まれる。独立法人・女性教育会館の6億円予算をめぐって女性参院議員が突っ込み、「利用者はどれくらいか」「そのうち宿泊はどの程度か」「一般人の宿泊はどれほどか」と速射砲のように質問をあびせつづけた。
 法廷の被告人質問のような畳みかけに会館の女性担当者が「待ってください。自分の質問ばかりで…私の説明も聞いてください」と泣きだしそうになった。
 さすがに傍聴者の中に「仕分け人は役人攻撃が目的なのか」「役人をいじめているみたいだ」と同情の声が上がった。
 職務権限はない民間仕分け人
 この事業仕分けには分からないところがたくさんある。
 まず、仕分け人と呼ばれる人たちの資格だ。民主党議員は国民の選挙によって選ばれた人たちで、しかも行財政に長けた人を充てたようだから文句はない。
 民間有識者はどうか。確かに立派な肩書きと専門知識を持ち合わせた人たちだが、行政刷新会議が恣意的に選任したもので、国民新党の亀井静香代表からクレームがついた小泉政権で金融庁顧問だった川本裕子早大院教授ら一部を除けば民主党シンパの集団だ。だから、厳密に「第三者」とはいえない。もちろん国民を代表しているともいえない。
 その民間人が国家の事業・予算の存廃、修正を決定づける力は何を根拠に与えられるのか。法律上の資格、職務権限がない人たちが三権分立の原則に沿って行政が立案した事業・予算の存廃を判定する根拠は何だろう。
 役人も目覚めよ無駄遣いの罪
 ついでながら、民間シンクタンクが判定者を務める地方自治体の事業仕分けも気がかりはある。
 地域の実情を知らない人たちがただ効率や金嵩の多寡で切り分ける。どんな事業、制度にも地域の事情や歴史的背景がある。それを無視した仕分けに市民の反発を受け中断した自治体もある。
 今回もその事業・予算につながる人たちの意見を後回しにしている。時間的制約があるのだろうが全くの"欠席裁判"だ。人にやさしい政治の看板が泣いてしまう。
 政治主導とは政治責任を貫くことだ。国の事業は長期的視点も必要だから存廃判断の処方箋づくりは政治家がやるべきだ。それも清新な意識の人たちこそ鋭い判断ができる。初当選の国会議員を外した小沢幹事長の判断は間違いだ。
 公開の場で税金の使途にメスが加えられるのは画期的だが役人への見せしめにしてはならない。民間仕分け人方式を貫くなら仕分けの基準づくりを急ぐことだ。
 役人は税の無駄遣いの罪深さに目覚めよ。仕分け開始に合わせ会計検査院に史上最多の無駄遣いを暴かれてはお話にならない。
(静新平成21年11月14日「大論小論」)

2009年11月13日金曜日

「自民県連三役辞任であるじ不在」

「自民県連三役辞任であるじ不在」
”本丸”役員室消滅の可能性
 会派分裂 利用法が焦点
 県議会最大会派・自民党県議団の控室の一つで自民県連三役が役員室として使っている部屋が、10月の三役辞任以降、あるじ不在の状態が続いている。県議団は路線対立から2会派に分かれる見込みで、自民の混乱ぶりを象徴するように、歴史ある役員室が消える可能性が高まっている。
 役員室は県庁本館にあり、1937年の建設当時は知事室として使われた。70年に知事室が東館に移った後、約40年にわたり自民会派が使用してきた。県連幹事長経験者は「議会をけん引してきた県議団、県連の双方にとって本丸といえる場所」と位置付ける。
 控室は会派の所属県議数に応じた面積配分で決まる。40人の大所帯だった県議団の控室は6室あり、二十数人が旗揚げする新会派と残留組の現会派とで再配分されるため、役員室をどう利用するかが焦点の一つ。県議会事務局は「新会派が設立された段階で、両会派で対応を協議してもらうしかない」という。
 役員室をめぐっては、どの自民県議も「党と県議会会派が一体だったから役員室として利用できた。会派が分かれる以上、役員室は返上するしかない」と見解はほぼ一致する。
 今後の利用法についてベテラン県議は「他会派の理解が得られれば、自民系両会派共通の応接室としての活用もある」と提案。中堅県議は「役員室も含めて、現在の自民党県議団の控室を物理的に二つに分ければよい」との考えを示す。
 新会派の設立総会は19日。その後、議員控室の再配分など12月定例会(30日開会)に向けた対応が会派代表者会議などで始まる。
 「役員室がなくなることは、言い方は悪いが自民本丸の落城。政権交代して自民が野党になった波が地方にも強く出ている」。ベテラン県議は党再生に向けた険しい道のりをぼやいた。
(静新平成21年11月13日(金)朝刊)

2009年11月11日水曜日

自民党公認問題

 高惜敗率落選者公認へ 谷垣総裁
 自民党の谷垣禎一総裁は9日、都内で講演し、次期衆院選の公認候補となる小選挙区支部長の選任に関し、比例区との重複立候補で落選した人についても「惜敗率が高く、本人に意欲があれば早く支部長にしようと思っている」と述べ、惜敗率が高い場合は、早期に支部長としたい考えを示した。
 谷垣氏はまた、現職119人に加え、高惜敗率の落選者を支部長に選任しても、支部長が空席のままとなる選挙区は100程度に上るとの認識を示した。これに関し大島理森幹事長は同日、「(現職以外は)ルールにのっとり今週中に発表したい」との考えを示した。執行部は現職がいない選挙区の支部長選任基準について「惜敗率70%以上、65歳以下」などとすることを検討している。
(静新平成21年11月11日(水)朝刊)

道路幅、自治体が決定。

 道路幅、自治体が決定
車線数や歩道設置も 通常国会で法改正へ
 国土交通省は10日、地方自治体が整備する都道府県道と市町村道の幅や車線数、歩道の設置などについて、自治体が地域の実情に応じて自由に条例で定められるよう道路法を改正する方針を固めた。来年の通常国会に提出する「新分権一括法案」に盛り込む方針。
 トンネルの高さや橋、高架の強度など、円滑で安全な交通を確保するために必要な最低限の項目を除いて自治体に任せる。「山中の道路でも両側に幅2㍍以上の歩道がある」などと批判される画一的な道路整備を見直すのが狙い。
 道路法の道路構造令は幅などを細かく規定しており、国交省は自治体が構造令に縛られずに整備できるよう「地形上の問題でやむを得ない場合は歩道を設置しなくてよい」などの柔軟規定も設けている。しかし自治体側が「構造令と同じでないと補助が受けられない」と誤解するケースもあり、規定を使い切れていないのが実情だ。
 このため国交省は、自治体の責任で整備する道路に限り、条例で幅などを定められるようにする。具体的には、構造令を参考基準として残したまま「条例で技術的基準を定めることができる」などの文言を道路法に加える方向で調整する。
 改正は、道路の構造基準を廃止するか条例に委任すべきだとする地方分権改革推進委員会の第3次勧告を受けた措置。
(静新平成21年11月11日(水)朝刊)

2009年11月8日日曜日

富士市長選

民主・自民相乗り、鈴木氏を推薦 富士市長選
11/08 07:46 (静新webnews)
 民主党県連と自民党県連は7日までに、任期満了(来年1月18日)に伴い12月13日に告示される富士市長選(12月20日投開票)に、3選を目指し出馬を表明している現職の鈴木尚氏(62)の推薦をそれぞれ決めた。
 同氏に対しては公明党も政策協定を結び、党本部に推薦を申請している。
 同市長選に出馬を表明しているのはこれまでのところ鈴木氏だけ。

2009年11月7日土曜日

自民新会派22人参加へ

自民新会派22人参加へ
県会最大会派に名称「党改革会議」など候補
 県議会最大会派「自民党」の分裂問題で、会派を離脱して新会派の結成を目指すメンバーの顔ぶれがほぼ固まった。所属する40人の議員のうち、6日時点で22人が参加するとみられ、1人だけだが第2会派「平成21」(21人)を上回って最大会派となる見通し。新会派名は「自民党改革会議」などが候補に挙がっている。1~4期の若手・中堅議員が約9割を占めることになりそうだ。

 6日までに固まった新会派への参加メンバーは、1~6期の男性20人、女性2人。1、3、4期からの参加者が多く、計17人を占める見通しだ。22人の平均年齢は58・9歳。7月の知事選で党県連の方針に反して川勝平太氏の擁立に動き、文書による注意処分を受けた5人の議員の中からも参加者が出る見込みだ。

 これに対し、旧会派メンバーは1~8期の男性17人、女性1人の計18人となる見込み。平均任期は5期とベテラン組が多く、平均年齢は63・4歳だ。

 自民党はこれまで単独で県議会の総定数(74)の過半数を占め、議会では川勝県政に対し野党の立場をとってきたが、先の県議会9月定例会では、党議拘束をかけて「反対」を決めたはずの県空港部廃止条例案に対し、所属議員の一部が造反して賛成に回るなど、川勝知事との協調を目指したとみられる動きが表面化していた。

 今回、旧会派に残るメンバーが川勝知事に協調的な議員が多いとみられるのに対し、新会派に参加するメンバーは川勝知事と距離を置くか、批判的。川勝県政に対するスタンスの違いがもはや覆いがたくなったことが、分裂の主な理由とみられる。

 一方、各議員の選出選挙区ごとにみると、同一選挙区に複数の自民党議員がいる10選挙区のうち8選挙区で議員が新・旧会派に分かれることになる。県内では、先の衆院選や参院静岡選挙区補選を通して自民党や支持組織の退潮・衰退傾向が浮かび上がった。こうした流れの中で、約1年半後の県議選を見据えて生き残りを図ろうとする思惑も、今回の分裂の背後に見え隠れする。

 新会派は19日に旗揚げ予定だが、それまで新旧両会派間で綱引きや切り崩し工作が水面下で続けられるとみられる。

(2009年11月7日 読売新聞)

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県議会:自民県議団、「単独過半数」が崩壊 知事は「少数与党」解消へ /静岡
 ◇30日開会 路線対立しこりも
 県議会の12月定例会は30日開会する。会期は12月21日までの22日間。川勝平太知事は就任後3回目の県議会で、自民党県議団の会派分裂で「少数与党」状態が解消される見通しとなった。一方、1966年以来守ってきた自民党県議団の「単独過半数」は崩壊。新たに旗揚げする会派が「反知事」を鮮明にすれば、現行会派は「知事与党化」をにじませる。路線の対立は感情のしこりも生んでおり、分裂劇は議会だけでなく、「党再生」がかかる県連運営の火種にもなりそうだ。【浜中慎哉、望月和美】
 □巨大会派が消滅
 6日夕、自民党県議40人のうち、2日に旗揚げを表明した同党新会派に合流しない予定の2~7期の14人が県議会内で会合を開いた。約30分間話し合い、「仮の代表」として森竹治郎県議(下田市・賀茂郡、7期)を選出した。
 過去、県議会の自民党県議団を大きく揺さぶったのは93年の旧新生党の結党だった。当時、自民党を離党した熊谷弘元通産相に近い同党県議11人が「新静会」の結成に走った。
 それでも当時の県議会の定数78に対し自民党は41人を擁し、単独過半数を維持。県議会での影響力も保った。ところが今回は様相が異なる。一部の離脱でなく、40人のうち20人以上が新会派に加わる見通しで、定数74の単独過半数37人以上をどちらの会派も確保できそうにないためだ。
 □勢い増す知事与党
 県が12月定例会に提出予定の主な議案は、2月23日を「富士山の日」に制定する条例案など。日本航空の静岡空港撤退問題や、県の事業仕分けの結果をどう来年度予算案に反映させるのか、などもテーマになりそうだ。
 知事与党は現在「平成21」(21人)と「民主党・無所属クラブ」(4人)の2会派で、平成21の三ツ谷金秋会長は「残留する自民党会派と同じスタンスで議案に臨み、問題点があれば一緒に協議したい」と期待する。
 自民党の現会派に残る意向の中沢通訓県議も「平成21も含め他会派との協調は十分ありうる」と連携をにじませる。公明党(6人)は明確な反対姿勢をとっておらず、川勝知事にとって議会対応はやりやすくなりそうだ。

県内政経記事

平成21年11月7日(土)県内静新政経記事
 自民県議団 新会派不参加組が会合
 代表に森氏就任へ
 県議会自民党県議団の分裂で結成される新会派に参加しない県議が6日、県庁で会合を開いた。結束して自民県議団を継承することを確認し、離脱者が確定して以降の会派代表に森竹治郎氏(下田市・賀茂郡)が就任することを決めた。
 会合には14人が参加し、2人は事前に欠席を伝えていたという。当面は会合などを開かず、新会派の動きを静観することを決めた。
 会議後に、代表代理を務める予定の天野進吾氏(静岡市葵区)、事務局を担当する中沢通訓氏(静岡市清水区・庵原郡)が会見した。中沢氏は「自民党再生にまとまるべき時期に、分裂は理解できない」と新会派の動きを批判。天野氏は「公明党も平成21も敵対視すべきでなく、県勢発展に向け(新会派より)わたしどもの方が連携しやすいのではないか」と述べた。

 「副議長平成21から」
 三ツ谷会長 自民分裂で方針
 平成21の三ツ谷金秋会長は6日、自民党県議団から分裂して結成される新会派誕生後の同党県議団(旧会派)との連携強化の方針に関連し、「旧会派から議長、平成21から副議長を出したい」との考えを明らかにした。
 これまで正副議長は単独過半数を占める自民が独占してきた。分裂後は新会派が最大会派になる見通しだが、平成21と自民県議団、民主党・無所属クラブで過半数を占め、正副議長選で連携すれば、ポストを分け合うことが可能になる。
 三ツ谷会長は自民県議団との連携について、「過半数が取れなければ意味がない」とし、最終的に新会派がどの程度の規模になるのかを注視する姿勢を示した。また、川勝県政の安定化に向け、公明党にも協力を働き掛けているという。

 30日から12月定例会 県議会議運
 県議会議会運営委員会(大場勝男委員長)が6日開かれ、12月定例会の日程を11月30日から12月21日までの22日間と決め
た。県人事委員会勧告などに伴う給与関連議案を11月末までに議決する必要が想定されるため、当初予定より開会日を1日繰り上げた。代表・一般質問は12月4、7~10日、常任委員会は14、15日に開かれる。

 民主県連が原氏推薦 裾野市長選
 民主党県連は6日、任期満了に伴って来年1月17日告示される裾野市長選(1月24日投開票)で、無所属で出馬を表明している県議の原文雄氏(66)11平成21=の推薦を決めた。

 地域医療再生基金 修正計画を国に申請
 県 交付の大幅減額受け
 2次医療圏単位の地域医療再生計画を支援する国の「地域医療再生基金」が補正予算の見直しで大幅に減額されたことを受け、県は6日、修正を迫られていた中東遠と志太榛原、駿東田方の計3医療圏の再生計画を、国に申請した。
 再生基金をめぐっては当初、県は100億円交付枠に中東遠医療圏の再生計画、25億円交付枠に志太榛原と駿東田方の両医療圏の再生計画を、申請する予定だった。しかし、補正予算見直しに伴い厚生労働省が一律25億円交付に改めたため、中東遠の計画は抜本的見直しが必要になっていた。
 中東遠の修正計画では掛川、袋井の両市立病院統合(2012年度開院予定)に伴う病院間の機能分担などを目的に、新病院に設置する「循環器・脳卒中センター、糖尿病拠点施設整備」に9億3千万円、磐田市立病院に整備する「腫瘍(しゅよう)センター整備」に2億2千万円などを盛り込み、全県事業として国内では少ない家庭医の養成に向けた研修と研修施設確保による医師確保対策に8億4千万円を充てる。新病院のハード整備の一部と、奨学金制度などを見直した。
 国は有識者会議を経て12月中旬に交付先を内示する予定。県医療室は「100億円枠がなくなったことは今も残念。各市と病院と協議して必要性のある事業を優先し、計画を見直した」としている。
(静新平成21年11月7日(土)朝刊)

2009年11月6日金曜日

新スキャンダル

国会で与野党が激しい論戦を繰り広げるなか、鳩山由紀夫首相と民主党の小沢一郎幹事長が、カネにまつわる新スキャンダルに見舞われている。小沢氏には政治資金パーティー券収入に関し、政治資金収支報告書に虚偽記載していた疑惑が浮上。鳩山首相は「秘書と議員は同罪」とする過去の発言が民主恒例の“ブーメラン”となって、四苦八苦しているのだ。党内からは「短命に終わった細川政権の二の舞いになるのでは」(中堅)との声も出ている。

記事本文の続き 5日の朝日新聞朝刊が「小沢氏団体 虚偽記載の疑い」と1面トップで報じた小沢氏に関する新疑惑は、要約すると以下の通り。

 〈小沢氏の関連政治団体『小沢一郎政経研究会』(政経研)は、2000-04年のパーティー券収入について、企業に政治資金規正法で定められた『1企業あたり1回のパーティー150万円』とする購入上限額を超える金額を要求し、支払いを受けた。しかし、政治資金収支報告書では、その企業名での記載は150万円以下で、支払いとの差額は、企業名の記載義務がない20万円以下の小口分に分散していた疑いがある。東京地検特捜部も同様の経緯を把握している〉

 収支報告書によると、政経研は毎年4回ずつ、「小沢一郎政経フォーラム」というパーティーを開催。収入は計約6億9000万円で、うち購入者名がない小口は約6億4000万円だった。当時の収支報告書を担当していたのは、元秘書の石川知裕民主党衆院議員。

 同紙によれば、企業側が同紙に回答した額が150万円を超えたのは4件で、企業名の記載が必要な20万円を超えて購入したが、その記載がなかったケースもあった。企業回答に比べ収支報告書の記載が過小だったのは少なくとも8件、630万円だったという。

 小沢氏をめぐっては資金管理団体「陸山会」をめぐる違法献金事件のほか、陸山会が04年に購入した土地の代金を翌年の収支報告書に記載していた問題で4日、市民団体が特捜部に石川氏ら3人に対する政治資金規正法違反容疑で告発状を提出する事態も起きている。

 自民党関係者は「民主党はマニフェストで、パーティー券を含む企業・団体献金の全面禁止を掲げたのに、政経研は10月30日にパーティーを開き、企業関係者も多くいたと聞く。矛盾していないか」と指摘する。

 一方の鳩山首相は連日、衆院予算委員会で炎上中だ。4日には03年7月、自身のメールマガジンで「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべき」と語っていると指摘されたうえ、「政治団体の代表者が会計責任者の選任、監督について相当の注意を怠った場合は、50万円の罰金になる。罰金刑になれば議員生命にかかわる」と迫られると、首相は「その時に判断したい」とタジタジに。

 さらに首相は、偽装献金の原資が、鳩山家の資産管理会社が管理する資金だったことや、流用指示の書面に首相自身が署名した事実を明言。政治家による資金管理団体への1年間の献金上限額は1000万円とする規正法の「量的制限」を認識していたことも認めたのだ。

 自民党の大島理森幹事長は「本質にかかわる問題が出てきた。首相は中身を全部知っているはずだ。集中審議を求めて、全容を明らかにしていかねばならない」と意気込むが、果たして疑惑は解明されるのか。
(イザ版ニュース平成21年11月6日(金))
 

11月6日政治記事

 二階派が伊吹派に合流
 自民 自民党の二階派(会長・二階俊博選対局長)が5日、伊吹派(会長・伊吹文明元幹事長)に合流した。正式名称は現在の伊吹派の「志帥会」を継承。会長も引き続き伊吹氏が務め、二階氏は会長代行に。事実上、8月の衆院選で衆参計3人の小所帯となった二階派の救済合併で衆院選惨敗と野党転落で環境が激変、苦境にある派閥の現状を象徴する出来事となった。
 合流後の志帥会は衆参計18人となり、7派閥中、第4勢力となる。伊吹氏は発表の記者会見で「互助機関として助け合うには数が多い方がいい」と説明。二階氏も「次の選挙で同志が戦う際に協力していきたい」と述べ、ともに「選挙互助会」を強調した。
 最大派閥は町村派だが、衆院選後に小池百合子元防衛相、総裁選に出馬した西村康稔氏が退会。かつて派閥継承者に目された中川秀直元幹事長が10月末に「脱派閥の新しい政治の確立に向け力を尽くしていきたい」と退会した。

 自民県連 三役人事は19日以降
 自民党県連は5日、幹部らが都内で会合を開き、現在空席となっている県連三役の人事について、県議団から離脱した新会派が総会を開く19日以降に決定する方針を確認した。赤堀佐代子筆頭副幹事長らが塩谷立会長を訪ねた。
 塩谷会長によると、新会派による総会や新旧会派双方の代表者の決定を待って議員団会議などを開催し、県連大会で新三役を承認する流れになる見込み。会合では県議団分裂に至った経緯も報告されたとい
う。
 党県連三役は、県議会9月定例会の空港部廃止条例案をめぐって造反が出た責任を取り、辞表を提出した。県議団内でもあつれきが増し、分裂が決定的となっている。
 塩谷会長は「こうした事態になった以上、ばたばたしても仕方ない。いかに前向きに進むかだ」と冷静な姿勢を強調した。

 分裂の自民県議団発起人が規約協議
 県議会の自民党県議団(40人)を離脱して新会派設立を目指す発起人代表6人が5日、県庁で会合を開き、規約案を協議した。新会派の名称に「自民」の言葉を入れる▽「政策立案」「選挙対策」を検討するPT(プロジェクトチーム)の設置ーなどを決めたという。
 PTは会派として政策を考え、自民党市町支部などとの連携を図るのが狙い。新役員や会派名称などは19日に開く設立総会で決定する。
(静新平成21年11月6日(金)朝刊)

2009年11月4日水曜日

民主「脱官僚」怪しく

 民主「脱官僚」の旗怪しく 屋山太郎
 郵政社長は典型的「渡り」
脱官僚、地域主権の確立をマニフェストに掲げ大勝した民主党だが、脱官僚の旗が怪しくなってきた。脱官僚の入り口は天下り禁止、渡り根絶だが、鳩山内閣は日本郵政の社長に元大蔵省事務次官の斎藤次郎氏をもってきた。加えて副社長に足立盛二郎元郵政事業庁長官、坂篤郎前内閣官房副長官補を据えたのには唖然とした。党の象徴的政策でこのような公約破りをするようでは民主党の支持率が下がるのは当然だ。2日に発表された共同通信の支持率は前回より10%も下がったが、この約束破り人事が影響しているとみていい。
 亀井静香郵政担当相の独断人事だとか、斎藤氏は14年間も民間にいたなどと、鳩山首相は弁解している。しかし斎藤氏のケースは典型的な渡り人事であり、坂氏のケースはまぎれもない天下り人事だ。亀井氏の独断であろうがなかろうが、民主党が泥をかぶらねばならない。
 鳩山氏の政権運営手法は各大臣に自由にやってもらうということのようだが、首相は肝心要のところでは自ら断を下さねばならない。政権発足50日にしては政治が急速に動いている観がある。これは事務次官会議を廃止して各省を大臣、副大臣、政務官の政務三役会議で仕切っているからだろう。
 しかしこの体制は三役会議がその省の仕事を理解し、人事も掌握していることが前提だ。さらに政権全体の流れに沿っているかどうかの判断も不可欠だ。
 しかし亀井郵政担当相は民主党の掲げた脱官僚という大義に明らかに反して行動している。郵政改革の内容についても、元の官営にはしないというだけで郵政公社復活の兆しを見せている。本来、郵政事業と全く無縁のかんぽの宿も丸抱えし、郵便局員に老人の家に出向いて"声かけ運動"をさせようとの動きまである。福祉事業はまさに地方自治体の仕事であって、地域によって千差万別だ。それを中央集権的に福祉業務を郵便局に背負わせるのか。
 日本郵政を財務省が占拠したことによって、財務省の地方行政、金融、予算にかかわる権力は一段と肥大化した。民主党が小沢一郎氏に完全掌握されたのと同様、財務省の全官僚支配は復活どころかより強固なものとなった。
 道は一つ、全次官の更迭
 菅直人副総理が担当する国家戦略室は民間人や官界から改革派の人物をリクルートしようとした。ところが官界と対立したくないという松井孝治官房副長官(経済産業省出身)の横やりで人事が覆った。改革を願望する若手官僚はたくさんいるが、うっかり国家戦略室に入れば将来を危うくするとの機運に包まれている。「脱官僚」といい「政権をとったら局長以上の方の辞表を預かる」(鳩山首相)といっていたのに、選挙中に記者会見で民主党の農政を批判した井出道雄農水省次官まで留任させたのは大失敗だった。これで官僚はこれまで通り次官、局長の顔色さえ窺っていればいいということになった。大臣の意向に忠実でなければ任をはずされる、降格される立場に立たされてこそ、官僚の大臣に対する忠誠度が担保されるのだ。
 亀井氏は郵政肥大化にお墨付きを与えた。前原誠司国交相は日航(JAL)を国営化するが如くである。何十年も前からいわれたことだが、日航は民事再生支援法でも会社更生法でも助からない。破産法を適用してやり直すしかないのだ。鳩山内閣は脱官僚といいつつ、天下りを認め、巨大な国営企業を創り出す趣だ。この空気を一新するためには正月を期して全次官を更迭してやり直す荒業しかない。(政治評論家)
(静新平成21年11月4日「論壇」)

2009年11月3日火曜日

自民県議団が分裂

自民県議団が分裂 若手ら19日に新会派
 県議会最大会派の自民党県議団(40人)の若手を中心とした県議が、19日に新会派の設立総会を開くことが2日、分かった。1~6期の県議二十数人が賛同するとみられる。自民党籍は残すという。
 新会派は自民再生を前面に、「保守本流の自民の自覚と責任」「川勝県政への是々非々の立場」「政策集団としての活動」などを掲げる。
 静岡市内で2日開いた発起人会で方針を固めた。発起人代表は小楠和男、大場勝男、大石哲司、杉山盛雄、山田誠、中沢公彦の6県議が務め、新会派の名称や役員などについて協議する。
 発起人会後に会見した小楠県議は「自民党は野に下った。政権交代可能な政党として踏ん張ることが必要。地方組織としてアピールしていく」と述べた。
 自民県連では、知事選の候補者擁立作業や衆院選をめぐって県議を処分。また県議会9月定例会で空港部廃止条例案否決の党議拘束に反する動きが表面化するなど、県議団内のあつれきが激しくなっていた。

新会派「再生」アピール
 自民党県議団分裂 非賛同者「溝深い」と批判
 自民党県議団の若手県議らは2日、県議団総会終了直後、別会場に集まって発起人会を開き、新会派結成を決めた。自民再生をアピールする若手。一方で、賛同の意思のない県議らは「深い溝ができた」と会派分裂を批判した。
 「自民再生に向けた具体的な道筋が見えない。行動するしかない」。発起人代表の小楠和男県議は、当初想定していた会派内の政策集団ではなく、新会派結成に至った経緯を説明した。若手県議は「再生するには一から始める姿を見せなければいけない」と新会派の意義を強調した。
 関係者によると、発起人会に出席した県議は1期6人、2期2人、3期5人、4期6人、5期以上3人の計22人に上ったという。
 一方、賛同の意思を示していない県議の1人は「同じ党を支えてきた中で一方的なスタートという印象。突然の分裂劇は理解しがたい」と話す。別のベテラン県議は「割れた茶わんは元には戻らない。かみしもを着て若手と接し、腹を割って話す機会が少なかったわれわれにも原因はある」と語った。
 議員団総会は知事選以降の自民党県連内の混乱について意見を交わした。三役の辞意表明を受けて空席となっている新役員選考などの対応について、塩谷立県連会長と天野一県議団総会長らが5日に協議することを決めた。
(静新平成21年11月3日(火)朝刊)

2009年11月1日日曜日

旧田中派復活の民主

「旧田中派復活の民主」(政考政読)
 見えない首相の意志
 「初当選して意気込んで国会に来たら、派閥(自民党旧田中派)で『君らの仕事は、次の選挙で勝つことだ』と言われた。われわれは違う。新人議員からベテラン議員まで、一人一人が独立し、考え、行動する党だ」鳩山由紀夫首相が、1996年秋の旧民主党発足前後に、演説などで頻繁に訴えた言葉だ。
 13年後、民主党は悲願の政権交代を実現、鳩山氏は首相となり、旧田中派のオーナー故田中角栄元首相の秘蔵っ子である小沢一郎幹事長が党をまとめる。
 その小沢氏は、新人議員に「まず次の選挙で当選するための活動を」と訓示した。党幹部も競うようにつじ立ちなど選挙区での活動に取り組むよう指示、当選から臨時国会召集までの約2カ月間で、国会に来たのは数えるほどという新人議員もいる。
 選挙最重視の"小沢思想"が徹底する民主党の雰囲気は、まるで「旧田中派」が復活したかのようだ。だからこそ、「大学のサークル」とからかわれた民主党が、政権に就けたというのも事実だろう。
 だが、行政刷新会議で「事業仕分け」を担当するワーキンググループには、当初は政策に詳しい新人議員も参加することになっていたのに、党側が党の研修への参加を優先させるよう要求、結局見送りとなった。首相自らが「必殺仕分け人」と激励、作業にも着手していたのに、である。
 旧田中派の"伝統"には、「考え、決めるのは派閥幹部。それ以外の議員は黙って従う」もある。それが徹底されたからこそ「鉄の団結」と評されたのだが、若き鳩山氏が疑問を抱いていたことは、冒頭の言葉からもうかがえる。
 民主党は「政策決定の一元化」方針に基づき、政策調査会を廃止した。もちろん国会での法案審議はあるが、これも政府に入った"政策分野幹部議員"が考えるから、それ以外は賛成していればいいという仕組みにみえる。議論して当然の政策でさえそうなれば、党運営などがどうなるかは、推して知るべしだろう。
 自民党の政治を批判し、新しい政治をつくると訴え続けてきた首相は、本当に今の民主党の姿でよいのだろうか。
 初当選直後のレコードの自主制作と同様、「若気の至りだった。今は選挙が最優先と分かった」というのならば、残念だが仕方がない。
 でも、好ましくないと思いながらも、小沢さんに任せたからとか、鳩山政権の安定が大事だとかの理由で目をつぶっているのなら、あまりに都合が良すぎるのではないか。民主党の最高責任者である「鳩山代表」の考えを聞きたい。
(静新平成21年10月31日夕刊)