2010年11月16日火曜日

「日本の政治は良くなるか」

「日本の政治は良くなるか」
 時事通信社の田崎史郎氏が解説
 民主党幹部を批評 返す刀で自民党2世議員も
 沼津法人会(諏訪部恭一会長)の表彰式記念講演会がブケ東海で開かれ、時事通信社解説委員の田崎史郎氏が「日本の政治は良くなるかー民主党政権の行方」の演題で話した。一九五〇年生まれの田崎氏は中大法学部卒業後、時事通信社に入社し政治部で活動。首相官邸記者クラブ、外務省記者クラブを経て、自民党担当記者クラブで田中(角栄)派、竹下(登)派、橋本(龍太郎)派を担当。これまでの取材活動で得た情報をもとに、民主党の幹部らを姐上(そじょう)に乗せ一刀両断にした。
 田崎氏は「民主党に投票された方にはキツイ話になる」と前置き。菅直人政権は、いつ倒れても不思議ではないとし、マスコミによる最近の内閣支持率、政党支持率を挙げながら解説。
 国民が考える衆参のネジレ解消は「与野党が十分話し合え」から「衆院を解散せよ」に変わってきているとし、民主党若手議員が自らの支持者から「次は自民党に投票する」「民主党に入れない」と言われていることを明かした。
 ネジレ解消策として民主党は参院で過半数を取るため公明党と組まなければならないが、公明党の支持母体、創価学会と対立する矢野絢也・公明党元委員長に勲章を授与したことが不興を買ったとし、公明党に対する自民党との配慮の違いを指摘。勲章問題で公明党については微妙な問題があるのだという。
 昇る太陽なのか沈む太陽なのかを一瞬に見極めるのが政治家で、公明党が、現在三〇%程しか支持率がない民主党と組むわけがない、だから補正予算案反対に態度を変えた、とし、これからも民主党と距離を置くだろうとの見方を示した。
 また、民主党が参院で過半数がないということは権力が半分になったことだとし、子ども手当や税制改正の法案などは衆院で可決しても参院を通らないから成立は無理だとした。
 続いて民主党幹部の人物評価。党の勢いを減衰させた「政治と金」で矢面に立っている小沢一郎元幹事長については「終わった」と。その理由は裁判になれば二、三年かかるため、党の代表や大臣に就けないことから。
 そして小沢元幹事長と、同議員が師と仰ぐ田中角栄元首相とを比較。体力、気力、判断力から見ると七十歳が分岐点だとし、小沢元幹事長は裁判終了時には七十歳を超え、ロッキード事件逮捕時、五十八歳だった田中元首相と違って政治の中枢にはいられないだろうと予測。
 また、将来の首相候補と目される議員を批評。原口一博前総務大臣は権力に対しギラギラしているが、細野豪志元副幹事長には、そこまで意欲が見られない。ただ原口元大臣は、テレビでの発言は上手だが、手のひらを返すので人望がないと。
 この後、本丸の菅首相に話を移し、まず、党首選では菅候補を積極的に文持した議員はほとんどいなかったというが、それでも党首になれたのは「(悪い)小沢を総理にする訳にはいかない」という力が働いたためだと解説した。
 そして、政治家は「情」と「理」であるにもかかわらず、「菅は理ばかりで情がない」という武村正義元新党さきがけ代表の言葉を紹介。民主党は自民党より頭がいい人が多いが、政治は半分以上が情で動かすもので民主党にはそれがない、とつなげた。
 また、菅首相の弱点は人間性。人の面倒を全く見ない冷たい男だから人を動かす力が欠けていると指摘。永田町で菅首相は「あざとい奴」「こすい奴」と言われているという。
 前原誠司外務大臣は「総理にしてはいけない人間」であり、直線的に走るだけで、尖閣諸島沖での衝突事故で中国人船長を逮捕。また、起訴しようとしたが、その後の対応を考えていないと批判。岡田克也幹事長は、偏屈だけれど前原よりマシ、危険性はないと分析した。
 さらに民主党政権は「竜頭蛇尾」に終わるとの持論を挙げ、仙石由人官房長官がいなければ政策も決まらず、仙石が辞めれば菅政権は終わると断言した。
 一方、尖閣諸島、北方四島の領有権問題については、日本人の心に潜んでいたナショナリズムの思いに針を刺したとし、民主党政権は国、国民、領土を守ってくれるのかと国民が不安視していること、中国漁船との衝突ビデオ流出問題については、管理ができていないし、外交力が落ちていることを指摘した。
 民主党の弱点としては、衆参のネジレ、党内に存在する、菅政権にとっての二百人の野党、政策実現・利害調整能力の欠如などを挙げた。
 返す刀で自民党議員についても、「二世議員は、親が全部能力を持っていってしまった」と能力のなさを指摘。石原慎太郎都知事と伸晃自民党幹事長、中曽根康弘元首相と弘文自民党参院会長を挙げたが、小泉純一郎元首相と進次郎衆院議員の親子については絶賛した。
(沼朝平成22年11月16日号)

2010年11月6日土曜日

巨大深海魚




 「地引き網に巨大深海魚」沼津
 沼津市松長の千本海岸で5日朝、銀色の巨大な深海魚が地引き網にかかり、水揚げされた。この日は市立原中の1年生が地引き網体験に訪れていて、自分たちの身長よりもはるかに大きい魚体に驚きの声を上げた。
 巨大魚は全長約2・3㍍、幅約40㌢の平べったい魚体で、タチウオを大きくしたような形をしている。体験活動を手伝った観光地引き網グループ「松長西網」が引き揚げた網に紛れ込み、生きたまま捕獲された。同市内浦の「伊豆・三津シーパラダイス」の飼育担当者によると、水深200㍍以上の深海に生息するテンガイハタではないかという。普段、見かける機会はほとんどないが、季節の変わり目などで潮の動きが激しくなると、浅瀬に流されてくることがあるという。
 生徒は魚の横に寝ころんで大きさを比べながら、「でかい」「普通の魚とは全然違う」など興味津々の横子で見つめた。
(静新平成22年11月6日朝刊)

2010年10月8日金曜日

県議会の新たな定数別選挙区


(静新平成22年10月8日(金)朝刊)

県議会の新たな定数別選挙区
定数5 静岡市葵区、富士市
定数4 静岡市駿河区、同清水区、浜松市中区、沼津市
定数3 磐田市、焼津市
定数2 浜松市東区、同西区、同南区、同北区、同浜北区、三島市、富士宮市、島田市・榛原郡北部、掛川市、藤枝市、御殿場市・駿東郡北部、袋井市・周智郡
定数1 浜松市天竜区、熱海市、伊東市、下田市・賀茂郡、裾野市、湖西市、伊豆市、御前崎市、菊川市、伊豆の国市、牧之原市・榛原郡南部、田方郡、駿東郡南部

2010年10月1日金曜日

土肥戸田火葬場・技能五輪跡地

 土肥戸田火葬場
 15年度まで存続へ
 沼津市単独運営に切り替え
 沼津市は、伊豆市との一部事務組合で共同運営している土肥戸田火葬場(沼津市舟山)を来年度から市の単独運営に切り替え、2015年度までの5年間存続する方針を固めた。30日の市議会民生病院委員会に報告した。
 一部事務組合の事業のうち、火葬場運営事業は本年度末で解消し、県が示す公共建築耐震化期限の16年3月末まで市単独で運営した後で同火葬場を廃止する。ごみ処理施設の運営事業は従来通り継続する。
 同市の09年度決算によると、火葬場運営費は667万円。本年度の市の負担分は伊豆市との利用実績割りで300万円を計上しているが、単独運営化で700万円に増額すると見込んでいる。
 同火葬場は旧戸田村と旧土肥町が1964年に設置したが老朽化が進み、耐震強度が不足している。市内に新たに火葬場を整備した伊豆市からの申し入れや、05年に合併した沼津市と旧戸田村との協議で「当面の間」と条件付きでの存続を決めたこともあり、市は同火葬場の廃止を検討した。しかし、戸田から市中心部にある同市中瀬町の斎場までは35㌔離れているため、地元住民が市長に署名を提出するなどして存続を求めていた。


 技能五輪跡地の貸し出しで
沼津市 イズラシと契約締結
 沼津市は30日の市議会総務経済委員会に、同市大岡の技能五輪国際大会会場跡地を同市戸田のねじ製造イズラシ(堤親朗社長)に事業用定期借地で貸し出す契約を締結したと報告した。2012年10月1日までに事業を始める。
 用地は07年秋に技能五輪を開催した約11㌶のうち1万6800平方㍍で、賃貸借期間は12年10月1日から29年11カ月間。輸送用機器の製造に加え、体幹を鍛えることでメタボ予防や介護予防につなげる「認知動作型トレーニングマシン」など健康関連機器などの製造も展開する。
 市は08年6月に跡地への進出企業を公募。有識者らでつくる選定委員会が審議し、ファルマバレー推進の実績などから同社を選んだ。
(静新平成22年10月1日朝刊)

2010年9月2日木曜日

沼津市事業仕分け(沼朝記事)

 「不要」の判決も6件
 事業仕分けで「要改善」も35件
 市の二十二年度予算にかかわる事業仕分けが二十八、二十九の両日、市民文化センターで二会場に分かれて行われ、仕分け対象四十四事業のうち市民判定人によって「市(要改善)」が三十五、「不要」が六、「市(現状)」が二、「民間」が一となった。二十八日は二十四事業のうち「ぬまづ産業振興プラザ運営事業(二、六六四万円)」「自動交付機運用経費(三、〇六四万円)」「少年の船事業(一、三九〇万円)」の三事業が「不要」と判断された。会場では市民のほか市幹部、市議も傍聴し、仕分け人と市担当職員の質疑応答などに耳を傾けた。判定区分は「不要」「民間で実施」「国・県・広域で実施」「市が実施するが要改善」「市が現状どおり実施」の五つで仕分け人の評価と市民判定人の仕分け結果は別表(第一会場の仕分け人は一人欠席したため四人。判定が二対二に分かれた場合はコーディネーターが参加。市民判定人は三十九人のうち八人が欠席し総数は三十一)を参照。会場ごとの二日間の様子を順次掲載する。
 文化、広報、産業など取り上げ
 初日の第一会場
 28日【第一会場(大会議室)】▽市民文化センター自主文化事業(予算額二、五八〇万円)=仕分人からは「市なのか、指定管理者である市振興公社の事業なのかが分からない。沼津市の形態は特異」「市教委の自主事業と指定管理者の自主事業を分ける意味は何か」のほか、想定した入場者数の不足分を税金で補填することに疑問の声が示された。
 宮下義雄文化振興課長は、歌舞伎やクラシックコンサートなど地方では見ることが難しい興業を沼津市で打つことの意味を強調したが、仕分け人は観客数の少ない点を突き、「(税金を使って)自分達が見たいものを呼んでいるだけではないのか」と厳しく指摘。
 仕分け人は「市の自主事業は整理してもらい、市としてやらなければならないものを明確にする必要がある」と講評。
 ▽明治史料館管理運営費(三、〇六七・六万円)▽歴史民俗資料館管理運営費(一、二六六万円)▽戸田造船郷土資料博物館管理運営費(一、二二八万円)=仕分け人からは「三館の入場者数の経年変化」「学芸員の人事異動」「学芸員の民間研究者との連携」などの質問があった。
 仕分け人の講評は「明治史料館と歴史民俗資料館は、収集、展示、研究を確立するためにも統一すべき」「戸田は残すべきで、展示に特化すべき」「運営・人件費などコストを下げるべき」「学芸員が一人ずつでは気の毒、どこかに統合すべき」「三館が分散しているのは非効率」などが挙がった。
 市民判定人も「明治史料館と歴史民俗資料館は統合すべき」「人員削減をすべき」「戸田造船郷土資料博物館は貴重なものなので集客に努力して」などの意見が多かった。
 ▽ナティ駐車場管理運営事務経費(三、七九三・七万円)=「(地下)駐車場はナティ再開発組合から市が買ったのか。普通は組合が利用者サービス施設として運営するはずだが」の指摘。川口安和市街地整備課長は「上土町付近の駐車場不足のため公共施設として市が約十一億六千万円で買った。そのうち約八億三千万円が借り入れ」と答弁。
「相当コストがかかっている。返済計画はどうなっているのか」の質問に川口課長は、「二十三年度で返済は終了し、年約七千六百万円の公債費を支出している」と答えた。
 「大雑把に言うと決算では毎年一千万円程の利益を上げているように見えるが、毎年約七千万円返済があるということは六千万円程の市税を使っていると考えていいか」については「はい」。
 仕分け人は「どこまで管理運営コストを下げられるか。今後の(タワーリフト等)大規模修繕などでのコストリスクを避けるためにも、将来的には処分することも考えるべき。組合事業安定化のために市が買ったと思うが、返済が終わるに当たり売ってしまうと購入費の約十一億六千万円が市民の負担になるので、コストを下げ、続けて運営し、最大限の利益を上げるよう努力してほしい」。
 市民判定人からは「駐車場料金が高いので周辺と同額にしてほしい」という意見があった。
 ▽広報事業費・広報ぬまづ発行事業(四、〇三〇万円)▽広報事業経費・インターネットホームページほか(二、四六九・七万円)▽広報事業経費・広報政策推進事業(一、二〇〇万円)=「税収が減っている中、広報ぬまづ、市民カレンダーとも上質の紙を使っていて贅沢。広報事業費も聖域ではない」「コーストFMの一千万円は市民に説明できないのではないか。効果測定はどうか、厳しい税収の中でやっているのだから効果を気に掛けなければならない」
 仕分け人の講評は「発行が月二回必要か。一回で十分。他府県では月一回に戻っている所が多い」「編集期間が一カ月掛かるものを月二回は不要」「コーストFMなど効果を再検討すべき」
 ▽企業立地促進事業(一〇、六六〇万円)=仕分け人が「市からのセールスが大事。市税(固定資産税、法人税)は企業誘致によって、どれくらい増えたか」としたのに対し間宮一壽産業振興課長は、「流動的で分からない」。
 仕分け人は「それでは何のために企業誘致するのか」とし、間宮課長は、誘致した企業の建物建設などによって多くの投資額が沼津に落ちる、と投資総額を示したが、仕分け人は「東京の業者が建設したのでは何にもならない。税収がどれくらいになったかが問題」だと指摘。
 誘致件数は二十年度が六件(市外からの移転はゼロ)、二十一年度は九件(同一件)という現状を基に仕分け人の講評は「周辺よりも土地価格が高い中、競争するんならやめた方がいい。(優遇措置で企業誘致することが)本当に必要な投資なのか、市民にどのような影響があるのか考えるべき」だと指摘。
 一方、市民判定人からは「沼津の若者に雇用を提供する意昧で重要な事業」との意見。
 ▽商業まちづくり推進事業(二、九〇〇万円)=仕分け人は「中心市街地の核は何か。よさこい東海道も開催日は『ハレの場』になるが、その時だけ。コンスタントに人が集まらなければ意味がない。スポットで集まっても街のにぎわいにはならない」と指摘。これに対し間宮課長は「沼津へ行けば何かイベントがある、と期待感を持たせることが大事」と回答。
 仕分け人は「何を目指して、これらの事業(まちの情報館運営、よさこい東海道、中心市街地活性化出店促進、同推進事業など)をやっているのか、ゴールはどこか」と質問。
 間宮課長は「より高いサービスを提供する。(高次都市)機能が集まると人が集まる」と答えた。
 しかし「市が六百五十万円(総事業費約二千万円)をかけて、よさこいを支援するのは珍しい。市がやるものと民間がやるものがファジー(あいまい)。行政が民に立ち入りすぎではないか」と指摘。
 仕分け人の講評は「イベントの立ち上げを市が支援する三年間はいいが、それ以上やっても自立できない。補助金がなければやっていけないものは、やめるべき。ゼロから再考すべき」。
 ▽ぬまづ産業振興プラザ運営事業(二、六六四万円)=「沼津地域産業振興協議会(振興プラザ)と商工会議所との違いは何か。独自に作らなければならない意味は何か。経営支援や創業支援、人材育成は商工会議所がやるべきことではないか」「補助金をもらって(同プラザが)経営アドバイスなどをやっているが、商工会議所の存在が危うくなっている。行政が、商工会議所がやっているようなことをやることは民業圧迫。そのことが商工会議所の会員減少の原因にもなっている」との指摘。
 仕分け人の講評は「必要であるなら(補助金を一受けずに)独自にやってほしい。沼津市でやることではないだろう。商工会議所との関連を考えなければならない」「商工会議所と(業務内容が)重複しているのなら不要」
 ▽図書館資料整備事業(四、七〇〇万円)=「建物面積が公立図書館平均の三倍程、その割には蔵書が少ない。全てが開架だと貴重な本が傷む」との指摘に対して保田藤代市立図書館事務長は、「閉架書庫は必要だが、現在の予算では難しい」と回答。
 仕分け人は「どのような本を置くかは図書館にとって重要。購入図書選定の職員は二、三人なのに、移動自動車図書館一台に二人携わっているのは疑問。コスト面を考えてほしい」。
 ▽図書館情報ネットワーク事業(一、五〇〇万円)=仕分け人の講評は「情報ネットワークのリース料は、べらぼうに高い。三分の一で済むのではないか、見直しが必要」「学校図書館、地区センター図書館と本館(市立図書館)との関係を検討すべき」「無料でサービスを提供する人は、ひたすら要望に応えようとする。目先のニーズに応えるのが図書館の仕事ではない。サービスは無限大に大きい方がいい。だがコストを考えなければならない」とした。
(沼朝平成22年8月31日号)

 補助金に厳しい指摘も
 事業仕分け初日第二会場
 28日【第二会場(第一練習室)】▽多様な保育サービス事業〔民間保育所〕(予算額二七、八〇〇万円)=民間保育施設の延長保育や特別障害児保育に対して補助を行う事業。子育て支援課が担当。
 仕分け人は、市内の待機児童の人数を尋ね、市は七十人余りの待機児童がいることを回答。市側提出資料によると、一部保育サービスで、同じ保育内容なのに公立施設での費用よりも民間施設への補助額の方が多くなっており、仕分け人は「補助のあり方を考えるべきではないか」と指摘。
 仕分け人の評価と市民判定人の評価結果は別表の通り(以下、各事業の評価結果は別表参照)だが、現状維持を選んだ市民判定人からは「むしろ、この事業は拡充すべき」という意見もあった。
 ▽多様な保育サービス事業〔公立保育所〕(一、五四〇・七万円)=市が運営する施設八件のうち五件で実施されている延長保育や障害児保育を行うために保育士を増員する事業。子育て支援課。
 市が保育施設を運営することの是非が論点となった。公立施設と民間施設との間でサービスの格差はあるか、との質問に対し、市担当者は、格差はない、と回答。これに対して仕分け人からは、「サービスが同じなら人件費などのコストが安くなる民営にすべき」「これからは官民の施設で役割分担をしていくべきではないか」との声が上がった。市側は「(今すぐにではないが)大前提として『民間へ』という流れはある」とした上で、藤井原保育所が耐震化の建て替えをきっかけとして民営に移行することを説明。
 ▽放課後児童クラブ運営事業(九、七五〇万円)=昼間、保護者が家庭にいない児童を放課後、学校内で預かる「放課後児童クラブ」を運営する事業。子育て支援課。
 仕分け人は「地域住民などのボランティアを活用して人件費を抑制すべき」「児童を預ける保護者の負担金額は適正か」「クラブを運営する指導員の質的向上は図られているのか」などと質問。質的向上の問題について市側は「年間に十回程度の研修を事業費内で行っている」と回答した。
 ▽自動交付機運用経費(三、〇六四万円)=市内四カ所に設置された機械で住民票の写しと印鑑登録証明書を発行する事業。担当部署は市民課。
 仕分け人は最初に、交付機四台の利用状況を質問。市役所内と沼津信用金庫高島町支店内に設置された交付機に比べ、市立図書館内とイーラde内に設置された交付機の利用が少ない状況にあり、理由は、イーラdeや図書館には無料駐車場がないことが挙げられた(図書館は三十分まで無料)。傍聴席の市民からは「そもそもイーラdeには行かないから」との声も。
 また仕分け人は、「交付機設置が市職員の人件費節減にどれほど役立ったか」と質問。「市役所内の交付機設置に伴い委託職員一人を削減し、約百三十五万円の節減になった」との説明に、仕分け人は、人件費の削減額よりも交付機設置に関する費用の方が多いことを指摘。
 他に、交付機が書類一通を発行するコストが二千九十二円になっており、交付機設置が市民課全体のコスト改善に役立っていない点が追及された。
 これに対して夜間や閉庁時でも書類を発行できる利便性が主張されたが、仕分け人は、郵送などの手段を使うことで必ずしも窓口を訪れなくても書類を入手できることを確かめてから、「『今夜中にどうしでも書類が必要だ』という人が市内にどれだけいるか」として、依然として効率性の面で問題がある、とした。
 ▽松の材線虫防除事業(一、八七〇万円)=千本保安林などでの松枯れ被害を防ぐため、薬剤を散布し原因となる虫を駆除する。担当は農林農地課。
 議論の中心になったのは、散布作業を委託する業者との業務委託契約について。仕分け人からは「契約の方法を工夫することでコスト削減ができるのでは」とされた。
 この事業に対して市民判定人からは「改善すべきとは思うが、松を守る事業そのものは、沼津にとって重要」との意見があった。
 ▽松林保護育成事業(一、六七〇・一万円)=御用邸記念公園などの市内公園の松を害虫から保護するために薬剤を散布したり、被害の出た木を伐採したりする事業。緑地公園課が担当。
 この事業については、前掲の松の材線虫防除事業と合同で討議された。
 ▽公園維持事業(四、八七五・九万円)=市が管理している公園などの施設の補修や樹木の枝切り(せん定)などを行う事業。緑地公園課。
 この事業では、委託業者だけではなく、市の正規職員も樹木せん定作業の一部を行っていることが仕分け人から問題視されたのに対して、市職員が行う方が委託するよりもコストが安くなるとの説明があり、仕分け人は「本来、公務員が行う方がコストが高くなる」とした上で、委託料を払い過ぎなのではないかと指摘した。
 また、「地域住民などのボランティアを活用すれば、コスト削減だけでなく、住民が公園に愛着を持つようになる」との提案に対して市側は、既に公園愛護会などの組織の協力を得ていることを説明。今後も住民との協刀を進めていきたい、とした。
 ▽ゆめとびら舟山運営管理費(一、七四一・九万円)=戸田地区にある社会教育施設「ゆめとびら舟山」の運営事業。同施設はグラウンドと宿泊施設で構成される。担当は市教委生涯教育課。
 同施設の稼働率の低さと稼働率向上の対策がなされているかが論点。
 市からは、施設利用者には市外からのリピーターが多いことが優れた点として挙げられたが、仕分け人は「市外の人のために市民の税金を使い、市民の納得を得られるのか」と指摘。「市内の学校単位での利用が進むように取り組んではどうか」と提案した。
 これを受けて市側は、「静かな環境という立地を生かし、ブラスバンド部の練習場所など、文化的活動にも利用してもらうことを考えている」と回答。
 ▽少年の船事業(一、三九〇万円)=中学生が船で北海道へ行き、現地や洋上などでの集団生活を通して仲間作りや体験学習を行う事業。三市三町の合同開催。二十一年度の参加者は二百一人(うち沼津市からは百二十四人)。生涯教育課。
 この事業では、参加者一人当たり約十八万円の費用がかかることが問題とされた。参加費は四万五千円で、市の負担は十三万円を超える。
 仕分け人からは「教育的内容は非常に素晴らしいと思うが、約二百人という一握りの中学生のために、どうして市民がこれほどの負担をしなければならないのか。参加しない中学生は何千人もいる。不公平では」と問題視。また「なぜ、行き先が北海道なのか」と質問。
 「北海道を知る、ということは、他地域を知ることにつながる」との回答に対して仕分け人は、「参加者達の北海道での体験が、その後にどうつながっていると思うか」と質問。
 担当者は「NLCという子ども達のリーダー組織があり、参加者にNLC加入を勧めているが、加入するのは数年に一人いるかいないか」との回答の一方で、参加者を対象のアンケートで「大変良かった」「良かった」という意見が九九%を占めていたことを挙げた。
 しかし、仕分け人は「本来十八万円かかる旅行を格安で行けるのだから喜ぶのは当たり前」と指摘。「もし全額目己負担だとしたら、どれだけの人が行きたいと思うか」と再質問。これに対し市担当者が「誰も行かないと思う」と答えると、市民判定人からは失笑が。
 仕分け人からは、「これでは普通の旅行と変わらない。旅行することが目的になってしまっている」「四万五千円という高額な参加費を考えると、低所得世帯に対する社会福祉的な意義も見出せない」という意見があり、「同じ費用をかけるなら、もっと大勢の子ども達を戸田の『ゆめとびら舟山』へ連れて行ってはどうか」という提案がなされた。
 判定後、孫が「少年の船」に参加したという市民判定人の男性が発言を求め、「六泊七日という日数を減らして参加費も安くすべき。そうすれば、多くの人が参加できたはず」という孫から聞いた感想を披露した。
 ▽子ども医療費助成事業(二、六〇〇万円)=小学一年生から高校三年生に相当する子どもが入院した際、保険診療による医療費自己負担分と食事療養費を償還払いで全額助成する事業。担当部署は健康づくり課。
 医療費補助により続発が予想される「コンビニ受診」が最大のテーマとなった。「コンビニ受診」とは、緊急性のない患者が、気軽に夜間救急外来などを利用すること。必要な人が必要な医療を受ける機会が失われるだけでなく、医療費の増大ももたらす。
 市側は、補助の対象を入院に限定することで、コンビニ受診にはつながらないことを利点の一つと説明したが、一方で、提出された資料には、今後は通院費の補助も行う予定でいることが記載されており、仕分け人からは、「『コンビニ受診にはつながらない』という説明はいったい何か」と強い疑問が示された。
 また、市が「医療費助成に地域差があってはならない」として、国や県の支援を見込んで通院費補助を計画していることに対し、仕分け人は「国の負担は回りまわって沼津の人々の負担にもなる」とした。
 また、周辺市町よりも手厚い補助を目指すことに対して、「これではバラマキの人気競争」「子育て支援を手厚くするということは、裏を返せば、子どもがいない世帯に負担を強いるということ」という意見が相次ぎ、コンビニ受診を抑制するため、時間外診療については補助を行なわないとする浜松市の事例が紹介された。
 判定後、市民判定人の女性が発言を求めた。病気がちな子どもがいるという女性は、「通院費補助を実施している長泉町などの病院に行った際、『医療費補助の受給者証を出してください』と言われると、沼津市民であることが辛く感じられる。(子育て世代は)医療費を節約できれば、その分を教育費などに回せる」と話した。
 ▽結核予防事業(一、四三九・四円)=結核レントゲン巡回検診を行う事業。健康づくり課。
 事業目的の妥当性を中心に、仕分け人は同事業を紹介する市ホームページに「なるべく肺がん検診を優先して受けましょう」と記載されていることに着目。結核の流行を防ぐためには全員が検診を受けなければ意味がないのに、全員の検診を目指さない市の方針は目的と合っていない、と指摘。
 これに対し市側は、日本人の死因の中で肺がんが占める割合が多いことから、その検診の重要性と、肺がん検診と結核検診の単価の違いを説明した(肺がん検診は結核検診も兼ねている)。
 この事業を行う理由として、周辺市町でも同じことをしている点が市側から説明されたが、仕分け人からは「他もやっているから、というのは積極的な理由にならない」という意見が出た。
 また、検診を巡回方式でやっていることも論点となり、病院で受けてもらう流れにすればコストも下げられる、との指摘に市側が「巡回の要望は多い」と回答すると、「無料で巡回に来てくれるというなら、誰でも要望するのでは」とした上、「結核検診を無料でやるのは、制度が始まった当初は意味があったのだろうが、今となってはどうなのか」との見方が示された。
(沼朝平成22年9月1日号)

 2事業に「不要」の判断
 事業仕分け二日目第一会場
 事業仕分け二日目の八月二十九日。市民文化センターの第一会場では仕分け対象十事業を審査。市民判定人は「シルバー人材センター育成事業」と「はり・灸・マッサージ治療費助成事業」の二事業を「不要」と判断した。第一会場の仕分け人は五人、市民判定人は二十八人。
 29日【第一会場(大会議室)】
 ▽観光行政推進経常経費・観光案内(二十二年度当初予算額一、一三七万円)▽観光行政推進経常経費・観光パンフレット等(一、一三五・三万円)=「沼津観光協会に運営費として四百五万円補助しているが、根拠は何か。その額はどのように決めているのか。四百万円くらいにしとくか、ということか」との仕分け人の質問に対し杉山正人観光交流課長は「そうです」として例年の額を基に決めていることを示した。
 「三の浦案内所は一年中営業しているが、二十年度の利用者は八百八十人で一日平均二・四人。これを続けていくのか」に杉山課長は、「沼津の特徴である『海』を生かすためにも、沼津駅を経由せずに車で三浦地区に直接入る観光客にとって必要な施設」と存続を主張した。
 これに対し仕分け人が「入り込み数」を尋ねたのに対して杉山課長は「データはない。分析はしていない」と回答。仕分け人は、入り込み数が分からなければ案内所の利用率、効果が分からないことを指摘。
 また、沼津港の観光客が増加傾向にあるとされたことについて、「何をやったから増えたのか」との質問に杉山課長は「分析はしていない」。
 さらに仕分け人は傍聴席に向かい、旅先で観光案内所を利用したことがあるか挙手を求めた。四分の一程が挙手した結果について杉山課長に感想を求めたが、同課長は何人挙手したか逆質問。「そういう精神構造だから困る」と仕分け人の不評を買った。
 仕分け人は「どれくらいの人が案内所を利用しているのか、どれくらいのニーズがあるのか調査、把握しないで、『市のためになるから』だけで(税金を使うこと)は市民に対して説明できない」と指摘。
 三浦地区在住の市民判定人は「(地元に住んでいても)三の浦観光案内所を利用する人がいること自体信じられない」と利用者数に疑問を投げ掛けた。
 ▽イベント展開事業(七、五〇〇万円)=対象事業は、沼津夏まつり、サンセットページェント、ジャパンアートフェスティバル、ぬまづサマーガーデン、ウィンターステージ、戸田港まつり、戸田温泉スプリングフェスタ、菜の花まつり、港・湧水・せせらぎウォーク、菊華展。
 まず、仕分け人は「(夏まつりの一週間後に開かれる、ぬまづサマーガーデンについて)数千人単位のイベントに税金六百万円(事業費六百五十万円)を掛ける意味は何か。つま恋(コンサート)のように全国規模で人を呼べるなら別だが」と疑問を提示。
 「民間からの協賛金が漸減している中、これからどうするのか。市民と市民以外のイベントへの参加者の比率は」の質問に、杉山課長が「把握していない」と答えると、「観光政策(の目的)とは違うイベントもある」と指摘した。
 仕分け人は「地域のイベントなのか、観光客を呼び込むためのものなのか市民サイドで考えるべきだ」「地元の人間が(にぎわいづくりに)努力しなければならない。何千万円もかけて何回も花火をやることはないのでは」と講評した。
 ▽言語教育推進事業(一二、七〇〇万円)=事業費はALT、(外国語指導助手)委託料に約一〇、三〇〇万円、在住ALT三人の報酬約一、四七〇万円、英語副読本印刷費約三六〇万円、四十一小中学校に読解力向上交付金三六九万円(一校九万円)など。ALT派遣料に疑問を示す仕分け人は「ALTの時間単価はいくらか」と質問したが、市教委学校教育課の担当職員は「手元にデータがなく分からない」と回答。
 また、日本語文章の読解力向上推進のために交付される一校当たり九万円について仕分け人は、「なぜ国語の先生が教えずに外部講師を招くのか」とし、担当職員は「アナウンサーや童話作家らに感情表現を指導していただいている」と答えた。
 仕分け人が「読解力向上の効果が分からない」と説明を求めたが、担当者は答えに窮した。市民判定人の一人は「子どもが新聞を読むようになったり、読書の時間が増え、図書館を利用するようになったりすることで効果を見ることができるのではないか」と指摘。
 ▽私立幼稚園運営費補助事業(三、〇一四万円)=私立幼稚園(二十三園、教職員二九七人、園児三、五四三人)に対し、一園当たり五二万円、教職員一人当たり六万円を補助。
 仕分け人は「一律で補助することが適当なのか、見直しの検討をすべきではないか。政策的に絞って改善するのがいい」「幼稚園の経営努力で何とかなる補助額で、恒常的に補助しているのは変えるべきだ」と講評。
 ▽水産業振興推進事業(一、八九〇万円)=水産物流通促進事業は、沼津市での水揚げ量確保と流通促進を図るため、市内の漁港に水揚げする市内漁協加入者の水揚げ額の○・五%を補助するほか、水産加工品(沼津ひもの)普及宣伝事業、魚食普及促進事業(料理教室)を補助するもの。
 仕分け人が「水揚げ量増加によるメリットは何か」としたのに対し、下山英治水産海浜課長は「水揚げが増えれば市民に新鮮な魚を提供できる。また水産加工業や運送業などに経済波及効果がある」と答えた。
 これには「沼津ひものブランドはポピュラーなのに、なぜ補助するのか。これから売り出そうとする加工品などの宣伝費を補助するなら理解できるが」と疑問を提示。
 仕分け人は「水産加工品普及宣伝事業と魚食普及促進事業の補助はいかがなものか。独自でやってもらえないか」とする一方で、「水産物流通促進事業は後継者問題もあり、場合によっては拡充(率を上げるなど)が必要かも」と講評。
 ▽緊急通報システム設置事業(一、六〇三万円)=六十五歳以上の独り暮らしの高齢者と高齢者のみの世帯で、心臓疾患や脳血管疾患などによって緊急時の通報が困難な人に安心して暮らしてもらえるよう同システムを無償貸与(二十一年度六百七十三件)するもの。
 「無償貸与でいいのか」の問いに石川正雄長寿介護課長は、「命にかかわるということで無償でやってきたが、負担を求める検討も必要かな、と考える」と答えた。
 仕分け人は講評で「一台のリース料が五年で十五万円は高い。自分が負担するとしたら、いくらなら支払えるか。これから高齢化が進めば利用台数は増えるが、その数すら把握していなくていいのか」と問題を指摘。市民判定人からは「民間がやって市が補助すればいい」との意見も。
 ▽シルバー人材センター育成事業(一、三五〇万円)=「補助金(運営費)を出す代わりに市が事業(仕事)を出すことはできないか。公共がセンターに委託する事業はどれくらいか」の質問に石川課長は「(シルバーの収入)約五億円のうち公共は一九・八%」と回答。
 仕分け人は「補助金を前提に活動するくらいならやめた方がいいが、ニッチ(市場のすきま)な部分を拾っているところはある。当面存続。行政が、高齢者がどのような労働を希望しているかをつかんでいない」と講評。
 ▽はり・灸・マッサージ治療費助成事業(一、三〇〇万円)=満六十歳以上が対象で、由請によって一人に年間六枚(一枚千円)の助成券を交付。施術費の支払いで一回につき一枚利用できる。
 「対象者が六十歳以上になっているが、なぜか(浜松市七十歳以上、静岡市七十五歳以上)」の質問に石川課長は「この事業を始めた時から六十歳以上でやってきた」と答えた。
 仕分け人は「(補助制度は財政的に)余裕ある自治体で見られるが、廃止の方向にある。これからの人達が負担しなければならないので、今までやってきたことであっても見直さなければならない」と講評。
 ▽老人クラブ育成事業(一、一〇四・八万円)=「老人クラブ連合会へ二十一年度、補助金二六三万円出している根拠は何か」の質問で石川課長は「予算内で今までのものを基に算出している」と回答。
 これに対しては「加入率一二・一%の団体に補助を出すのはどうか。元気な年寄りの中にはNPOを作って活動しているグループもあるが、そこに補助はない。一律に出すのではなく、団体補助から活動補助に移行した方がいい」と指摘。
 仕分け人は講評で「高齢化が進みクラブの必要性は高まっていると言いながら、会員数が減り組織率も一二・一%と低い、その原因は何か」「補助の理由が分からないし、補助がクラブ単位と連合に二重に出しているのが理解できない」と補助の見直しを示唆。
 第一会場では二日間で二十三事業を判定したが、終了偉コーディネー夕ーが市民判定人に意見や感想を求めたのに対して、「イベントについては経済波及効果を考えなければならない」「行政システム、図書館情報ネットワーク、緊急通報システムなどは民間に比べて費用が高いのではないか」「補助金一覧表を作ってくれると判定しやすい」などがあった。
 また仕分け人は、「一般企業も官庁もコストに厳しくなっている。市民の参加は行政への関心が高まる」「今まで(各地で実施している)仕分け事業に参加した中で、(沼津市の)市民判定人から最も多くの意見があった。払った税金が、皆さんが考えているものに使われているのか、市民が関心を持つことが大事」「市民判定人の関心が高いことが分かった。これから沼津市はもっともっとおもしろいまちになるのでは」「実情を知りながら、職員の気持ちも分かりながら質問させてもらった。国、県の縛りがあって市町村は自分の判断だけでできないものがあるが、選択できるようにすることが大切。行政、市民、議会が話し合って、いいまちにしてほしい」「測定なければ改善はない」と調査・検証の重要性を指摘した。
(沼朝平成22年9月2日号)
 事業仕分け二日目第二会場
 29日【第二会場(第一練習室)】▽生活バス路線運行事業(六、三〇〇万円)=三津、西浦、戸田などの市内過疎地域で住民に必要な公共交通機関を確保するため、同地域のバス路線の赤字分をバス会社に対して補助する事業。担当部署は交通対策課。
 バスの赤字路線の欠損を補助することの是非が主要議題となった。
 仕分け人は、バスがどれだけ赤字を出しても、補助を受けられることで、バス会社から経営努力が失われることを危惧。
 市側は、本来ならばバス会社が撤退してしまうところを引き止めている現状を説明し、バス会社に市から経営努力を強く求めるのは難しい、との考え方を示した。
 続いて仕分け人は、住民の「足」を確保しつつ経費節減を図る考えを持っているか、提案も兼ねてただした。
 その中で、バスの車種変更や予約システム導入によるコスト削減について考えたことはあるか、との問いに対して市担当者は「検討している」と答え、バス路線維持を断念して住民にタクシーチケットを支給するなどの抜本的改善案はあるか、との質問には「今後、検討したい」と応じた。
 このほか、バス路線の需要に対する本格的な調査が行われていない点が問題となった。
 ▽公共交通活性化事業(五、三〇〇万円)=市民の交通利便性向上と、交通安全推進のために、バスなど公共交通機関へ補助金を交付する事業。担当は交通対策課。
 この事業では、交通安全のためにバス会社に補助金を出すことの適切性が問われた。
 市側は、補助によって低運賃のバスが走ることでバス利用者が増え、それに伴い自家用車の利用が減って市内の交通量が減少し、そのことが交通事故減少につながる、と説明。交通事故発生件数が実際に減少傾向にあることを示して交通安全対策事業としての正当性を訴えた。
 しかし仕分け人は、「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉の上を行く論法、だと指摘。「バスが走ると事故が減る、という現象を証明できる調査もせずに、どうして断言できるのか。事故が減ったのは他の要因が大きいのでは」とし、同事業については、「交通安全対策としてではなく、住民サービスとして行うべき」だとした。
 また、実際にバスに乗ってみたという仕分け人は、「助成バスと同じ路線に普通運賃のバスが走っている」ことを指摘し、効率性に問題があることを指摘した。
 市側は、市内循環バスなどは、交通安全対策以外にも(環境対策や高齢者対策など)いろいろな計画の中に位置付けられている、として同事業の重要性を主張し続けたが、一方で「(事業について)検証していきたい」と柔軟なところも見せた。
 ▽交通安全対策推進事業(三、五二五・八万円)=交通安全の啓発活動と、駅周辺の放置自転車撤去及び駐輪場運営を行う事業。担当は交通対策課。
 この事業に含まれる交通安全啓発活動と放置自転車対策は、内容がかけ離れているので、別々に討議されることになった。
 そのうち交通安全啓発活動では、市の正規職員が啓発活動の現場に赴くことが人件費の面で非効率的であるとの指摘が出た。また、啓発活動を行った地域と行っていない地域とで交通事故発生率にどのような違いがあったかについて検証すべきではないかとの意見も出た。
 放置自転車対策では、受益者負担と原因者負担の面から論じられた。
 「市の負担を軽くするために、無料駐輪場を有料化することを考えているか」という質問に対して市側は、施設の種類に応じて有料化するなどの受益者負担のあり方を考えていきたい、と回答した。
 また仕分け人からは、撤去された放置自転車を引き取りに来た人に請求する手数料を上げるべきだとの意見が出た(現在の手数料は千円)。
 ▽交通安全施設整備事業(四、○○○万円)=交通事故防止のため、学校や自治会などからの要望に応じてカーブミラーなどの施設の整備や補修を行う事業。交通対策課が担当。
 要望に応じて設置を行うという方針の是非が議論の中心となった。
 市民の生命を守るためには、住民からの要望に従うという受け身的なやり方ではなく、市が統一的な交通安全計画を整え、必要な場所に必要な物を設置するような積極的な仕組みにした方がよいのでは、という仕分け人の指摘に対し、市側は「地域の交通安全については、状況を熟知している住民の意見が重要」と回答。
 また仕分け人は、「市内で最終的に必要になるカーブミラー数について考えたことはあるか」と質問。これについて市側が「数について目標は無いが、カーブミラーは交差点などで、もっと増やすべきだと思う」と答えると、仕分け人は「それではカーブミラーが永遠に増え続けるのではないか。無計画な設置は非効率」と指摘。
 ▽交通安全施設等整備事業(三、○○○万円)=交通安全のために歩道やガードレールなどの整備を行う事業。担当は維持管理課。ガードレール設置には警察との折衝が必要で、カーブミラー設置とは異なる課で担当している。
 仕分け人からは、総事業費のうち、職員の人件費がかなりの割合になっていることが問題視された。
 これに対し市側からは、工事の設計は市職員の技師によって行われていることや、設計を外注するよりも市職員が行った方がコストは安いことなどが説明された。
 仕分け人からは、カーブミラーと同様、市で総合計画を策定する必要があるのではないか、との指摘があった。
 ▽公営住宅整備推進事業(五億円)=数十年前に建設され老朽化した市営住宅を建て替えるなどして整備する事業。自由が丘団地の整備では、建設や管理を民間に委託するPFI手法が取られている。担当は住宅営繕課。
 市営住宅の公平性が主要テーマとなった。
 住宅を必要とする低所得者人口と、確保すべき住宅戸数についてそれぞれ把握しているか、との仕分け人の問いに対し、市側の回答は「把握していない。ただし、入居希望者抽選会の倍率は約八倍。需要は高いと思う」。
 また、「収入は低いが財産は多いというような人が市営住宅に入居している可能性はあるか」との問いに対しては、「調査していない」と答えた。
 このほか仕分け人からは、「市営住宅による住宅供給では、建設された戸数に見合う人数しか恩恵を受けられない。抽選に外れたらそれまで。低所得者に対する家賃補助という方式に変更すれば、戸数に関係なく広く浅く支援することができる」との指摘があった。これに対して市側からは「今後検討したい」との考えが示された。
 ▽沼津市社会福祉協議会交付金(四、四五八・二万円)=沼津市社会福祉協議会(社協)の職員人件費を助成する事業。担当は社会福祉課。
 一億円を超える繰越金を持つ社協に対して補助をすることの必要性が論じられた。
 市側は、社協が地域における民間福祉活動の中核として重要であることや、これまでにも補助額を削減してきたことなどを説明したが、仕分け人は「介護事業などで九千万円の黒字が出ている団体に四千万円の補助を出すのはおかしい。繰越金をすべて取り崩してからでもよいのでは」と主張した。
 ▽体育施設管理事務委託事業(三、一五一万円)=市民体育館や香陵運動場などの管理を「NPO法人沼津市体育協会」に委託する事業。市教委スポーツ振興課が担当。
 体育協会への委託方式とともに、市の正規職員も一部の管理業務に携わっていることが問題視された。
 市の説明によると、体協職員のローテーションの関係で、市の正規職員が週に一回、施設の受付事務や巡回などの業務を担当している。
 仕分け人からは、「市の正規職員の人件費は高い。体育協会にローテーションを工夫してもらうべき」との意見が出た。
 また、「体育協会に市役所のOBはいるか」という質問が仕分け人からあり、市側が「数人いる」と回答すると、「身内びいきにならぬよう、委託契約の内容には注意してもらいたい」との指摘があった。
 また、市の体育施設の利用料が長年据え置かれていることが問題となり、利用料の見直しが提案された。これについて市担当者は、「スポーツ振興は市の施策でもある。一人でも多くの市民に使ってもらいたいと思っている」と応じた。
 ▽市民体育館運営費(三、一五七・一万円)=市民体育館を市直営で管理する事業。清掃は外部に委託している。担当はスポーツ振興課。
 同事業では、事業内容そのものよりも市民体育館が今もって耐震化されていないことが重大視された。
 市によると、耐震化工事や建て替えの計画は今のところ未定。しかし、平成二十七年度までに耐震化が義務付けられているので、それまでに解決することを目指したい、としている。
 仕分け人からは「市民体育館運営審議会とは何か」との質問がされ、市側担当者が「施設利用者ら十二人の委員から体育館運営に関する意見を聴いている」と答えると、「一握りの人間ではなく、大勢の人からアンケートなどを通して意見を集めるべきでは」との意見が出た。
 ▽B&G海洋センター運営費(一、四八四・四万円)=ブルーシー・アンド・グリーンランド(B&G)財団が平成四年に建設し、八年に旧戸田村に無償譲渡したスポーツ施設「B&G海洋センター」を運営する事業。
 同施設は体育館と屋内温水プールから構成される。戸田の小中学校にはプールがないので、体育の授業でも使われている。「ぬまづ健康スポーツ祭」の会場にもなっている。担当はスポーツ振興課。
 仕分け人からは、同施設が地元向けなのか観光客向けなのかについて問われた。市側担当者は「地元のための施設ではあるが、地元住民だけでは稼働率向上は困難」と回答。
 温水プールの燃料費が同施設運営費のかなりの割合を占めていることに対し、「温水をやめて通常のプールとして使っては」との提案がなされたが、市側は「温水プールは施設の大きな魅力」とした。
 また、二十八日の仕分けで取り上げられた「少年の船」事業と関連し、「北海道へ行くのではなく、同じく戸田にある『ゆめとびら舟山』と合わせてこの施設も活用すべき」との声が上がった。
 判定後、発言を求めた市民判定人は、「まず戸田の学校にプールを設置すべき。同じ沼津市内でこのような格差は、子ども達がかわいそう」と述べた。
 第二会場では、二日間で二十二事業についての仕分けが行われ、うち三事業が「不要」と判定された。「要改善」は十八事業。「現状維持」は一事業だった。
(沼朝平成22年9月3日号)

2010年8月30日月曜日

沼津市事業仕分け

 沼津市事業仕分け
 市民と識者 判定異なる事業も
 沼津市の事業仕分け初日の28日、市民文化センターで無作為抽出の市民65人が2グループに分かれて24件の判定に臨み、対象の70%に当たる17件を「要改善」と判断、費用対効果が薄いなどとして3件を「不要」とした。
 不要と判断されたのは、ぬまづ産業振興プラザ運営事業(2660万円)、自動交付機運用経費(3060万円)、少年の船事業(1390万円)。識者(仕分け人)と当局の質疑、市民判定人が評価した最後に、参考意見として識者が評価する方式を採った。3件を識者は「民間で実施」「要改善」と判断したが、市民がより厳しい判断を下した。
 識者より市民が手厚い評価をしたケースも含めて判定が異なった事業は8件あった。コーディネーターを務めた浜松市企画部の上久保明治さんは「地域事情を知っている分、温かみも厳しさもあるのでは。私たちより厳しい判定が出た時には驚いた」と話した。
 市によると、判定人に無作為抽出の市民を充てるケースは県内で初という。判定人を務めた同市大岡の関野理恵さん(39)は「生活で触れている事業、そうでない事業の両方があり不安だったが、質疑が分かりやすかったので良かった」と感想を話した。
▽要改善 企業立地促進事業(1億660万円) 放課後児童クラブ運営事業(9,750万円) 公園維持事業(4,870万円)図書館資料整備事業(4,700万円)
▽民間 ナティ駐車場管理運営事務経費(3,790万円)
▽「現状維持」または拡充 多様な保育サービス事業・民間保育所(2億7,800万円) 戸田造船郷土資料博物館管理運営費(1,130万円)
▽不要 ぬまづ産業振興プラザ運営事業(2.660万円) 自動交付機運用経費(3,060万円) 少年の船事業(1,390万円)
(静新平成22年8月29日朝刊)

 沼津市事業仕分け終了
 市民判定人が積極発言
 沼津市の事業仕分けは最終日の29日、21事業について審査し、18件を「要改善」、3件を「不要」と判定して終了した。2日間で取り扱った44事業のうち「要改善」が35件と8割に上り、「不要」が6件、「現状維持・拡充」が2件、「民間で実施」が1件と続いた。
 「不要」の3件はシルバー人材センター育成事業(1350万円)、はり・灸・マッサージ治療費助成事業(1300万円)、公共交通活性化事業(5300万円)。「補助を前提とした予算編成になっている」(シルバー人材センター育成事業)などが主な理由。全体的には▽事業の目的に対して成果が見えない▽検証が不十分だーといった指摘とともに「不要」と判断されたケースが多く見られた。
 無作為抽出の市民判定人が行った事業仕分けは県内初で、この日も90人の傍聴者が席を埋める中、識者(仕分け人)による質疑と市民判定人の評価、意見交換を行った。仕分け人を務めた京都府議の熊谷哲さんは終了後、「市民判定人の発言が今までの経験にはないほど多く、すごいこと。今日の視点を今後のまちづくりに役立ててほしい」と呼び掛けた。
▽要改善 言語教育推進事業(1億2700万円) 生活バス路線運行事業(6300万円) 公営住宅整備推進事業(5億円) イベント展開事業(7500万円) 市民体育館運営費 (3150万円)
▽不要 シルバー人材センター育成事業(1350万円) はり・灸・マッサージ治療費助成事業(1300万円) 公共交通活性化事業(5300万円)
※「民間」、「現状維持または拡充」、「国・県広域」はなし
(静新平成22年8月30日朝刊)

2010年8月20日金曜日

西郷真理子氏


西郷真理子氏(コミュニティーデザイナー)


【 さいごう・まりこ氏 燦々ぬまづ大使。沼津市の町方町、通横町、大門町のまちづくりでコンサルタント委託を受けている。1990年にまちづくりカンパニー「シープ・ネットワーク」を設立、住民との協働を重視した手法で各地の中心市街地活性化を手掛けた。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞受賞。】

 沼津・中心市街地再生を模索
 土地の魅力空間に凝縮
 全国的に中心市街地の疲弊が進む中、町屋や蔵などの地域資源を際立たせる手法や、地権者が会社を設立して数百㍍に及ぶ商店街全体の店舗構成などをプロデュースする手法によって、ピーク時の何倍も来街者を増やした事例が目立つようになった。沼津市も、アーケード名店街を含めた沼津市町方町、通横町、大門町エリアで、住居と買い物の両機能を備えた商業形態「ライフスタイルセンター」を目指す計画が進められている。成功に導く決め手は何か。
 ー新しいまちづくりに求められる視点は。
 「食や歴史文化など、その土地の魅力を凝縮した生活空間をつくろうという視点。中心市街地の活性化にあたり、生活スタイルのブランド化は今後欠かせなくなるだろう。価格よりも本物を重んじる志向が強まっている今だからこそ、足元の『本物』に目を向けてまちづくりをすべき。こだわりを敏感にキャッチできる、感度の高い住民の存在も核になる」
 ー具体的にどう動くか。
 「対象エリアの動態調査に加え、回答が縛られない対面式の聞き取り調査などを実施してニーズを把握する。沼津の場合、高額商品は東京や横浜に買いに行くが、日常生活品は地元でという傾向が見られた。それなら魚や野菜、茶という食の魅力がある。例を挙げれば、皆が健康的でおいしい有機、低農薬の野菜を、地元の食材を使ったドレッシングで食べている街。それが『沼津版ライフスタイル』の確立につながっていく」
 ーアーケード名店街が参考にしている香川県高松市丸亀町商店街の成功要因は何か。
 「住居と店舗を一体化したことで消費が見込める定住人口を確保した上で、60年後に土地を地権者に戻す定期借地権を導入し、合意形成をスムーズにしたこと。商店街を街区分けしてショッピングゾーンや生活用品ゾーンなど、エリアごとに性格を持たせたテナントミックスや、来街者が歩く道路空間の魅力を高めた工夫も大きい」
 ーアーケード名店街のまちづくりでは、何が焦点になるか。
 「専門家の立場では、中心を抜ける道路空間の活用が成功の鍵を握ると考える。防火建築として日本初の共同建築様式を手掛けた実績があるだけに、皆仲が良く、可能性を感じる。各地で手掛けた成功事例での唯一の共通点は、地域に誇りを持つ住民の多さ。県庁所在地であるとか、商店街の疲弊度などは関係なく、どの街にもこうした熱い住民の存在を前提とした『復活のチャンス』はある」(聞き手=東部総局・大須賀伸江)
(静新平成22年8月20日「本音インタビュー」)

2010年6月19日土曜日

沼津市議会

 沼津市議会
 4常任委員長決定 沼津市議会
 沼津市議会6月定例会は18日までに4常任委員長の互選を行い、総務経済委員長に岩崎英亮氏(新政会)、文教消防委員長に二村祥一氏(市民クラブ)、民生病院委員長に深瀬勝氏(志政会)、建設水道委員長に井口哲男氏(エリア・自民)を選出した。

 沼津駅周辺総合整備
08年度末事業費説明
 沼津市は18日の市議会鉄道高架事業推進特別委員会に、鉄道高架や駅周辺の土地区画整理など6事業で構成する「沼津駅周辺総合整備事業」の事業費を説明した。
 2008年度末までに執行した事業費と執行率、09年度以降の事業費と市費の額をホームページで公表している。執行事業費の額は鉄道高架事業14億円(執行率1・8%)、鉄道高架関連事業57億円(同12・8%)、土地区画整理事業29億円(同9・9%)、特定再開発82億円(同53・6%)、市街地再開発事業131億円(同100%)、駅北拠点開発事業県18億円(同22%)、市48億円(同49%)。
 今まで算定していなかった駅北拠点開発事業の県事業費分も新たに加えたため、合計の事業費も変更したが、市費や個々の全体事業費などに変更はない。
(静新平成22年6月19日朝刊)

2010年6月11日金曜日

市議会6月定例会一般質問

17議員が質問を通告(沼朝平成22年6月11日号)
15,16日 市議会6月定例会一般質問
 七日開会後、議案研究などのため休会に入っている市議会六月定例会は、十五日に再開され、同日と十六日の二日間、一般質問が行われる。補助金・負担金の見直し、公園管理と市民サービス、市所有の遊休地及び事業待ち用地、事業仕分けなどについて十七議員が質問する。質問者と質問要旨は次の通り(質問順)。
 山下富美子議員(未来の風) 1、補助金・負担金の見直し①沼津市の補助金交付等の現状②基本的な考え方・方針③公益上の必要性についての客観的な認定の認識と対応
 2、障がいのある人が働く作業所等での工賃向上及び障がい者支援のあり方①沼津市の工賃の現状とその評価②静岡県の工賃向上計画は、沼津市においてどのような展開が図られているのか③地方自治法の改正に伴う随意契約による市の業務の委託についての認識と対応
 梅沢弘議員(同) 1、本市の公園管理と市民サービス①御用邸記念公園②牛臥山公園
 2、子供・市民の安全・安心と本市の危機管理①民間の幼稚園・保育園の未耐震建物への耐震対策状況と本市の具体的支援策②夕張市への職員派遣
 3、自治基本条例策定についての市長の認識
 殿岡修議員(同) 1、沼津市所有の遊休地及び事業待ち用地について①遊休地と事業待ち用地の現状認識②遊休地と事業待ち用地の活用
 江本浩二議員(同) 1、事業仕分け①目的②作業スケジュール③コーディネーター、外部仕分け人、市民仕分け人④対象事業の選定⑤事業仕分け当日の実施概要⑥仕分け結果の公開と事後の取り扱い、取り組み
 斉藤孝一議員(共産党市議団) 1、緊急雇用対策①雇用情勢の現状認識②自治体の役割③現在までの取り組み状況④今後の計画と目標
 渡辺教二臓員(同) 1、まちづくりの基本方向①鉄道高架化事業(1)高次都市機能(2)車両基地②広域合併
 山崎勝子議員(同) 1、環境保全の生活排水処理①公共下水道計画区域の整備目標年度と現状認識②公共下水道計画区域内の補助制度の創設③生活排水処理計画の策定
 二村祥一議員(市民クラブ) 1、沼津市の教育行政①学校休業日(1)学校休業日に対する対応(2)学校現場の多忙さの認識②学力学習状況調査の全校実施及び「富士山の日」を学校休業日とする決定
 渡部一二実議員(同) 1、本市における事業仕分けの実施計画①市政における事業仕分けのねらいと効果②仕分け対象とする事業選択の考え方③外部有識者と市民の参画のあり方④仕分け結果の反映状況に対する情報公開⑤仕分けにより捻出される財源の
振り分け先2、本市のさらなる観光振興策の推進①ゆるキャラ等の観光シンボルの利活用②B級ご当地グルメの品種拡大策
 杉山功一議員(公明党) 1、観光行政①沼津市の観光行政(1)観光広域圏の形成(2)観光圏整備法による観光圏整備実施計画の認定②沼津市南部地域の観光行政①海越しの富士山をテーマとした写真コンテスト(2)海越しの富士山の情報発信(3)高台の富士見ビューポイントへの温泉保養施設の建設(4)民間活力導入への条件整備と支援策(5)絶景富士見ポイントの連携づくり(6)らららサンビーチの春秋の活用としてのイベント開催 ア、野外コンサート イ、ストリートミュージシャンのコンテスト ウ、ビーチバレー全国大会の誘致(7)海岸道路の区間ごとのネーミングの募集(8)ご当地ソングの制作③戸田地域におけるまちなみ景観(1)ロシアとの関係が深い戸田地区の一部にロシアの代表的まちなみの構築
 城内務議員(同)1、第5次沼津市高齢者保健福祉計画①本市の計画の進捗状況と今後の推進(1)特別養護老人ホームなどの介護施設の待機者の現状とその解消策(2)特別養護老人ホームの今後の増床計画(3)認知症対応グループホーム等の介護施設の施設整備状況と負担軽減策(4)介護施設の老朽化に対する認識とその対応②認知症を含む介護予防策(1)本市の介護予防策の現状と今後の取り組み(2)介護予防事業の啓発活動(3)認知症及び閉じこもり対策③共助によるボランティア活動の推進(1)本市の認知症サポーター百万人キャラバン事業の取り組み(2)介護支援ボランティア制度の導入2、高速自動車国道第二東海自動車道横浜名古屋線(新東名高速道路)①(仮称)沼津サービスエリアの整備状況(1)サービスエリアの施設概要(2)スマートインターチェンジの設置計画及びアクセス道路の進捗
 岩崎英亮議員(新政会) 1、市長の政治姿勢①環境対策(1)臭気規制導入 ア、特定悪臭物質規制と臭気規制の違い イ、規制の指数、基準 ウ、事前の取り組みと事後の対策、取り組み②事業仕分け(1)取り組みの具体的状況(2)今後の方向づけ
 干野慎一郎議員(同) 1、公共建築物への木材の利用促進①大型建築物への利用促進②低層小型建築物の木造化 2、公文書の管理、保存①現在の管理、保存状況②公文書の電子化の進捗状況③公文書管理法への対応 3、文化振興課の文化政策及び事業部門を市長部局へ移管すること 4、中央公園の名称を沼津城趾公園に変更すること
 伊山昭議員(同) 1、本市西部地域の都市づくり①静岡県が進めている静岡県東部地域の戦略的地域政策である「富士山麓先端健康産業集積プロジェクト」通称ファルマバレープロジェクト
 高橋達也議員(志政会) 1、本市の子ども・若者支援①子ども・若者育成支援推進法②増加する子ども虐待に関する対策2、本市の教育政策①言語教育推進事業②学校図書館の運営③司書教諭と学校司書、読み聞かせボランティア等のあり方④沼津市子ども読書活動推進計画
 頼重秀一議員(同) 1、本市のイメージアップ戦略①本市のイメージ②周辺自治体や類似都市とのイメージの比較③本市のイメージの把握とその分析④インターネットを活用したイメージ戦略⑤本市のイメージアップのための戦略と組織⑥東部コンベンションセンターを活用したイメージアップ戦略
 水ロ淳議員(エリア・自民) 1、子宮頸がん予防ワクチン接種費用補助

2010年6月2日水曜日

沼津市議会関係記事

沼津市議会関係記事
 くじ引きで委員長が決定
 市議会の議会運営委員会
 市議会議会運営委員会(真野彰一委員長)が三十一日開かれ、任期満了(一年)に伴う正副委員長選挙が行われた。
 今回、話し合いによる選出とはならず、九委員による投票の結果、伊藤正彦委員(エリア・自民党)、真野彰一委員(志政会)各四票、斉藤孝一委員(共産党市議団)一票となり、同数の伊藤、真野両委員がくじ引きの結果、真野委員が当たり、二期連続して委員長を務めることとなった。
 議員定数問題で対立する市議会で、二十八議席を主張する勢力は四委員、三十二、三十四を主張するグループは五委員。両グループ内で話がまとまり、伊藤委員が五票を獲得して委員長になるかと思われたが、斉藤委員が名乗りを上げ、ならなかった。くじ引きでの決定は珍しい。
 一方、副委員長選出では、千野慎一郎委員(新政会)七票、伊藤委員一票、斉藤委員一票だった。


 6月定例会の会期予定
会期日程の予定は次の通り。
 ▽七日=本会議(開会、諸般の報告、会期の決定、感謝状の贈呈、常任委員の選任)、委員会(一般会計予算決算、特別会計企業会計予算決算ー正副委員長の選任)、本会議(議案説明)
 ▽八ー十四日=休会(議案研究、市の休日)
 ▽十五日=本会議(一般質問)
 ▽十六日=本会議(一般質問、議案質疑、委員会付託)
 ▽十七日=委員会(民生病院、総務経済)
 ▽十八日=委員会(文教消防、建設水道)
 ▽十九、二十日=休会(市の休日)
 ▽二十一日=委員会(一般会計予算決算)
 ▽二十二日=委員会(特別会計企業会計予算決算)
 ▽二十三、二十四日=休会(議事整理)
 ▽二十五日=本会議(委員長報告、質疑、討論、採決、閉会)

2010年5月26日水曜日

参院選静岡


「6氏顔ぶれ固まる」

 みんなの党 河合氏が正式出馬表明
 夏の参院選静岡選挙区(改選数2)への出馬の意向を固めていたパラリンピック金メダリストで元県総合教育センター指導主事の河合純一氏(35)と、みんなの党の渡辺喜美代表が25日、浜松市内で記者会見し、河合氏が同党の公認候補として出馬することを正式に表明した。
 河合氏のほかに静岡選挙区で立候補を予定しているのは民主党現職の国土交通政務官藤本祐司氏(53)と同党新人の会社員中本奈緒子氏(30)、自民党新人の元大学講師岩井茂樹氏(41)、共産党新人の渡辺浩美氏(49)、政治団体幸福実現党新人の中野雄太氏(36)。河合氏を含めて計6氏の顔ぶれとなった。
 河合氏は浜松市西区舞阪町出身で同町在住。中学校教諭の経験があり、県総合教育センターでは特別支援教育などの分野で現場を指導してきた。出馬の正式表明を控え、24日に退職した。
 会見で河合氏は、同党からの強い要請が出馬を決意した理由だったと明かし、「自分の経験や学んだことを生かし、公務員改革や教育改革に取り組みたい」と語った。先天的な弱視で15歳の時に失明したことに触れ、「心の目でみなさんの夢や声を自分のものとし、ぬくもりある双方向の活動をしたい」と抱負を述べた。
 河合氏は1992年バルセロナ大会から5回連続でパラリンピックに出場し、金5個を含むメダル21個を獲得している。当選した場合も競技者として水泳を続けるかについては、「それほど器用ではない」などと議員活動を最優先することを強調した。
(静新平成22年5月26日「参院選10しずおか」)

2010年5月11日火曜日

鉄道跡地利用検討懇

 鉄道跡地利用検討懇が発足
 機能論議、秋に報告
 沼津市は10日、識者や市内各種団体の代表らによる「鉄道跡地利用検討懇話会」を発足させた。検討対象は、JR沼津駅周辺の鉄道高架に伴い移転が計画されている車両基地やJR貨物沼津駅用地など約6㌶。期待する機能を議論して絞り込み、早ければ9~10月をめどに市長に報告する。
 6㌶は、JR沼津駅の東側1・7㌶、西側2・3㌶のほか、さらに西側の同市本のJR貨物沼津駅の2㌶も見込んでいる。懇話会は市自治会連合会、沼津商工会議所、企業経営研究所、県東部地域支援局の各代表者と公募委員など13人で組織し、任期は来年3月末まで。会長に元市助役の竹内直文民間都市開発推進機構常務理事を選出し、駅周辺総合整備事業などの関連事業について市担当者から説明を受けた。会合は3回を予定しているが、回数を増やす可能性もあるという。
 委員を委嘱した栗原裕康市長は「鉄道高架は市にとって不可欠な事業。さまざまな観点から土地利用のあり方を検討してほしい」と述べた。
(静新平成22年5月11日(火)朝刊)

2010年5月10日月曜日

中選挙区制による政界再編求む【正論】

【正論】元慶応義塾塾長・鳥居泰彦 中選挙区制による政界再編求む2010.5.10 03:17
このニュースのトピックス:正論
 民主党政権の迷走と暴走は甚だしい。かといって、自民党も頼りない。新党の結成に声援を送りたいが、「みんなで…」「たちあがれ」などと言われても、国民には具体的政策が分からない。
 このままでは国民の毎日の生活は苦しくなるばかり、産業は深い不況の中にいる。安全保障も不安が増す一方だ。与党も野党もあまりに鈍感すぎる。
 ≪高い志で世直しの第一歩を≫
 歴史を振り返ると、こういう時暴動やクーデターが起きた。今は散発的にデモの形で意思表示はするが、それ以上の力にはならないから、政治家は殆(ほとん)ど気にしない。
 与野党の政治家諸公よ、国民は議会制民主主義を信じて、選挙の度に諸公にこの国の明日を託そうとした。ところが、選挙の度に裏切られてきた。今回の「政治とカネ」では、誰も責任を取ろうとせず、年金一元化という空論では老後の安心は得られない。
 国の安全保障はますます危険な道に進む。あげれば切りがない。国民はそれでも選挙に全てを託してきたのだ。欧米の政治の先進国では、多くの国が小選挙区制を採用しており、健全な二大政党の体制が機能している。しかし、現在の日本は、内政も外交も、泥沼政治の陥穽(かんせい)に落ち込んでしまった。
 この泥沼から、暴動やクーデターではなく民主主義のルールで脱出するには、政界再編しかない。高い志と広い視野を持ち、国の内外の問題に精通し、政党人としての資質を備えた人たちが「救国政権」に再結集し、世直しを目指すことだ。そうすれば、一縷(いちる)の望みを抱いて、国民は次の選挙にのぞむであろう。
 ところが、いまの小選挙区制のままでは、その様な望みは実現しそうもないのである。7月の参議院選挙を目前にして、国民はもどかしい思いでいる。しかし、選挙制度の見直しを唱える政党は、今のところ一つもない。
 小泉純一郎元首相や与謝野馨氏は、小選挙区制では選挙区やメディアでの人気が優先され、国家の大局を見る政治ができなくなる、と批判し、中選挙区制の推進論者であった。与謝野氏は先日の新党結成に際しては、選挙制度には言及しなかった。
 ≪小選挙区制に問題点≫
 日本の政治は、時間をかけて離合集散を繰り返しながら、健全な二大政党への道を歩むべきであろう。その為にも、もう一度、中選挙区制に戻るべきである。
 日本では、国会が開設された明治23年から同31年までは小選挙区制が採用された。通信手段も未発達のこのころは、小選挙区が適していたかもしれない。その後、府県単位の大選挙区の時代があったが、このころに、二大政党が育っている。
 大正期に原敬が小選挙区選挙を試みたが、昭和3年、第1回普通選挙で25歳以上のすべての成年男性が有権者となって以降、中選挙区制での選挙が行われる。戦争中の大政翼賛選挙や終戦直後の占領下での一時期、大選挙区のこともあったが、中選挙区制は平成6年までずっと続いていた。
 それが平成6年に小選挙区制に逆戻りして現在に至った。現在の衆議院は小選挙区(300人)と並列立候補を認める比例代表(180人)の並立制だ。
 小選挙区制は、民意を代表すべき国会議員の仕事を「家業」だと思っている職業政治家や、政党から突然立候補の誘いを受けるタレント候補の、選挙活動のやり易(やす)さを考えれば都合のよい制度であろうが、選挙民にとっては甚だ迷惑な制度だ。
 単純に考えて、仮に1人区でA党が51%、B党が49%だったとする。A党の意見がその選挙区の民意とみなされて、49%の大量の民意は無視されてしまうのだ。半分近い民意を無視することの問題は小さくない。
 ≪多様な意見を議場に反映≫
 中選挙区制の方が望ましい理由を掲げよう。第1に、日本が抱える政治、経済、外交、国防いずれをとっても多様な意見がある。それらを議場に反映するのに適しているのは中選挙区制だ。
 第2に、1選挙区を1人が代表する制度では、どの党も公認候補者を1人に絞る。実際に、小選挙区になってからは、志を同じくする候補者が党の公認を得られず、やむなく他の党から立候補することもある。
 第3に、小選挙区制ではどうしても人気取りが優先する。テレビの有名人や、いわゆる「チルドレン」が集票の頼りになり、政見は後回しになりがちだ。小泉チルドレン、小沢チルドレン、国民は二幕のチルドレン劇を見た。ひとつは政治に最も相応(ふさわ)しくない「刺客劇」であり、もうひとつは、複雑な日中、米中関係などをこれから学ぶべき新人議員が140人も大挙、行列して胡錦濤主席に握手を求めた「朝貢劇」である。
 現選挙制度で当選した議員に中選挙区制の復活を考えろというのは無理だろうか。しかし、このままでは、国民の闊達(かったつ)な意見によって議席が構成されることは期待できないことを真剣に考えてほしい。(とりい やすひこ)

2010年4月28日水曜日

東部地区合併問題

東部地区合併問題
東部合併足並みそろわず
 沼津市長会見 働き掛けを継続
 県東部の合併について、栗原裕康沼津市長は27日の定例会見で「予想はしていたが(首長の)足並みがそろわず、残念ながら具体的には進んでいない」と水面下での動きに触れ、2市2町(沼津市、三島市、函南町、清水町)を核としたこれまでの動きから今後は賛同の輪を広げ、働き掛けを続ける考えを明らかにした。
 栗原市長、小池政臣三島市長、芹沢伸行函南町長(当時)、山本博保清水町長の4者は昨年11月、政令指定都市の実現を県東部の市町に呼び掛けることで合意した。この合意をもとに対象市町の首長に面会したところ、消極的な姿勢を示した自治体が複数あったという。
 栗原市長は「自治体の事情から単独の方がいい、そんなに急いでいないと考える町もある。なら、あきらめるわけではなく、動こうという意欲を強く持ち、仲間を増やしたい」と述べ、方向性に賛同する自治体も活動の枠に含めて発起人制を取る考えを示した。すでに了承を得た自治体もあるという。
(静新平成22年4月28日(水)朝刊)

伊豆の国市長
 まず3市1町合併左
 伊豆の国市の望月良和市長は27日の定例会見で、県東部の広域合併について、三島、伊豆の国、伊豆、函南の3市1町での合併を目指すべきという考えを示した。
 望月市長は「三島を中心に伊豆半島を一つにした方がいい」と指摘した上で「全市町を合併の対象にすると簡単にはいかない。3市1町でまずまとまりたい」と段階的な合併に言及した。
 広域合併の在り方については、旧3町による伊豆の国市の合併の経験を踏まえて「鉄道や川など、まちづくりの核になるものが必要になる。住民に合併の利点を示すことも大事」と強調した。
(静新平成22年4月28日(水)朝刊)

2010年4月5日月曜日

攻防2010

 捲土重来期す自民
 保守票分裂に危機感も
 参院静岡選挙区(改選数2)への2人目の公認候補擁立をめぐって、民主党本部と県連の対立が深まっていた3月中旬。自民党の安倍晋三元首相が静岡市での県神社関係者大会に足を運んだ。
 安倍氏は開会前の控室で、党公認で立候補予定の元大学非常勤講師岩井茂樹氏(41)の手を固く握った。「何としても勝ち抜けるように頑張ってほしい」
 党重鎮の励ましに、顔を紅潮させる岩井氏。「参院選は自民再生の第一歩。日本の将来を決める大事な選挙」とあいさつで気勢を上げた。
 自民県連は三役辞任を受けた昨年末の臨時大会で、早々に候補者を岩井氏1人に絞る方針を決定。「昨秋の補選で名前を売り込んだ。逆風の中、40万票を獲得した岩井氏擁立は既定路線」(県連幹部)だった。
 自民県連は67市町支部、業界友好団体との会合を2、3月に開いた。塩谷立県連会長は各会場で「捲土(けんど)重来に向け、自民党が一枚岩で戦いに臨めるかが問われている」とげきを飛ばした。2月には、三役が岩井氏と共に業界団体をあいさつ回り。異例の取り組みは「これまでにない手厚い対応」(多家一彦総務会長)。2人目の候補者擁立でごたごたが続く民主党を尻目に、自民は一致結束を図る。
 ただ、懸念はある。離党者が相次ぎ、与謝野馨元財務相らによる新党結成の動きが急だ。保守支持層分裂の可能性もある。県連幹部は「離党に拍手を送る党員はいない。勢力闘争ではなく今すべきは党内改革。地方の実情を把握し、新生自民の姿を見せなければ、選挙は戦えない」と批判する。
 民主が静岡選挙区の2人目の公認候補を発表した2日、みんなの党の渡辺喜美代表は記者会見で、静岡を候補擁立の有力選挙区の一つに挙げた。みんなの党は全国的に支持率を上げているだけに、自民は危機感を募らせる。
 自民と連立政権を担った公明党。阿部時久党県本部代表代行は「連立野党はない」と自民との共闘を否定。「野党となったことで足かせなく自由な活動ができる面もある」とも述べ、公明票の行方は不透明だ。
 県内の政治情勢に詳しい法政大大学院の白鳥浩教授は「新党の動きは参院選の票の流れを複雑化させるだろう。民主党が政権に定着できるのか、選挙結果によっては政界再編を加速させていく大きな節目になる」と予測する。

 静岡選挙区には共産党の渡辺浩美氏(49)と政治団体「幸福実現党」の中野雄太氏(36)も立候補の意向を表明している。
(政治部・中島忠男、橋本和之、杉山武博、東京編集部・塩見和也が担当しました)
(静新平成22年4月5日「攻防2010・参院選しずおか:下」)

2010年4月3日土曜日

原点に立ち返った議論を

沼津・議員定数削減
 原点に立ち返った議論を
 沼津市議会の議員定数(34人)をめぐる市自治会連合会の直接請求を受け、定数を21人に削減する議案が先ごろの最終本会議で否決された。同時に一部会派が議員発議した対案の28人案も成立要件の過半数に2人及ばず、議論は振り出しに戻った。
 率直に言うと、議員を選ぶ市民が一番納得する定数になればいい。大切なのは、連合会や各会派が示す定数の根拠が市民にきちんと伝えられ、検証を経て選択されることだ。ただ、議会には市民の代表である自治会連合会が突きつけた問題意識の重みを受け止めてほしい。地域の声を市政に届けるために議員と両輪を担うべき組織のこうした動きを聞いた時、少なからず衝撃を受けた。
 同連合会が3500世帯に実施したアンケートでは、現状を「多い」と答えた人は9割。21~25人を「適当」とした人は47%だった。この結果や傍聴で「議員が多すぎる弊害として、質問の重複などがみられた」として、質の向上を前提に少数精鋭化を求めている。定数21人は政令指定都市並みの人ロ1万人あたり議員1人の換算になる。
 一方、議会が設置した議員定数等検討協議会は①28人②32人③現状維持ーに会派の意見が分かれたまま、昨年末に議論を終えた。28人は「4常任委員会など議会運営への影響を最小限に抑えられる」、32人は「組織によらない若年層や女性などが登場する機会を維持できる」などと根拠がある。議会は13人削減に「民意の反映、議会運営に支障が出る」と共通の懸念を示すが、連合会は「パブリックコメントや市長と語る会など市民参画の機会は増えている」と反論、運営面も委員会の兼務や統合整理で支障はないと反論している。
 政府は法定議員数の上限撤廃などを盛り込んだ地方自治法改正案を今国会に提出し、名古屋市では市長が定数半減などを求めた市条例改正案が議会で否決された。「地域主権」の機運は高まるが、議員の権能や職責がよく見えず現場が戸惑っている印象も受ける。
 沼津市の例を見ても、どの主張も一長一短がある。だからこそ、議会にしかできない仕事は何か、それを果たすのに何人必要なのかという基本的な議論に立ち返るべきだ。自治会連合会が直接請求に至った根底には、行革にとどまらない問題意識がある。論戦など本筋のやりとりだけでなく、開会の遅延理由や休憩の再開時間が分からないままに待ち続ける傍聴者にも目を向けてほしい。(東部総局・大須賀伸江)
(静新平成22年4月3日「湧水」)

2010年3月24日水曜日

沼津市教職員異動(沼朝記事)

沼津朝日新聞平成22年3月24日号
 小中学校教員異動を内示
 市教委は二十三日、年度末に伴う人事異動を内示した。異動数は二百九十三人。静浦地区三小学校の統廃合や児童生徒数の減少に対応したため、昨年度末に比べて十九人多かった。
 小学校
 校長
 退職
 清水信行(千本小) 小川光明(片浜小) 石川せつ子(金岡小) 鈴木順(大平小)坂口正(大岡南小)
 配置換
 二小 長倉史男(今沢小)
 金岡小 石川裕子(静浦西小)
 静浦小 渡邊義昭(静浦東小)
 愛鷹小 加藤勝(静浦小)
 大岡南小 梶祐造(愛鷹小)
 新任
 千本小 田村俊三(市教委教育企画室)
 大平小 唐國宏章(市教委学校教育課)
 昇任
 開北小 猿渡直隆(戸田中)
 片浜小 秋山三枝子(西浦小)
 今沢小 室伏清文(一小)
 管内外転出・昇任
 西伊豆町立田子小
 藤井則久(静浦東小)
 教頭
 配置換
 一小 間門信昭(静浦西小)
 三小 鈴木清文(原東小)
 大岡小 猪之原利一(門池小)
 門池小 上野美幸(三小)
 沢田小 鈴木正伸(大岡小)
 新任
 内浦小 長橋美奈子(県教委学校教育課)
 昇任
 西浦小 鈴木康史(東伊豆町立大川小)
 浮島小 猪ノ原克巳(下田市立下田東中)
 原東小 竹内一彰(原中)
 管内外転出
 富士宮市立富丘小 石川敏之(内浦小)
 富士市立岩松小 山田馨(浮島小)
 下田市立稲梓小 山本雅彦(沢田小)
 教員
 退職
 山下久美子(一小) 露木ふみ子(三小) 水田貞江(同) 川口貴美子(四小) 大村久代(五小) 江藤幹夫(開北小) 石塚あけみ(金岡小) 加藤みゆき(同) 川口幸子(大岡小) 丸山きみ子(愛鷹小) 山本智香(同) 芹澤豊(大平小) 土屋むつみ(原小) 菊地はるみ(同) 半田光枝(同) 野中秀明(今沢小) 長澤輝子(大岡南小)
 事務局等転出
 市教委生涯教育課 柏木武文(片浜小)
 配置換
 一小 荻田由美子(二小)妹尾尋子(香貫小)
 二小 雨宮寛明(三小)栗島千浪(開北小)
 三小 安西麻里子(開北小)真野津久美(静浦西小)加藤恵里子(原東小)酒井利絵(大岡南小)窪田眞希人(戸田小)
 四小 萱沼あゆ子(二小)齊藤由理(香貫小)松永康(沢田小)塩澤優子(原中)
 五小 山脇紀保(片浜小)齋藤久敬(原小)
 開北小 長嶋淑孝(愛鷹小)関秀之(香貫小)歌野康子(沢田小)
 片浜小 木口恭子(金岡小)山田光子(大岡小)芹澤和宏(静浦小)丸山みずき(香貫小)
 金岡小 市川みゆき(一小)松本絹代(三小)福世知香(五小)大草由美子(静浦東小)
 大岡小 佐藤玲子(静浦西小)大木郁代(今沢小)
 静浦小 黒田千佳子(四小)渡邉千栄(静浦東小)佐野友美(同)土屋正(静浦西小)松原祐子(同)飯野美奈(同)蓮池光一(同)目時文江(浮島小)土屋善隆(今沢小)森照明(市立高中等部)萩山峰子(金岡中)
 愛鷹小 亀田由香梨(三小)内村雅江(開北小)岩崎清美(静浦小)中野よしみ(浮島小)山崎祥子(大岡南小)久保田勇(町立清水中)
 大平小 高橋雅志(三小)鈴木淳一(片浜小)西之園由貴(内浦小)
 内浦小 斉藤正枝(大平小)
 西浦小 萬井有輝(戸田小)
 原小 山梨あつさ(三小)大畑祐子(四小)小玉隆司(静浦東小)大竹達也(愛鷹小)三宅くるみ(同)中野敬子(香貫小)河原崎ひろみ(門池小)加藤賢一(町立清水西小)鈴木淳子(富土市立田子浦小)
 浮島小 村田克寿(沢田小)藤井有希(原東小)
 香貫小 田村祐子(金岡小)鈴木奈美(西浦小)今井さやか(門池小)芹沢美穂(大岡南小)岩渕聖子(町立長泉南小)
 門池小 脇田節子(金岡小)二又川和行(今沢小)荻野美奈子(同)
 今沢小 宮原真紀(大岡小)野中由美子(静浦小)井出和教(浮島小)杉山由浩(大岡南小)
 沢田小 仲家薫(愛鷹小)鈴木新太郎(三島市立向山小)
 原東小 川口裕子(二小)井出詳子(片浜小)吉川央彦(静浦東小)遠藤八千代(門池小)
 大岡南小 澤田賢吾(静浦西小)内村美恵子(愛鷹小)近藤晴一(門池小)川口紀子(原東小)
 戸田小 上村淳一(二小)稲葉竜太(大平小)濱弘子(原小)
 原小(栄養教諭) 長谷川啓子(富士宮市立北山小)
 新任
 二小 吉田和弘(沼津特別支援学校)
 片浜小 糸川祐一(市教委生涯教育課)
 愛鷹小 江原香織(沼津特別支援学課)
 西浦小 藤本美穂(県教委又化課)
 管内外転出
 町立函南西小 二橋有理佳(三小)
 町立長泉小 瀬戸浩孝(四小)
 富士市立元吉原小 長橋優子(片浜小)
 富士宮市立白糸小 清智裕(金岡小)
 掛川市立日坂小 甲田淑恵(大岡小)
 裾野市立深良小 本間弥重(西浦小)
 静岡市立清水入江小 細田久美子(原小)
 富士市立青葉台小 山田隆之(原小)
 裾野市立深良小 荒木梢(香貫小)
 町立函南小 望月万起子(門池小)
 伊豆の国市立韮山小 青木靖(戸田小)
 県立学校等転出
 沼津特別支援学校 稲木龍元(千本小)
 御殿場特別支援学校 久保田和代(静浦西小)
 養護教員 配置換
 三小 菅原和枝(原東小)
 四小 幸田ひろの(静浦西小)
 千本小 水口和子(大平小)
 静浦小 竹内美保(静浦中)
 愛鷹小 鈴木由里子(香貫小)
 香貫小 保科靖子(四小)
 原東小 加藤佐祐里(愛鷹小)
 管内外転出
 函南町立函南小 杉山千幸(三小)
 栄養職員異動 管内外転出・昇任
 袋井北小副主任 石橋しのぶ(大岡小主事)
 事務職員 事務主幹等配置換
 原東小事務主任 飯塚敏弘(岩松北小事務主任)
 事務主幹等新任.昇任
 静浦小事務主任 高野豪優(静浦東小副)
 主任事務主事等配置換
 金岡小主事 土屋泰彦(大平中主事)
 事務主事等管内外転出
 町立長泉北小副主任 亀井香理(西浦小副主任)
 町立長泉中副主任 石村伊津子(沢田小副主任)



 中学校
校長
退職
 廣瀬裕人(二中) 堰澤周平(金岡中)
 配置換
 一中 森雅宏(静浦中)
 二中 益田俊夫(片浜中)
 片浜中 杉山亙(一中)
 金岡中 大嶋忠男(二小)
 静浦中 栗田自由(開北小)
 管内外転出・昇任
 富士市立富士東小 増田勝俊(四中)
 教頭
配置換
 四中 渡邊眞由美(今沢中)
 五中 鈴木隆雄(市立高中等部)
 大岡中 山田健(愛鷹中)
 愛鷹中 室伏恵二(五中)
 長井崎中 川澄雄司(浮島中)
 市立高中等部 田村悦子(長井崎中)
 事務局等転出
 市教委教育企画室
 齋藤匡洋(大岡中)
 市教委学校教育課
 浅倉博文(原中)
 原中 大川裕司(市教委学校教育課)
 今沢中 真野和浩(東部健康福祉センター)
 戸田中 神田博司(市教委生涯教育課)
 昇任
 浮島中 関健(二中)
教員
退職
 海瀬映子(二中)大野みはる(同)長谷川良(同)村松美穂子(同)鈴木邦幸(三中)依田千代子(四中)矢野文恵(同)岩崎みほ子(金岡中)近藤伸明(大岡中)落合晶子(同)稲葉美保(静浦中)関野英人(大平中)萩原三男(浮島中)山田利子(今沢中)神谷芳郎(市立高中等部)
 事務局等転出
 東部支援班 中嶋記恵子(三中)
 東部健康福祉センター 横山尚博(金岡中)
 市教委学校教育課 藤曲明子(大岡中)大塚弘一郎(今沢中)
 配置換
 一中 丹山裕太(静浦東小)芹澤しのぶ(今沢中)
 二中 近藤知子(大岡中)内藤義則(原中)松本由紀子(町立函南東中)
 三中 丸山真一(四中)田中義光(大平中)加藤大(長井崎中)北田雅志(原中)太田絢子(門池中)本田美智子(戸田中)渡邉健(今沢中)菊地孝義(町立長泉中)
 四中 矢川友康(原東小)栗田千江子(三中)堀田八千代(五中)望月照子(大岡中)竹本香織(大平中)
 五中 笹谷純治(三中)龍野雅昭(同)吉林順巳(門池中)
 金岡中 加藤久雄(一中)浅倉美里(四中)鈴木浩光(五中)松下明敬(静浦中)渡邊真由美(同)山田哲也(原中)
 大岡中 岳野和明(五小)持田きよみ(五中)高木邦昭(片浜中)山本誠子(金岡中)青木克憲(愛鷹中)高梨裕美(町立長泉中)
 静浦中 中野雄二(静浦小)小針幸重(長井崎中)
 愛鷹中 金井雅代(浮島中)渡井将浩(同)池田龍哉(三島市立錦田中)
 大平中 鈴木久美(静浦中)小島義弘(金岡中)
 長井崎中 勝呂智一(三中)岡山宗稔(金岡中)
 原中 大石敬子(四中)塩澤清孝(同)松下浩司(五中)篠原由佳子(片浜中)一杉高裕(長井崎中)
 浮島中 川口高明(大岡中)田中裕子(今沢中)
 門池中 西山由紀子(大平中)伊藤友佳子(今沢中)
 今沢中 小川容子(今沢小)後藤聡(三中)矢後兆朗(金岡中)篠原俊哉(原中)
 市立高中等部 佐野啓悟(金岡中)内久根眞也(長井崎中)
 戸田中 清水徳彦(三中)佐々木隆司(門池中)
 新任
 四中 片桐誠一郎(県教委文化課)安田晶子(三島南高)
 金岡中 大谷美和(沼工)
 今沢中 久瀬要(県教委文化課)
 五中(栄養教諭) 久保田雪子(五中(栄養士))
 管内外転出
 町立清水中 岸間理絵(三中) 袋井市立袋井中 柴田輝(四中) 静岡市立高松中 大長悟(金岡中) 袋井市立城山中 石橋康裕(愛鷹中) 富士市立富士中 青木千晴(原中) 伊豆の国市立長岡中 小早川務(戸田中)
 県立学校等転出
 静大附属中 加藤晃生(大岡中)
 富士東高 山田智章(今沢中)
 沼津城北高 海老原淳(門池中)
(沼朝平成22年3月24日(水)号)

2010年3月23日火曜日

教職員異動(沼津市関係)

教職員異動(沼津市関係)
 小学校長 配置換・新任・昇任
 沼津市二(今沢校長)長倉史男
開北、(戸田中教頭)猿渡直隆
 千本(沼津市教委事務局)田村俊三
 沼津市片浜(沼津市西浦教頭)秋山三枝子
 金岡(静浦西校長)石川裕子
 静浦(静浦東校長)渡辺義昭
 愛鷹(静浦校長)加藤勝
 沼津市大平(沼津市教委事務局)唐国宏章
 今沢(沼津市一教頭)室伏清文
 大岡南(愛鷹校長〉梶祐造

 退職
 (千本)清水信行(沼津市片浜)小川光明(金岡)石川せつ子(沼津市大平)鈴木順(大岡南)坂口正

 小学教頭
 配置換・新任・昇任
 沼津市一(静浦西教頭)門間信昭
 沼津市三(原東教頭)鈴木清文
 大岡(門池教頭)猪之原利一
 内浦(学校教育課主席指導主事)長橋美奈子
 沼津市西浦(東伊豆町大川教諭)鈴木康史
 浮島(下田東中教諭)猪ノ原克巳
 門池(沼津市三教頭)上野美幸
沢田(大岡教頭)鈴木正伸
原東(原中教諭)竹内一彰



 中学校長 配置換・新任・昇任
 沼津市一(静浦校長)森雅宏
 沼津市二(沼津市片浜校長)益田俊夫
 沼津市片浜(沼津市一校長))杉山亘
 金岡(沼津市二小校長)大嶋忠男
 静浦(開北小校長)栗田自由
 退職
 (沼津市二)広瀬裕人(金岡)堰沢周平
 
中学教頭
 配置換・新任・昇任
 沼津市四(今沢教頭)渡辺真由美
 沼津市五(市立沼津高中等部教頭)鈴木隆雄
 大岡(愛鷹教頭)山田健
 愛鷹(沼津市五教頭)室伏恵二
 長井崎(浮島教頭)川澄雄司
 原(沼津市教委事務局)大川裕司
 浮島(沼津市二教諭)関健
 今沢(東部健康福祉センター主幹)真野和浩
 市立沼津高中等部(長井崎教頭)田村悦子
 戸田(沼津市教委事務局)、神田博司

 国・市町教委等へ転出
 沼津市教委事務局(沼津市立大岡中学校)斉藤匡洋
 同(沼津市立原中学校)浅倉博文
(静新平成22年3月23日夕刊)

2010年2月20日土曜日

「肥大化し続けた改革幻想」 芹沢一也

論考 2010「肥大化し続けた改革幻想」 芹沢一也
 ショーより政策論議 政党政治見つめ直せ
 政権交代が実現した暁には、政官業癒着などの腐敗を生みだし、機能不全を起こしていた自民党政治は刷新されるはずだ。つての期待はいま、「政治とカネ」の問題に政権が揺れるなか、大きく失望へと変わってしまった。
 しかし、たとえ政権が倒れようとも、議会制民主主義は終わらない。また、グローバル化と民営化の波にさらされ、国家に期待される役割は少なくなったといえ、私たちの社会生活の根幹を支えるために、金融・財政政策や再分配政策、セーフティーネットの整備など、国家にしかできないこともなくならない。
 そして、国家をハンドリングするためのもっとも重要な回路は、今後も国家と社会(国民の要望)とを媒介する政党でありつづける。
 ▽至上命令
 それゆえ、私たちは政党政治に失望するわけにはいかない。とはいえ、政治に対する私たちのスタンスについては、ここで冷静に見つめなおす必要がある。政権交代をひとつの「終わり」としなくてはならないからだ。
 何の終わりか?「改革」幻想の終わりである。
 そもそもなぜ、先の総選挙で政権交代などという、政策的内容のまったくないメッセージが争点となりえたのか?それは先立つ20年間に改革幻想が肥大化し続け、それを引き受けることのできる最後のよりどころが政権交代だったからである。
 はじまりは1988年のリクルート事件。この汚職事件の発覚によって、政治改革の時代が幕を開けた。改革の中心におかれたのは、カネのかからない政策本位の選挙の実現、すなわち選挙制度改革(小選挙区制の導入)である。
 さらにこの時期は、冷戦崩壊を受けて55年体制が動揺していた。そうしたなか、古い自民党政治を保守しようとする勢力が守旧派、政治改革を断行しようとするのが改革派と、政治勢力がふたつのレッテルに色分けされた。以来、改革派のポジションを占めること(のみ)が、至上命令と化していく。
 ▽危機意識
 ところが、94年に選挙制度改革が実現しても、期待したような政治は実現しない。しかも、さらなる悪事情が重なった。90年代後半は、バブル崩壊後の一時的なものだとされていた不況が長期化するなかで、経済も根本的な問題を抱えているという危機意識がまん延したのだ。
 いまや日本というシステムそのものが、トータルな改革を必要としているのではないか?そこに現れたのが小泉純一郎だ。「自民党をぶっ壊す!」と守旧派を抵抗勢力に仕立て上げた小泉は、90年代初頭以来の改革のロジックに忠実にしたがっていた。そして、政治腐敗と経済の停滞に倦(う)む国風を前にして、「構造改革なくして景気回復なし」と叫び、2000年代前半を改革への熱狂に巻き込んだのだ。
 ▽民主党の演出
 ところが、00年代後半になり格差や貧困が問題化すると、今度は小泉政治が葬り去られるべき敵に仕立て上げられる。改革のフラッグは民主党の手に渡った。
 政治改革(脱官僚)を本当に望むならば「政権交代」しかなく、またそれは弱者を切り捨てた小泉政治を是正するものだと「国民の生活が第一」とうたわれた。そして、両者を同時に達成するための手段が、「税金のムダつかい」を徹底的に見直すこと(「コンクリートから人へ」)だとされたのだ。事業仕分けがクライマックスとして演出されたのは、こうした理由からである。
 民主党もまた、徹頭徹尾、改革のロジックのもとにある。それゆえ、私たちは事業仕分けのようなショーは与えられても、いまだ政策を媒介にした政治とのかかわりをもてないでいる。
 おそらく、1990年代半ば以降の不幸とは、何よりも重要な不況からの脱出の模索が、先行していた改革論議にのみ込まれてしまったことだ。だが、経済政策がリードすべき不況の克服は、政治改革とはまったく別次元の事柄なのだ。
 プラグマティズム(実用主義)のもとにあるべき政策論議を、改革というヒロイズムに、そしてそれがもたらす陶酔に委ねてしまってはならない。わたしたちは、ここ20年間続いてきた改革依存症から、そろそろ解放されねばならない。(社会学者)
(静新平成22年2月20日「文化・芸術」)

2010年2月18日木曜日

沼津市議会2月定例会一般質問

 市議会2月定例会一般質問
 十二日に開会した市議会二月定例会は、議案研究などのため、現在休会しているが、二十二日に再開し、同日から三日間にわたり、一般質問(代表質問、個人質問)を行う。質問者と通告内容は次の通り。
 【代表質問】
 渡辺教二議員 (共産党市議団)
1、鉄道高架事業(1)川勝知事の「沼津貨物駅不要論」と本市の対応(2)今後の方向性 2、財政見通し 3、「エコのまち沼津」 4、「人を大切にするまちづくり」 5、「合併問題」 6、「『夢ある人づくり』の推進」
 千野慎一郎議員 (新政会)
1、基本的な考え方(1)エコのまち沼津の発信(2)市政への市民参加(3)沼津の宝探しと情報発信(4)合併問題 2、沼津駅付近鉄道高架事業(1)鉄道高架事業に対する市長の姿勢①松蔭寺での意見交換会の評価②松蔭寺での意見交換会における発言③都市計画決定時の貨物駅移転先の議論④県とJR貨物との交渉経過とその見直し⑤土地収用法適用の凍結による影響⑥都市計画決定の変更等により新たに発生する課題 3、人にやさしいまちづくり(1)エコのまち沼津の推進①環境基本計画の策定②ぬまづの森づくり(2)夢ある人づくりの推進①静浦地区の小中一貫校②沼津市スポーツ施設整備計画③本市関係文学者の文化的遺産の保護(3)快適な生活環境の基盤整備 4、安全安心のまちづくり(1)災害・危機対策の推進①小中学校及び公共施設の耐震化②治水対策(2)子育て支援の推進(3)高齢者・障害者支援の推進(4)保健・医療の充実 5、活力と魅力あるまちづくり(1)中心市街地の整備の推進とにぎわいの創出①沼津市中心市街地活性化基本計画②中心市街地の回遊性(2)地域経済の活性化の推進①経済支援対策②富士山麓ビジネスマッチング促進事業(3)地域資源の活用 6、行財政運営(1)組織改正(2)事業仕分け(3)第四次沼津市総合計画
 浅原和美議員(志政会)
 1、市長の施政方針(1)基本的な考え方①合併問題②事業仕分け(2)人にやさしいまちづくり①「エコのまち沼津の推進」ア、二十一世紀環境立国戦略との整合性の認識 イ、「環境基本計画」「一般廃棄物処理基本計画」作成に当たっての基本的な考え方 ウ、現行計画の目標達成度とその方策工、森づくり事業 オ、エコ運動の成果の評価と情報発信の必要性②夢ある人づくりの推進 ア、新たな総合体育館の考え方③快適な生活環境の基盤整備 ア、白隠のみち整備事業 (3)安全安心のまちづくり①子育て支援の充実 ア、子ども図書室 イ、子育て支援策の市民への周知②子ども手当③「高齢者・障害者支援の推進」(4)活力と魅力あるまちづくり①中心市街地の整備の推進とにぎわいの創出②貨物駅移転事業 ア、地元への説明、法的な手続き イ、貨物駅の移転に関連した基盤整備 ウ、この事業に協力してきた地権者への説明工、今後の用地買収(5)行財政運営①部課の連携などに対する考え方
 山下富美子議員(未来の風)
 1、新年度予算案に至る編成方針等 2、新年度予算案の特徴及び留意されるべき点 3、沼津駅周辺総合整備事業と新年度予算案 4、事業仕分け 5、沼津市立病院改革プラン
 土屋春夫議員(公明党)
 1、市長の政治姿勢(1)基本的な考え方①市長と市民との公聴活動(2)新年度の主な取組①人にやさしいまちづくりア、LED防犯灯 イ、「エコのまち沼津」の全国への発信 ウ、使用済み食用油工、公共交通 オ、芹沢光治良記念館②安全安心のまちづくり ア、ブックスタート イ、子ども医療費助成事業 ウ、ヒブワクチン予防接種の公費助成③活力と魅力あるまちづくり ア、沼津の宝
 伊藤正彦議員(自由民主党NUMAZU)
1、基本的な考え方(1)地域資源の活用①「沼津の宝」約六二㌔に及ぶ海岸線②映画・テレビのロケ誘致「さあ来い、ハリウッド!大作戦」(2)合併①「県並みの権限を持つ政令指定都市」の実現に向けた一定の方向性 2、新年度の主な取り組み(1)「人にやさしいまちづくり」①住宅用太陽光発電システムや効率の良い給湯器の設置に対する支援(2)「『夢ある人づくり』の推進」①市民体育館等の老朽化への対応及び駐車場対策(3)地域経済の活性化の推進①緊急雇用創出事業等の継続と合わせた本市の雇用創出
 二村祥一議員(市民クラブ)
1、新年度の主な取り組み(1)人にやさしいまちづくり①「エコのまち沼津」の推進 ア、「森づくり」の進め方 イ、教室へのエアコンの設置②「夢ある人づくり」の推進 ア、小中一貫教育の考え方 イ、小中一貫教育の普及ウ、言語教育・中高一貫教育の評価工、総合体育館の今後の計画③快適な生活環境の基盤整備 ア、身近な公園等の整備 イ、下水道の普及の現状と今後 (2)安心安全のまちづくり①災害・危機対策の推進 ア、対策の推進における費用 イ、小中学校の耐震化率の現状と予定②子育て支援の充実③高齢者・障害者支援の推進 ア、高齢者介護施設の増設④保健・医療の充実 ア、市立病院の経営 イ、医科系大学の誘致 (3)活力と魅力あるまちづくり①中心市街地の整備の推進とにぎわいの創出 ア、駐車場の確保 イ、公共交通 ウ、沼津駅付近鉄道高架事業②地域経済の活性化の推進 ア、(仮称)ものづくり体験館の開設 イ、水産業の育成③地域資源の活用 ア、辻畑古墳と道路整備④道路交通網の整備 ア、国道四一四号バイパスの整備 2、基本的な考え方と行財政運営(1)人を大切にするまちづくり(2)合併問題に対する考え方(3)市役所内部の連携
 【個人質問】
 水ロ淳議員(自由民主党NUMAZU)
1、観光行政 (1)東駿河湾環状道路開通による本市への影響 2、道路行政(1)国道四一四号整備促進(2)県道一七号線(主要地方道沼津土肥線)整備促進
 梅沢弘議員(未来の風)
 1、中心市街地と南北自由通路 2、鉄道高架事業と市民世論
 殿岡修議員(同)
1、沼津駅南地域の活性化(1)商店街の駐車場のあり方(2)商店街の活性化の進め方
 斉藤孝一議員(共産党市議団)
1、市営駐車場及び公共交通施設の駐車場整備(1)市営駐車場の問題点と解決策①香陵駐車場②香貫駐車場(2)公共施設駐車場の問題点と解決策①市民体育館の駐車場②明治史料館の駐車場 ③保健センターの駐車場④水道庁舎跡地の活用
 山崎勝子議員(同)
 1、人を大切にする、住みたいまち沼津にするための施策(1)暮らしと命を守るセーフティーネット①生活困窮者の緊急支援の拡充②緊急避難施設の設置(2)安心して医療を受けられるまちづくり①中学校卒業までの通院医療費無料化②窓口負担の軽減策(3)市民ニーズに合った高齢者支援 2、「住宅リフォーム助成制度」
渡部一二実議員(市民クラブ)
 1、三人乗り自転車(幼児二人同乗自転車)の普及(1)三人乗り自転車に対する認識(2)三人乗り自転車の普及を阻害している要因(3)三人乗り自転車の助成制度及びレンタル制度の実施 2、共栄町交差点を中心とする交通渋滞の解消策 (1)現状認識とこれまでの取り組み(2)交通渋滞解消に向けた今後の取り組み(3)都市計画道路沼津南一色線の本格供用に向けた交通渋滞対策の必要性
 曳田卓議員(新政会)
 1、本市の観光政策(1)富士山ビューポイントの企画 2、本市の文化振興(1)第十二世本因坊丈和の顕彰
 高橋達也議員(志政会)
 1、本市の野外体験施設等(1)それぞれの施設の運営方針(2)今後の少年自然の家のあり方 2、黄瀬川、狩野川周辺の整備(1)黄瀬川、狩野川の護岸整備(2)黄瀬川運動公園整備
 野田久雄議員(無所属)
 1、第三次沼津市総合計画(1)後期推進計画のうちセントラルパーク構想推進事業における執行状況
(沼朝平成22年2月18日(木)号)

2010年2月13日土曜日

 険しい自民再生への道

「応える」が問われる
 険しい自民再生への道
 「自民党はすでに死んでいる」ー。週刊誌ではない。自民党の機関紙「自由民主」の見出しに驚いた。漫画家やくみつるさんの寄稿文だ。
 「しっかりしろ自民党」と題するコーナー。やくさんは「長年の失政のツケを払わされて汲々(きゅうきゅう)としている民主党を自民党に攻める資格はない」と手厳しく、「もはや野党としても蘇生(そせい)の見込みがない」と容赦ない。
 1月の党大会では「運動会にスーツ姿、魚市場に革靴」という女性党員の言葉に「その通り」とうなずいた。「そんな格好で出向くようでは国民の共感は得られません」と続く。子どもの運動会にスーツ姿で現れる政治家は「場違い感」を振りまいている。
 野党に転落した自民党の谷垣禎一総裁は「歩く。聞く。応える。」を掲げる。地域を歩き、住民の声を聞き、党再生のヒントを探す。名付けて「なまごえプロジェクト」。
 政権を持っていれば企業も業界団体も寄ってきた。「支持基盤は固い」という思い込みに安住し、街で暮らし、働く人たちの悩みや要望、批判に耳を傾けてこなかったのではないか。その揚げ句に「共感」を失った。足元を見つめ直そうー。「誠実さ」で知られる谷垣氏らしい発想だ。
 やくさんに寄稿を依頼した担当者も「辛口は予想していたが、どんな批判も聞く姿勢を示した」と説明する。政治の「原点」に立ち返る姿勢は間違っていないと思う。
 ただ課題はその先にある。「歩く。聞く」と「応える」は次元の違うものだ。政策決定権のない野党が国民にどう「応える」のか。そこが見えないと共感は取り戻せない。
「一部の人間が利益を分配し、内輪の権力闘争に明け暮れる、そんな党とは決別する」。谷垣氏は党大会で宣言したが、その先は「未来を信じ、正論を語りましよう」と呼び掛けただけだった。国会で鳩山政権の資金問題を追及しても「自民党にその資格はあるのか」と問い返される。「実は内心、相当気にしている」と谷垣氏が正直に認める通り、党の支持率は低調なままだ。
 自民党結党前に長い野党暮らしを経験している中曽根康弘元首相に心得を聞いた。「着実に政策を錬磨して現政権に対抗すべき政策を国会論戦を通じて明確にするしかない」と「王道」を説き、「野党には初期・中期・後期があり、今は初期の初年度」とも指摘した。
 国民の声をすくい上げ、今の政権よりも魅力ある政策を打ち出す。それが「応える」だ。だが「後期」までには時間がかかるし、党内対立が深刻になることもあるだろう。試練を乗り越えて生き返れるのか。道は険しい。
(静新平成22年2月13日「政考政読」)


【自由民主平成22年2月9日号(しっかりしろ自民党・下)】
「自民党はすでに死んでいる」
野党としても蘇生の見込みなし
漫画家 やくみつる
 正月気分も抜け切らぬ、まだ松の取れる前であったか、自民党の機関紙編集御担当氏より電話が入った。なんでも「自民党、シッカリしろ」といったエールの一文を願いたい由。
 「あのー、書かせていただくに吝(やぶさか)かではないんですが、あのー、私、赤旗日曜版にも連載を持っているんですが…:」
 だが、むしろ日頃自民党を支持されている方々以外からも広く言葉をいただきたいと編集氏。繰り返し「自民党、シッカリしろ!」と、あたかも自らを鼓舞させるかのように仰(おつしゃ)る。
 「あのー、そういうことであれば、あのー……」とお引き受けすることにした。ちなみに「あのー」が多いのは、吝かでないと言ったものの、やはり幾許(いくばく)かの心の迷いがある表れで、これは谷垣禎一総裁の先の予算委員会質問と同じ現象ですね。現在の自民党に民主党を追及する資格があるのだろうか、というそもそも論的逡巡(しゅんじゅん)が「あのー」の多用につながっていると見ましたがね。
 で、そもそもと申した手前言ってしまうと、「シッカリしろ」という言葉は、はたして今の自民党にかけるべき文言であろうか。かなりバテている登山隊員とか、意識を失いかけている傷病者に呼びかける言葉であって、もう息がないかもしれない相手に対しては、まず脈があるのか、心臓に耳を押し当てて確認を急がねばならない。言わば自民党はそんな容体なのではないかと察しますがね。
 もちろん、大きく減らしたとはいってもまだ大勢の国会議員を有しているし、その中には幾多の有用な人材がおられることは承知している。人が亡くなっても、同時にすべての臓器が死んでしまうわけではありませんから。ならば一刻も早く、それらまだ使える臓器を摘出し、然(しか)るべき先へ移植しなければならない。だからといって、今の民主党を臓器移植を待っている患者さんに例えるつもりはありませんよ。あちらはあちらで部分的な臓器の移植でどうなるとも思えませんしね。
 例えが些(いささ)か不適当な方向へ向かったかもしれません。要はもう、大変お気の毒ですが、お亡くなりになってるんじゃないでしょうか。平成21年8月30日、午後8時00分。先の総選挙の投票終了時点で、波瀾(はらん)の生涯を閉じられた。享年55(満54歳)の、本来ならばまだじゅうぶん働ける年齢での臨終でした。
 ところが、こんなこと言うと「何を失敬な!」と気色ばむ方がおられるでしょうね。まだ死んでしまったことに気付いていない彷復(さまよ)える霊魂でしょうか。ならばさらに言葉を継ぎます。
 「亡くなった」とあえて宣告したのは、与党としては勿論(もちろん)、もはや野党としても蘇生の見込みがないと診断したからです。先日の前原誠司国交大臣じゃないですが、長年の失政のツケを払わされて汲々としている民主党を自民党に攻める資格はないと。これに対し町村信孝元官房長官は、「その論理は拙劣」と返しましたが、はたしてそうでしょうか。では今後もこのまま現与党を追及し続け、風向きが変わりでもすれば、再び自民党政権をとでもお考えか?あえてまた失政の時代に戻れというのはずいぶんと都合のよい要求というもんです。たまさか民主党に政権担当能力がなく(実際、現状そんな気がしてきた)、それを返上せざるを得ない日がきても、そんなことを二大政党による健全な政権交代とは言わないでしょうし、誰も望んじゃいない。
 ですが、幸いなことにというべきか、シブトいことにというべきか、政党は単体の生命体ではありません。そんな特性を意識してかせずか、谷垣総裁が良いことを仰いました。曰(いわ)く「みんなでやろうぜ」ー。これは自民党内部にではなく、むしろ民主党に向けて発するべき言葉ではないか。有用な臓器を活用すべく、合体して双方の病巣を切除。民主自民党(民民党?)として蘇生してくれた方が、ナンボましなことかと思いますが、如何ー。

2010年2月11日木曜日

鉄道高架事業は、これからどうなるのか(下)長谷川徳之輔

 沼津駅周辺総合整備事業、鉄道高架事業は、これからどうなるのか(下)長谷川徳之輔

 これからどんな問題が出るか、どうして解決するか
 さて、このような事情にある沼津駅周辺総合整備事業はどう進むかである。
 第一に、六つの事業のうち、推進派の希望通り、原地区の貨物駅は中止されるだけで、残りの事業は、そのまま進むのであろうか。
 第二に、鉄道高架事業は中止されて、南北横断道路、屋上駅、屋上広場などの新規の事業に都市計画が円滑に変更されるだろうか。
 第三に、すでに沼津市が買収している鉄道高架事業予定地は、どう処理されるのか。
 第四に約三百億円の鉄道高架事業のための基金をどう経理処理するのか。
 第五に、貨物駅として都市計画事業の認可を受けている土地には、建築物の建築規制、土地利用の規制、土地の買い取り請求などの制限が付いており、いつまでも制限を続けるのか、また土地の買い取り請求に、どう対応するかである。
 第六に、ここまで事業を進めてしまった行政、議会の責任をどう間うのか、などなど。いろいろな問題を解決しなければならない。
 一番大切なことは、沼津駅周辺総合整備事業を考えた時点と今の時点では大きく経済社会環境が変わってしまったこと、これまでの考え方や仕組みが通用しなくなっていることを、市民も行政もしっかり認識しておくことであり、過去の失敗、不業績を今になってあげっらっても何にもならないことを認識すべきである。過去は過去として処理し、これからどうすべきなのかを考えなければならない。
 明確な決着が必要
 第一の問題は、それでは、都市計画は変更されず、なし崩し的に先延ばしされることである。
 事業は止まっても、計画をそのままにして、いつか復活するとして処理を先延ばしすることであり、行政の責任の先延ばしに過ぎず、従来は、このような対応がされることが通例であった。
 しかし、貨物駅の計画を止めては、残りの事業が進まないことは前述のとおりであり、先延ばしすることは問題の解決にはならない。表向き事業がストップして、鉄道高架事業は棚ざらしになるだけである。貨物駅の移転が消えるからには、全体の計画の見直しをしなければならない。
 第二に新しい計画を決めること、南北自由通路や屋上駅などに円滑に変更することができるかである。
 計画案、財源、費用負担などJRとの交渉、国、県、沼津市との調整を考えると、すぐに転換することは難しく、相当長期の時間を余儀なくされよう。まずは、小田原駅、清水駅などの事例を徹底的に調査して、情報資料を集めて、その功罪を市民に公開する。計画作成には、市民、商店街、専門家の参加を求めて、市民運動を高めることだろう。世論の力で市民意識を高めることしかなかろう。
 第三は、買収した用地を無駄にしないことである。
 富士見町地区、原地区には沼津市が買収した用地が散在している。土地の買収には利権が付きまとい、沼津市は、その実態を公表したがらない。しかし、どう利用するか考え、円滑に資産処理を進めるには、実態を隠すことなく、どのくらいの量があるのか、現在価値はどのくらいかなど、しっかりした情報資料を整備して、新しい利用方法を考えなくてはならない。
 原地区の貨物用地はまとまった土地であり、教育施設、医療施設や市民公園などに利用できよう。富士見町の土地は、鉄道高架事業用地を生み出すのではなく、良好な居住環境を整備するための区画整理事業を進めていくことであり、有効利用の道を探ることである。災い転じて福となし得るかどうかである。
 都市計画の事業制限、土地の買い取り請求 第四は、速やかに都市計画事業の認可を取り消すことである。
 都市計画法、土地収用法は、事業を推進するために、土地所有権の強制収用、土地利用の制限などを義務付け、逆に制限を受ける土地所有者の立場から、土地を時価で施行者が買い取ることを請求する権利が認められている。
 都市計画事業の認可の効果が続く限り、土地所有者の権利は不安定であり、また、事業を中止するにもかかわらず、施行者、沼津市は買収予算を計上し、要らない土地を買い続けなければならない。貨物駅の移転を中止するのであれば、早急に貨物駅移転の都市計画の事業認可を変更しなければならない。先延ばしして、放置しておく訳にはいかないのだ。
 使ってしまった基金の問題
 第五は、市民が営々として積み立てたはずの三百億円の鉄道高架事業を進める資金、基金がどうなっているか、しっかり経理できるかである。
 これまで鉄道高架事業の沼津市の負担は、三百億円の基金が積み立てられているから大丈夫だと説明されてきた。確かに現金であればそういう話も成り立つが、今果たして、この資金がどのくらいあるのか。
 積み立てた資金は現金であるわけでなく、土地の買収、他の事業への流用などで大半は使われてしまっている。基金の財務状況は必ずしも明確に示されている訳ではない。
 そもそも、鉄道高架事業のために積み立てたという基金が、もし鉄道高架事業をやらないとした時に、どう経理処理したらいいのか対応策は明確ではあるまい。貸付金だといわれる流用先の資金が返済される見込みもなかろう。使ってしまったものを取り戻すことはできないし、地価の変動で下がってしまった土地価格を取り戻すこともできはしない。
 真のリーダーの責任、出番だ
 第六は、究極の問題であるが、ここまできてしまったことの政治、行政の責任問題である。
 これまで二十年近く、無意味に、だらだらと進められてきたのは、中止することによって、それまでの事業に誰が責任を取るかが、はっきりすることを避けたい心理も、当事者には正直あったものと思われる。
 国、県、沼津市、それにJRが、それぞれの思惑でかかわってきたが、時代の転換により、これまで適切だと思ってきたことが変質してしまい、計画への疑問を持ちつつも、正直、転換を言いかねて、みんな、だんまりを決め込むか、責任を他に転嫁してきたのではなかろうか。
 折から中央政権も自民党から民主党に政権交代し、新政権はコンクリートから人へのスローガンで無駄な公共事業はやれない、やらないという方向を示している。新政権の中枢に位置する選良がこの沼津市から選出されている。
 今こそ、そのスローガンを実行するために、国土交通省、静岡県、沼津市、さらにJR当局を調整し、円滑に事態が解決されるように、舵取りする責任がある。川勝平太静岡県知事、栗原裕康沼津市長、いずれもこれまでの政策からは自由な立場にあり、県民、市民全体のために冷静、客観的に判断することができる立場にあると思う。まさに、これらのリーダーたちの出番だ。
 究極の責任は沼津市民にある
 究極の責任問題は、ここまで来たら、本来は鉄道高架事業の施行主体でもない沼津市、沼津市民が負わなければならなくなったことである。
 これまでの努力が無駄になったという思いもあるだろうが、さらなる負担を避けるために、方向転換は仕方がないと思うしかないと思わざるを得ない。
 この二十年の政治や行政の責任を問うたところで、市長や市議会は何回も替わっており、議会も市民も当時は鉄道高架事業を認めていたのだから、責任は市民全体にあると思うしかない。そう思うことが事態の解決を進めることになるのではなかろうか。今、問われるのは、沼津市民の冷静な判断、英知である。(おわり)(元大学教授、東京都)
(沼朝平成22年2月11日(木)号)

2010年2月10日水曜日

鉄道高架事業は、これからどうなるのか長谷川徳之輔

 沼津駅周辺総合整備事業、鉄道高架事業は、これからどうなるのか(上)
 長谷川徳之輔

 川勝知事の発言
 川勝平太静岡県知事が、長年の問題となっている沼津駅周辺総合整備事業、その中で土地収用をめぐって紛糾してきた原地区への貨物駅移転について、施行主体としての静岡県の立場から、貨物駅の移転、増設の必要性を否定する発言を繰り返している。
 推進を目指す栗原裕康沼津市長とも話し合ったが、貨物駅移転不要の知事の鉄道高架化事業への見解は、新たな問題を生んでいるようだ。
 では、どんな問題が起こるのか。先行きどうなるのか。いったん決めた公共事業をストップすることなど経験のなかったことであり、どう事態が進むのか、当事者にも、市民にも、戸惑いと混乱が起きている。
 究極は沼津市民の判断
 川勝知事の見解は、JR貨物の輸送量の全貨物輸送量の中で占めるウエートは極めて低く、さらに沼津駅での貨物取扱量も微々たるもので、今後も増加することはありえず、そもそも貨物駅の移転は無意味であり、現在の貨物駅の存在意義さえ問われるという見方である。学者らしく数字を挙げて説明しており、常識的には誰もが理解できる話である。
 知事は静岡県が施行主体で責任があるが、最終的には、事業を進めるかどうかを決めるのは沼津市民だと沼津市民に下駄を預けている。知事にして他人事としか見ていないようである。
 この知事の発言について、長い間、鉄道高架事業の反対運動を続けてきた市民にとっては当然であり、鉄道高架化事業は中止されるものと評価しており、推進派は落胆しながらも、鉄道高架事業自体が否定されたわけではなく、事業は進められると受け取っている。果たしてどうなるのか、不透明であり、そのために市民に戸惑いが広がっている。
 複雑な沼津駅周辺総合整備事業
 もう一度、この事業の仕組みをおさらいしてみよう。
 沼津駅周辺総合整備事業は六つの事業が一体となって機能するものであり、貨物駅の移転がなければ、そもそも鉄道高架事業は成立しないはずである。
 沼津市の旧市街地の衰退は市街地が東海道線と御殿場線で分断されているからであり沼津駅周辺の二つの鉄道線路を高架化して南北の交通を円滑化させれば南北問題は解決する、という考えから計画がスタートしている。
 鉄道の分断が沼津市の衰退の原因なのか疑問はあるが、事業は、まず、鉄道線路の高架化のために、現在の平面の沼津駅の西側にある貨物駅と東側にある車両基地を高架化線路の外に移転させる。
 その上で、跡地の車両基地用地と貨物駅用地その周辺を区画整理して鉄道高架事業の線路用地を生み出すとともに、市街地を整備し、高架下の土地の有効利用を進める。
 これに関連する、いくつかの道路整備などが加わる。さらに駅南の土地の有効利用のために駅南の再開発事業を行う。話題のイーラdeはその一環である。
 割の合わない沼津市、隠れたJR貨物
 六つの事業の事業システムは、別々の都市計画事業であり、施行主体も費用負担も異なる。鉄道高架事業と貨物駅移転事業は、静岡県が施行主体、現貨物駅の土地区画整理は沼津市が施行主体、駅北と車両基地の土地区画整理は民間都市開発推進機構が施行主体、駅南の都市再開発事業は沼津市が施行主体となっている。
 都市計画も制度的にはそれぞれ個別に決められており、沼津駅周辺総合整備事業は、これらを一体としての名称であり、鉄道高架事業がその中心に位置付けられている。鉄道高架事業がなければ、残りの五つの事業は形式的には別事業でも、実質的には存在しない事業なのだ。不思議なことに肝心のJR貨物は事業主体としての姿を現さない。
 貨物駅中止は全体の中止
 確かに貨物駅移転をやめても、都市計画としての鉄道高架事業は形式的には存続し得る。しかし、それには現在の貨物駅と車両基地の機能を維持するために、平面の線路をそのまま、存続しなければならないし、それでは鉄道を高架化しても意味のないことになってしまう。
 貨物駅を移転しないで現在の貨物駅を撤去する選択もあり得るが、JR貨物が受け入れないであろう。
 鉄道高架事業が消えれば、御殿場線の高架事業の用地を生み出すために行われる車両基地用地、富士見町地区の区画整理は必要なくなってしまう。もちろん、鉄道高架事業に関連する道路整備事業も意味がなくなる。現在三つ目ガードの北側で行われている道路拡幅、かさ上げの工事は全く役に立たない事業になってしまう。
 JR救済の国策事業
 そもそも、沼津駅周辺総合整備事業は旧国鉄、JRの救済なくしてはありえなかった事業である。
 当時、旧国鉄は巨額の債務超過、経営不振が極まり、国を挙げての救済を迫られていた。旧国鉄の三十七兆円に上る膨大な債務を棚上げして、その債務を処理する国鉄清算事業団を作り、二十五・五兆円の債務を承継させた。
 本体は、JR東海など六つの株式会社に分割して新生のJR株式会社にして再出発させた。JR貨物もその一環である。
 国鉄清算事業団は旧国鉄の資産を売却して債務に充て、不足する分を国が税金で面倒をみることになり、全国各地で旧国鉄の資産、土地が売却された。新橋、汐留駅貨物用地はその目玉だったが、虎の子の用地の処分も大した収入にはならず、債務は国の一般会計に引き継がれて大量の税金が投入されることになり、今でも年間一兆円近い税金が投入されている。
 JRの利益優先の事業、負担するだけの沼津市民
 鉄道高架事業は、もちろん鉄道と道路の平面交差が自動車交通の円滑な機能を阻害しており、とりわけ大都市においては都市計画の視点からも必要性は高かったが、その底流には当時の旧国鉄救済の要請から、鉄道高架事業の資金については極力、道路側、自治体が持つことが求められていた。
 運輸省と建設省の協定は、それを具体化したものであり、旧国鉄救済が重要な国策であったのである。
 高架化しても線路の利用効率が上がるわけでもなく、鉄道高架事業にJR側のメリットが少ない"地方都市では、その費用の九五%を、自治体、道路側が持つことで事業が進められてきた。
 沼津駅鉄道高架事業もその通りで、JRとしても当時、新規の投資先がなくなり、有能な技術者、土木建築の専門家が働く場所をなくしていた。彼らに働き場所を用意することもJR当局の経営上必要であったのであろう。鉄道高架事業は絶好の働き場所になる。
 その費用の大部分を道路、自治体が負担するのであり、JRは自らの負担なしで職員の雇用を続けることができる。さらに、貨物駅や車両基地のような資産の有効活用が自治体の負担で進められる。原地区の貨物駅が貨物取扱量を現状の一四万㌧から四〇万㌧へ拡大して資産の効率化が自治体の負担で進むなど経営上は絶好のチャンスだったと言わざるをえない。
 このような流れにある鉄道高架事業について、その費用は道路、自治体が負担する計画が、極力JRのメリットを拡大する方向で進められてきた。今になっては計画に乗ったことに内心忸怩(じくじ)たるものがあるJR当局は前面に出て、その必要性を説明したがらない。
 JRは、一私企業としての損得しか考えていないと言わざるを得ない。都市計画を決定し、運用方法を定めた国土交通省(旧建設省)、静岡県当局も明確な説明を避けざるを得ない。(元大学教授、東京都)
(沼朝平成22年2月10日(水)号)

2010年2月6日土曜日

「表紙替えても」の重み

「表紙替えても」の重み
 政治とカネに終止符を
 「本の表紙だけ替えて、中身が変わっていないということでは駄目だ」
 「政治とカネ」の問題が起こるたびに、結局は21年前の「言葉」に戻ることになる。1989年、リクルート事件で竹下登首相が退陣を表明。後継首相への就任要請を固辞した伊東正義自民党総務会長の名セリフだ。
 出身地・福島県会津若松市の「伊東正義文庫」で先日「総理のイスを蹴った男」というビデオを見せていただいた。記者会見での伊東氏はひょうひょうとした口調ながら、ぐっと腕組みした姿から怒りが伝わってくる。
 当時は「自民党が変わらなければ駄目」という意味だったが、「政権交代」という本当の「表紙替え」を経た今、この言葉は一層の重みを持つ。深刻な現実だ。
 「政治にカネが掛かりすぎる。100万、200万は『はした金』というのは国民感覚からずれている」とも伊東氏は語っていたという。鳩山由紀夫首相や小沢一郎民主党幹事長の資金問題は、捜査上は一区切りかもしれない。だが飛び交う「億」単位の話に「大金が動く政治」「責任は秘書」は変わっていない、とがっかりする。
 英国の政界も去年から経費不正請求問題で揺れている。住宅手当の二重請求や家の掃除代などを経費に入れ、引退表明に追い込まれる議員が相次いだ。だがその額は多くても100万円単位だ。英国は「1883年腐敗防止法」で選挙費用を厳しく制限した。その伝統がカネに対する厳しい感覚の根底にあるのだろう。
 ビデオの中で伊東氏は「国、地方のために働く前提は清潔、誠実、実行力」とも力説している。1989年の自民党「政治改革大綱」は「国民の信託によって国政をまかされる政治家は、かりそめにも国民の信頼にもとることのないよう努めなければならない」と明記した。
 伊東氏は党政治改革推進本部長に就任するが、執念を傾けた政治改革法案は海部、宮沢政権で頓挫。93年引退し、翌年亡くなった。戒名は「正義一徹居士」である。
 政治改革関連法は94年、細川政権で成立する。小選挙区比例代表並立制や政党助成制度の導入は「カネが掛からない選挙」「企業・団体献金の制限」をうたった。だが事件はその後も絶えない。
 国会は「政治とカネ」に多くの時間が費やされ、経済や外交など重要課題の議論は脇に追いやられている。政権交代という節目の今こそ、悪循環に終止符を打ってほしい。必要なのは、事件のたびに関係法を繕う対症療法ではなく、政治のコストを見直し、腐敗防止策を徹底する抜本的な制度改革だ。「一徹」に取り組む政治家はいないのか。
(静新平成22年2月6日「政考政読」)

「合法強調 巧みな錬金術」


「合法強調 巧みな錬金術」
 小沢氏関連団体の原資
 政党解散時の23億


 巨額資金と不動産の保有が疑惑を招いた小沢一郎民主党幹事長。政治資金規正法違反事件の舞台となった資金管理団体「陸山会」とは別に、小沢氏の関連政治団体は、創設した政党の解散時に約23億円の寄付を受け、同氏の私塾運営費にも充てる。側近は、万一に備えた「プール金もある」と証言した。一連の資金処理を「合法」と強調するが、分かりにくさはなお漂う。
 信仰
 政界で異彩を放つ「小沢流錬金術」。「知恵袋」として仕えた平野貞夫・元参院議員は、原点は田中角栄元首相にあるとみる。ロッキード事件で失脚した「政治の師」。「田中さんの様子を見ているからカネについては合法的に、でないと触れない、という信仰のようなものが(小沢氏に)ある」と解説する。
 集金の論理については「合法的なものは、もらう」と端的だ。使い道についても「法律の範囲内なら、いっぱい法律を活用する。批判されている不動産だって、反道徳的だという、ばかなことはない」とする。
 陸山会は1994年以降、10億円を超す資金で計12件の不動産を購入。「マンションを担保にすればいざというときに金を借りられ、政治献金が入ってきたら返せる。家のローンと一緒で、浄財を政治活動に有効に使える」と話す。
 こうした仕組みを立案したのは、自由党で事務局長を務めた元職員(2006年に死去)と推測。「小沢に天下を取らせようと本当に熱心だった金庫番」と形容した。
 公金
 平野氏は今も、小沢氏の関連団体「改革国民会議」の会計責任者。同じく「改革フォーラム21」でも昨年まで責任者だった。国会近くの事務所には2団体のほか小沢氏主宰の「小沢一郎政治塾」も同居する。
 08年末時点で、2団体の残高は計約17億4千万円。原資の大半は、小沢氏が代表幹事だった新生党と、党首だった自由党の解散時の資金だ。
 国民会議には自由党から約13億6千万円、フォーラムには新生党から約9億2千万円が寄付された。議員数に応じて国が配る政党交付金や、立法事務費という「公金」が億単位で含まれる。
 「交付金は、党首一人でもらっているカネではない」と、自由党にいた渡辺秀央参院議員(改革クラブ)。解散時に500万円が一部議員側に配られたが、受け取っていないと主張する。
 2団体の資金の使途について平野氏は「国民会議は塾への助成や、小沢氏が進める日中交流事業の事務費、小沢氏支持の衆院議員でつくる『一新会』の研修経費を出している」と説明。
 フォーラムの資金は「いざという時のためプールしている」。政変に備えたものともみられる。
 抜け道
 政治活動の自由という観点から政党交付金の使い道に制限はなく、立法事務費は使途報告の必要がない。平野氏は「違法じゃない。自由党の理念を小沢塾で勉強するのだから、国民会議から出すのは合理的」とする。
 こうした資金処理について、福岡政行・白鴎大教授は「政党が終わった時点で、交付金の残りは国に返納するのが当然。法を作る政治家が法の抜け道を使ってはいけない」とし、交付金の在り方も議論となりそうだ。
(静新平成22年2月6日(土)朝刊)

2010年1月17日日曜日

裾野市長選

裾野市長選きょう告示
市政の課題 福祉維持行革を 市内外への情報発信力必要
 17日告示、24日投開票の裾野市長選は、現職と前県議の一騎打ちで、16年ぶりの激戦が予想される。県内有数の豊かな財政力を背景に、医療費助成などを充実させてきた同市の財政は、世界不況を受け、かつてない逆風にさらされている。裾野市の現状と課題を探った。
 「このままでは裾野は第2の夕張になりかねない。ここ数年がヤマ場だ」ー。ある市幹部は危機感を募らせる。
 一昨年秋からの世界不況による自動車関連産業の低迷で、2008年度、約40億円だった同市の法人税収は、09年度にはわずか2億円余りにまで落ち込んだ。法人税収は今後数年間、09年度と同じ水準にとどまる見通しで、来年度以降、不足財源分は財政調整基金約86億円(09度度当初)を取り崩す予定。10年度は35億円余りを充てる見込みで、早ければ13年度末にも市の"貯金"は底をつく。市の財政予測によると、09年度約212億だった一般会計歳入総額は、13年度には約50億円も少ない約164億円となり、00年度並みにまで縮小するとしている。
 市には今後、財政規模に見合った施策が求められる。市民の理解を得ながら、大幅な事業の見直しと大規模な歳出削減は必要不可欠で、急務だ。
 これまで、生涯学習センターなど各種施設・設備の拡充を積極的に推進し、新型インフルエンザワクチン接種費用助成への素早い着手や中学生までの医療費完全無料化など県内有数の充実した市民サービスを提供してきた。拡充したサービスや施設の継続運営は今後も大きな負担になる。「市民サービスは好評だが、生活に支障のない範囲での段階的な縮小は避けられない」と市幹部も頭を抱える。さらに、市街地のにぎわい創出のため打ち出した同市最大の総事業費190億円の公共事業「裾野駅西土地区画整理事業」の行方も気に掛かる。
 その一方で、将来に向けて、自動車関連産業への財政依存の体質から脱却し、企業の景気動向だけに左右されにくいバランスの取れた財政基盤への見直しも並行して推進する必要がある。
 新市長には厳しい財政下、最低限の福祉レベル維持をしつつ、思い切った行財政改革を断行する手腕と決断力、市の情報やビジョンを市民と市内外に明確に伝える発信力が求められている。
(静新平成22年1月17日朝刊)

 平沼氏「新党つくる」

 平沼氏「新党つくる」
 平沼赴夫元経済産業相は16日夜、岡山県津山市で開かれた後援会新年会であいさつし、今夏の参院選に向けた対応について「自民党としっかり連携していくとともに、新しい流れ、新しい政党をつくる」と述べ、参院選前に新党を結成する考えを明言もた。
 平沼氏は民主党政権について「自民党以上に金権体質を持っている。鳩山由紀夫首相は母親から12億円もらっておきながら知らなかったと平気でうそをつく。小沢一郎幹事長も秘書が逮捕されても幹事長を続けている」と強く批判。さらに「民主党は衆院で多数を取って、やりたい放題やっている。その上、参院で単独過半数を取ったら日本に全体主義が生まれる恐れがある。そうなったら日本はおしまいだ」と述べた。
(静新平成22年1月17日朝刊)

2010年1月3日日曜日

参院選「夏の陣」



参院選「夏の陣」
 民主 2人目擁立探る
 自民 議席奪還に全力
 県内では今年、夏の参院選のほか裾野、熱海、三島の3市、東伊豆、函南、河津の3町で首長選が行われる。参院選静岡選挙区(改選数2)は、自民党現職の知事選出馬に伴う昨年10月の補選で民主党が議席を獲得し、改選を迎える2人はいずれも民主。政権与党の民主が引き続き2議席を独占するか、自民が議席を奪還できるかが焦点となる。
 参院選静岡選挙区へ立候補を表明しているのは、民主党の現職藤本祐司氏(52)=1期=、昨年10月の参院補選に自民党から出馬し落選した富士常葉大非常勤講師の岩井茂樹氏(41)、共産党県委員会常任委員の渡辺浩美氏(49)の3氏。同補選で議席を得た民主党の土田博和氏(60)=1期=は比例代表に回る。民主党は小沢一郎党幹事長が2人区以上に複数候補を擁立する方針を示したため、静岡選挙区は藤本氏以外の候補擁立が至上命令。だが、民主県連内には複数候補の擁立に慎重意見が根強い。
 焦点となる2人目の人選について、岡本護県連幹事長は「現段階では白紙」と話す。民主系県議からは「政権与党の追い風があっても2議席独占は至難の技。無理な擁立は、次の衆院選に響く」との声が聞こえる。ただ、「みすみす1議席を自民に渡すのか。県連が決めなければ、党本部が落下傘候補を擁立する」との見方もある。
 藤本氏は連合静岡の全面支援に加え、選対本部長として川勝平太知事を当選に導いた実績や、国土交通大臣政務官としての活動がプラス材料になっている。
 自民党は議席奪還に死力を尽くす。昨年12月の臨時県連大会で岩井氏の擁立を決めた。党本部も公認候補に決定し、塩谷立県連会長は「政権奪還のためには、参院選は絶対に勝利する」とカを込める。遠藤栄幹事長は「2議席獲得した時代もあるが、現在は難しい。まずは総力を挙げ1議席の確保だ」と述べ、候補は岩井氏に一本化する。
 昨年は知事選、衆院選、参院補選と3連敗し、県議会会派の分裂にまで至った。「瓦解状態の県連組織、支部組織の立て直しが急務」(県議)。空席の選挙区支部長の選考を5月までに終える方針で、政権交代で支援態勢を見直すケースが目立つ組織、団体への対策などを練り直す。
 共産党は若返りを図る党の方針から、渡辺氏の擁立を決めた。1996年の衆院選静岡3区に出馬し落選後、党伊豆地区委員長を務めている。
 04年の参院選では民主、自民が各2人、共産党が1人の候補を立てた。
(静新平成22年1月1日元旦号)