2010年4月28日水曜日

東部地区合併問題

東部地区合併問題
東部合併足並みそろわず
 沼津市長会見 働き掛けを継続
 県東部の合併について、栗原裕康沼津市長は27日の定例会見で「予想はしていたが(首長の)足並みがそろわず、残念ながら具体的には進んでいない」と水面下での動きに触れ、2市2町(沼津市、三島市、函南町、清水町)を核としたこれまでの動きから今後は賛同の輪を広げ、働き掛けを続ける考えを明らかにした。
 栗原市長、小池政臣三島市長、芹沢伸行函南町長(当時)、山本博保清水町長の4者は昨年11月、政令指定都市の実現を県東部の市町に呼び掛けることで合意した。この合意をもとに対象市町の首長に面会したところ、消極的な姿勢を示した自治体が複数あったという。
 栗原市長は「自治体の事情から単独の方がいい、そんなに急いでいないと考える町もある。なら、あきらめるわけではなく、動こうという意欲を強く持ち、仲間を増やしたい」と述べ、方向性に賛同する自治体も活動の枠に含めて発起人制を取る考えを示した。すでに了承を得た自治体もあるという。
(静新平成22年4月28日(水)朝刊)

伊豆の国市長
 まず3市1町合併左
 伊豆の国市の望月良和市長は27日の定例会見で、県東部の広域合併について、三島、伊豆の国、伊豆、函南の3市1町での合併を目指すべきという考えを示した。
 望月市長は「三島を中心に伊豆半島を一つにした方がいい」と指摘した上で「全市町を合併の対象にすると簡単にはいかない。3市1町でまずまとまりたい」と段階的な合併に言及した。
 広域合併の在り方については、旧3町による伊豆の国市の合併の経験を踏まえて「鉄道や川など、まちづくりの核になるものが必要になる。住民に合併の利点を示すことも大事」と強調した。
(静新平成22年4月28日(水)朝刊)

2010年4月5日月曜日

攻防2010

 捲土重来期す自民
 保守票分裂に危機感も
 参院静岡選挙区(改選数2)への2人目の公認候補擁立をめぐって、民主党本部と県連の対立が深まっていた3月中旬。自民党の安倍晋三元首相が静岡市での県神社関係者大会に足を運んだ。
 安倍氏は開会前の控室で、党公認で立候補予定の元大学非常勤講師岩井茂樹氏(41)の手を固く握った。「何としても勝ち抜けるように頑張ってほしい」
 党重鎮の励ましに、顔を紅潮させる岩井氏。「参院選は自民再生の第一歩。日本の将来を決める大事な選挙」とあいさつで気勢を上げた。
 自民県連は三役辞任を受けた昨年末の臨時大会で、早々に候補者を岩井氏1人に絞る方針を決定。「昨秋の補選で名前を売り込んだ。逆風の中、40万票を獲得した岩井氏擁立は既定路線」(県連幹部)だった。
 自民県連は67市町支部、業界友好団体との会合を2、3月に開いた。塩谷立県連会長は各会場で「捲土(けんど)重来に向け、自民党が一枚岩で戦いに臨めるかが問われている」とげきを飛ばした。2月には、三役が岩井氏と共に業界団体をあいさつ回り。異例の取り組みは「これまでにない手厚い対応」(多家一彦総務会長)。2人目の候補者擁立でごたごたが続く民主党を尻目に、自民は一致結束を図る。
 ただ、懸念はある。離党者が相次ぎ、与謝野馨元財務相らによる新党結成の動きが急だ。保守支持層分裂の可能性もある。県連幹部は「離党に拍手を送る党員はいない。勢力闘争ではなく今すべきは党内改革。地方の実情を把握し、新生自民の姿を見せなければ、選挙は戦えない」と批判する。
 民主が静岡選挙区の2人目の公認候補を発表した2日、みんなの党の渡辺喜美代表は記者会見で、静岡を候補擁立の有力選挙区の一つに挙げた。みんなの党は全国的に支持率を上げているだけに、自民は危機感を募らせる。
 自民と連立政権を担った公明党。阿部時久党県本部代表代行は「連立野党はない」と自民との共闘を否定。「野党となったことで足かせなく自由な活動ができる面もある」とも述べ、公明票の行方は不透明だ。
 県内の政治情勢に詳しい法政大大学院の白鳥浩教授は「新党の動きは参院選の票の流れを複雑化させるだろう。民主党が政権に定着できるのか、選挙結果によっては政界再編を加速させていく大きな節目になる」と予測する。

 静岡選挙区には共産党の渡辺浩美氏(49)と政治団体「幸福実現党」の中野雄太氏(36)も立候補の意向を表明している。
(政治部・中島忠男、橋本和之、杉山武博、東京編集部・塩見和也が担当しました)
(静新平成22年4月5日「攻防2010・参院選しずおか:下」)

2010年4月3日土曜日

原点に立ち返った議論を

沼津・議員定数削減
 原点に立ち返った議論を
 沼津市議会の議員定数(34人)をめぐる市自治会連合会の直接請求を受け、定数を21人に削減する議案が先ごろの最終本会議で否決された。同時に一部会派が議員発議した対案の28人案も成立要件の過半数に2人及ばず、議論は振り出しに戻った。
 率直に言うと、議員を選ぶ市民が一番納得する定数になればいい。大切なのは、連合会や各会派が示す定数の根拠が市民にきちんと伝えられ、検証を経て選択されることだ。ただ、議会には市民の代表である自治会連合会が突きつけた問題意識の重みを受け止めてほしい。地域の声を市政に届けるために議員と両輪を担うべき組織のこうした動きを聞いた時、少なからず衝撃を受けた。
 同連合会が3500世帯に実施したアンケートでは、現状を「多い」と答えた人は9割。21~25人を「適当」とした人は47%だった。この結果や傍聴で「議員が多すぎる弊害として、質問の重複などがみられた」として、質の向上を前提に少数精鋭化を求めている。定数21人は政令指定都市並みの人ロ1万人あたり議員1人の換算になる。
 一方、議会が設置した議員定数等検討協議会は①28人②32人③現状維持ーに会派の意見が分かれたまま、昨年末に議論を終えた。28人は「4常任委員会など議会運営への影響を最小限に抑えられる」、32人は「組織によらない若年層や女性などが登場する機会を維持できる」などと根拠がある。議会は13人削減に「民意の反映、議会運営に支障が出る」と共通の懸念を示すが、連合会は「パブリックコメントや市長と語る会など市民参画の機会は増えている」と反論、運営面も委員会の兼務や統合整理で支障はないと反論している。
 政府は法定議員数の上限撤廃などを盛り込んだ地方自治法改正案を今国会に提出し、名古屋市では市長が定数半減などを求めた市条例改正案が議会で否決された。「地域主権」の機運は高まるが、議員の権能や職責がよく見えず現場が戸惑っている印象も受ける。
 沼津市の例を見ても、どの主張も一長一短がある。だからこそ、議会にしかできない仕事は何か、それを果たすのに何人必要なのかという基本的な議論に立ち返るべきだ。自治会連合会が直接請求に至った根底には、行革にとどまらない問題意識がある。論戦など本筋のやりとりだけでなく、開会の遅延理由や休憩の再開時間が分からないままに待ち続ける傍聴者にも目を向けてほしい。(東部総局・大須賀伸江)
(静新平成22年4月3日「湧水」)